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二回更新のくせが抜けない。


「ローレント、対空手段はあるかい?」


「ある」


「なら捕まえるから任せたよ」


「わかった」


 いったい何をするつもりなんだろうかと思っていたら、どうやらエンゴウ戦の時のようにまとわりつく水属性魔法スキルで拘束するということだった。


 水弾を主に使う近接系魔法使い。

 俺と同じように魔闘のスキルを持っている可能性が強いな、十八豪。

 いや、絶対持っているし、無詠唱のレアスキルも保持している。


「ウォーターバインド!」


「──フィシャッ!?」


 口元を拘束されて、空中で悶えるスカイフィッシャー。

 割と支援、回復よりなイメージの水属性魔法だが、彼女の使用法は攻撃的だな。

 水弾はよくわからんスキルで粘性を保ちぶつかったバシャと弾けるのではなく、ズドムッと弾む。


「す、すげぇ!!」


「さすがスペシャルプレイヤー!!」


「動画で見たことあるけどあの金髪の女の人めっちゃ美人じゃね!?」


「でもローレントの女だろ?」


「ぐぬあああああああ!!」


「お姉様……しゅごいでしゅ……」


 混乱がたちまち止む。

 そんな雑踏プレイヤーたちの声を聞いて十八豪が少し顔を赤くしていた。


 スキルを褒められて恥ずかしがってるのかな?

 でも、なんだろう、こんにゃく?

 いや、ナタデココのような弾力に近いのだろうか。

 そう思うと、隣の金髪女もまだ可愛く思えて来るだろうな。

 一部のファンは補正がかかり、そう思えるのだ。

 だが、俺には片栗粉でとろみをつけたようにしか思えん。

 タイラタンシー流体だっけ?


 修行の一つで、そんな液体の上を1km走る。

 と、いう馬鹿げたものをやらされた。

 どこかの研究員に。

 元気にしてるだろうか、彼女。


 ゴザわたりというものがある。

 人間は現実で水面に布を敷けば普通に水上を走ることが可能だ。

 別にやり方次第でゴザがなくてもいい。

 このゲームの身体能力では無理だが、スキルで空を跳べる。


「捕まえてダメージは稼いでやったよ、やっちまいなローレント」


「任せろ」


 彼女に言われて俺はエナジーブラストを構えるのだが、スカイフィッシャーが思わぬ挙動を取る。

 ぶつかる水弾も、顔面に絡みつく水球をも弾くように翼を大きく羽ばたかせ回転する。


「ド、ドリルだ!」


「やばくないか!?」


「やばいだろ!」


 十八豪の戦いに羨望の眼差しを向けていた前方プレイヤーに戦慄が走る。

 だが狙いは俺たちだから安心しろ。

 ヘイトは十八豪が乗るこっちの船だ。


「チッ、意外としぶといじゃないか」


「翼を狙えばいいんじゃねぇか?」


「水中に落としたら前の船が邪魔で攻撃できないじゃないかい、何バカなこと言ってんのさ」


「ぐっ、まあそれもそうか。だったら俺がぶっ飛ばして……」


 構えるガツントだが、その必要はない。

 俺は彼を制して前に出た。


「お? なんか見してくれんのか? いいのか? 俺にスキル見せてもよお?」


「見て対策を立ててまたかかってこい」


「……ケッ」


 眉を上げて拍子ぬけた表情の後、ニヤリと口を歪めるガツントを尻目に。

 俺は船尾楼の甲板から飛び降りて船首に向かう。


「フィッシャアアアアアアアア!!!」


「マナバースト」


 スカイフィッシャーの質量ならば木造船の甲板なんぞ簡単につき壊すだろう。

 それはさせない。

 船首に立ち、絶対弾くマン。


「ッ!?」


 強制的にはじき返されたスカイフィッシャーは驚愕とともに一瞬怯んだ。

 そこから跳躍して近づき、スペル・インパクトを乗せた前蹴り。


 ドガンッ。

 くぐもった音。


 スペル・インパクトによって浮き上がって一回転するスカイフィッシャーに。


「エナジーブラスト」


 焼き魚にしてやる。

 あとは空蹴にて甲板に復帰するだけだ。


 十八豪によってかなりダメージを重ねられていたスカイフィッシャーは、この連撃によってHPをゼロにした。

 やったぜ、こいつは美味しいのだろうか?

 大きく上がる水しぶき。

 俺は弾機銛で沈むスカイフィッシャーを掴むと船尾にくくりつけた。


「重たいなあ」


「て、手伝いますコンシリエーレ!」


 唖然としていたバンドーレファミリーの連中がロープを持って慌てて近づいて来る。

 うむ、引き上げできればしてほしいけど、できなかったら船尾に運んでローブで縛っておいてほしい。


『──ウ、ウオオオオオオオオオッッッ!!!!』


 うおっ、すごい歓声が響いてきた。

 前にいた二隻からだ。


「す、すげえええええええええええ!!!!!」


「あのデカさをなんで蹴り上げれるんだ!?」


「魔法職って噂だろ?! 違うのか?!」


「ロ、ローレント様アアアアアア!!!!!」


 みんなの叫びで空気が震える。

 正直うるさいくらいだ。

 耳を塞ぎながら甲板に戻ると、飯を腹一杯食ったトンスキオーネが葉巻を吹かしていた。


「またバケモンになったな」


「うるさい」


「クカカッ、正直船の装備より強い。船首の三連キャノンも弾き返せるだろ」


 まあな。

 返せないこともないが射線を見て避ける方が簡単だろう。

 また化け物呼ばわりされそうなので反応せずに無視しておく。


「……とんでもねぇな」


「ここまでこい」


「──へっ! わかってらぁっ!」


 次は俺様がやってやるよ! と息巻くガツント。

 本当に兄貴に似てないな。

 こいつのやってやる、は虚勢ではないだろう。

 本当になんとか努力してやってくれそうな気がするから期待しておく。


 ちなみにレベルが47だった。

 うむ、ガンストがやられてからキャラを作り、こっそりレベル上げしていたんだろう。

 俺の寄り付かないノークタウンで。


 何度か掲示板で俺のことを調べるために煽っていたらしいが、レベルを上げても無意味だと判断して斧持ち雄叫び初手で倒す戦略を選択。

 なかなか才能ある。

 俺じゃなかったら一撃で仕留められていただろう。


 ……本当に、兄貴のガンストとは大違いだ。








ははぁー、どうぞ、お納めください。

いつも感想などありがとうございます。

ブクマ、評価してくださっています読者のみなさんには感謝が尽きません。

感謝尽きない更新!




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