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 東の川のエリアボスであるクラリアスを倒した俺たちは、そのまま奥の支流へと入って行く。

 周りの生態系はだいぶ変わってきて、サファリパークの川版だと感じた。


 船の上にいればモンスターは襲ってこないのか?

 否、めちゃくちゃ襲い来る。

 クラリアスを倒した後、ピラルークがうじょうじょだ。


 三メートル級のでかい淡水魚が二メートル級のフィッシャーガーを従えている。

 そして船に体当たり。

 大きく揺れるが、今回は大きな船で来ているわけなので屁でもない。

 だが、グループ単位の船だと少し厳しかっただろうな。


「そっちからでかい魚きたぞ!」


「金色のでかいのがまとめてる!」


「そいつから仕留めればまとまって船にこねぇぞ!」


「よっしゃー! 弓師いるかー!?」


「俺に狙わせろー!」


 アロワーナという金色のモンスターがピラルークを取りまとめているのだが、知能を武器にまとまる徒党の前には無に等しい、さすが人間。

 船の上で一蓮托生するプレイヤーたちは、初めて会ったというにも関わらず的確な指示のもとに動いている。


「有象無象かと思ってたら……やるじゃないかい」


 腕を組みながら戦いの様子を見て、そう評するのは十八豪。


「……いかがですか、船旅は」


 そう言いながら俺たちに近寄って来るセイスは、ニヤニヤした表情で言葉を続ける。


「かねて盗賊ギルドから、いちプレイヤーの中に自然な指揮官さくらを混ぜています。一緒に参加したプレイヤーに仲間意識を持たせながら自然とグループを作り連携させる、デリンジャーさんの引き連れる盗賊プレイヤーの方々は、なかなか有能な方が多いですからねぇ」


「なるほど」


 村議会も、一応馬鹿ではないということか。

 斥候のみにデリンジャーを使っていると思いきや、彼はすべての盗賊ギルド所属プレイヤーを指揮し、こう言った統制任務にあたっているというわけね。


「私どもに必要なのは今後エリア開放した際に、次の拠点のなる場所でのプレイヤーの方々ですから」


「へぇ……やるじゃねぇか!」


 ガツントがいかつい声でセイスを見ながらニヤリとする。

 それに少しビクつくセイス。

 言ってることは真っ当でも、なかなかの悪党顔だからなあ。


 もしくは、こう言ったテンションだけのやつが苦手なのかもなしれない。

 シエテもそういう気質だし、結構苦労してそう。


「も、もちろんあなた方は最終兵器として強敵に立ち向かってもらう必要があります。戦闘に関しては百戦錬磨のプレイヤーだとみんな認識していますからねえ、言わば英雄役でしょう」


「ふぅん」


 話を聞きながら俺は釣り上げて、捌いたアロワーナを食べていた。




【アロワーナのグリル】

王都では高級食材として扱われるアロワーナのグリル。

小さければ小さい成体ほど、繊細な味となる。




 このアロワーナ、肉厚で地味にうまい。

 トンスキーネの部下は全員グルメというか、グルメ志向のトンスキオーネに従って料理がうまい奴らがいっぱいいる。

 捌いた後、そいつらに料理してもらったのだ。


 他に、生きてるアロワーナの説明にはピラルークを指揮官するクラス3の近縁種と書かれていた。

 色味、鱗、ヒレ、すべてのバランスが良いと輝きも黄金に近くなり、末端価格で百万グロウの根がつくほどだが、その分飼育は困難を極めるとのこと。


 うむ、マルタには是非アロワーナの生け簀を作っていただきたい。

 いや俺が直接作ってもいいが、黄金のアロワーナを作るなんて細かい作業ができるかが問題だ。


「コンシリ……」


「ん、なんだ?」


「おまえんとこの生簀でこいつを量産できないのか?」


 どうやら一緒に食べてるトンスキオーネの口にもあっているらしいく、えらく真面目な顔つきでそんなことを言われた。悪党ヅラが、食い物のことになるとすっごい真面目な顔になる。


「掛け合ってみる」


「……絶対だぞ? できたら販路は任せろ、クカカカ、まさか魚が一財になり得るほどだとはな……南に来てよかったぜ、クカカカ」


 あ、邪悪な笑いになった。

 ちなみにグリルの味付けはシンプルな塩胡椒。

 俺としてはアロワーナは煮付けにしたらもっと美味しいと思う。

 トンスキオーネには和食を食べさせてダイエットでもさせるか?

 その脂肪が俺のレベルアップを刺激しているかもしれんな。


「……それでは、戦いの前の食事をお楽しみください」


 俺らに混ざって釣ったアロワーナの料理をガツガツと平らげて行くガツント。

 そんな様子に何か言いたげなセイスだったが、とにかく深くつつこうとはしなかった。

 だからそんな言葉を残して再び船の中へと戻って行くのだが……。


「うおおおおあああ!?」


「な、なんだあれはーーーー!?」


「さ、魚に羽が生えてる!?」


「いや、ドラゴン!?」


「でも顔面は思いっきり魚だぜ! それにしてもデケェーーー!!」


 前方で轟音の水しぶきが上がり、一体の巨大なモンスターが姿を現した。




【スカイフィッシャー】Lv22

水空両用の翼を持った淡水魚。クラス3。

飛ぶし潜るし、硬いし鋭い。

アロワーナが好物でたくさん倒してると出る確率が上がる。




 なるほど、正直アロワーナは大きいがピラルークほどではない。

 俺とガツントは見た目に反してめちゃくちゃ量を食べる。

 それにトンスキオーネも混じれば五匹は軽い。

 さらに食材としてプレイヤーたちにもなぜか振舞われてるから……、出るわーな。


「──フィッシャアアアアアアア!!!」


 スカイフィッシャーはそんな鳴き声と同時に羽ばたいて風を巻き起こしウォータービームのような一撃を繰り出した。


「うわあああああ!!」


「ちょ、甲板の板材が折れたぞ!」


「盾持ちはなんとかガードできないのかー!?」


「ビッグシールド持ちはいないぞ!」


「ど、どうするんだー!」


 戦い慣れてないものは、一度不利になったりかき乱されたりすると脆い。

 一気に混乱に陥りかける。

 そして対抗策を考えなければ第二波が来るのだが、あの水のビームみたいなものをどうするかというところですごく混乱している。


「……はぁ仕方ないね」


 前方の阿鼻叫喚の叫びを聞いて、ため息をついた十八豪が前に出た。

 氷結女帝のレベルは67。

 三次転職にすでに片足を突っ込んでいる。






次回、十八豪姉さんが活躍するかも。





ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、ブクマ、評価、いただけて本当に感謝です!

書籍発売記念で毎日更新は引き続きます!

頑張って続けます!

もっと展開早くしたいところです!

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