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 盗賊ギルドからの出向者であるデリンジャーには気をつけておこう。

 ほろ酔いバッドステータスの十八豪を連れて集合場所へと向かった。


「ねえったら、もうちょっと支えてくんないと転んじゃうだろバーカ」


「六尺棒使う?」


「……バーカ……」


 俯く氷結女帝は放っといて。

 レイラからあらかじめ見せて貰っていたものには、改めて借り受けた船、装備類の内訳などが書かれていた。

 かなり予算を切り詰めているのが理解できる。

 要望に村を拡大し街へと至ったら湿地帯の先に本陣を写すなどということも書かれていたのだが、テンバーの隣にあることで村から街へと発展しない状況をなんとかしたい村議会の気持ちが伝わってきた。


 どうにかして離れたいんだろうな。

 それで、今回トンスキオーネとバンドーレの力を借りて、損が出てもその先に利益があると信じきっている。

 テージの貴族や商人と通じれば、この場ので村は大きく回収できるとしているのだろう。

 新たな開拓地に対する利権も盛り込んでいるのだが、うまくやってこっちで奪い取れないだろうか。


 さて、その中にある村議会特別準備金なるもの。

 レイラはこれが少し怪しいと言っていた。

 ニシトモの話でもお金は無いと断言しているし、これがどこかから回ってきている金だろうとあたりをつける。

 盗賊ギルドかな、はたまた別のところかな?




 さて、件のレイドボスは東の川の湿地帯が戦地となる。

 故に集合場所は港のような規模になりつつある桟橋だ。

 あたりを見渡すと、雑多なプレイヤーが集まっていた。

 まとまりはない、どいつもこいつも知らない奴らばっかりだった。


 それもそうか、基本的に強いプレイヤーたちは第一生産組との縁が深い。

 色々と考慮して参加しないという選択を取ったのだろう。


 そうなれば、俺は裏切り者として見られているのだろうか?

 まあ、別にいいや。

 心配する必要もなかった、フレンドリスト外のプレイヤーって喋ったことすらない。


「なんだよ、第一拠点のクランもでねぇの?」


「……一緒に戦ってあわよくば入れるかと思ったんだけどなあ」


「だが、ここで一気に有名入りして、クラン作ろうぜ!」


「そうだな、活躍した者たちに村議会とかいうプレイヤー集団がクランの維持費出してくれるっていうし!」


「向こうに拠点のエリアが拡張したら、そっちで高待遇だ!」


 今まで前線を引っ張ってきたプレイヤーたちがいない代わりに、随分と野心に満ちたプレイヤーたちが大勢いる。

 開拓を楽しむ、なかなか良い流れじゃないの?

 そう考えると、レイドボス討伐クエストは別に悪ではない。

 少し規模を大きくしてしまったことが悔やまれるな。


 村議会にお金を出させて、トンスキオーネに物資の融通。

 そしてバンドーレや村議会お抱え盗賊ギルドの野郎たちと戦闘。

 本来ならば、少ない戦力、そこで毒腺が出て回収してレイドボスでMPKで全滅していただいてもよかったのだが、こうなると純粋にイベントを楽しむしか無くなる。


 まあ、失敗はつきものか。

 新しい夢見るプレイヤーたちと一緒にレイドボス討伐を頑張りましょうかね。


 とりあえず戦ってれば出てくるだろう。

 利権に走るものとかな。


 集合場所に村議会の連中が歩いてきた。

 その後ろからフードを被ったデリンジャーが付いてくる。


「御集りいただけてありがとうございます。今回NPCの素晴らしき狩人たちも協力していただいてのレイドボス討伐となります。もちろんスポンサーも第一拠点の村議会の他に、ノークタウンのプレイヤーズ拠点と、テージシティの貴族NPCの方々がついておりますので、存分にイベントをお楽しみください」


 演出だろうか。

 今回のイベントで村議会でも格段に発言権が強くなったセイスが、自信満々で手をかざすと。


 ゴゴゴゴ。

 と音がして船が移動用の船が三隻立ち並ぶ。


「うおおおーーー!」


「なんからしくなってんじゃん!」


「やっぱり村議会すげー! さすがこういう準備は助かるぜ!」


 周りから歓声が上がり、腕を組んだセイスの表情がさらに自信満々になった。

 シエテは何もしてないくせにフンフンと頷いている。

 調子こくなよ。


 それにさらっとテージシティの貴族をスポンサーっていう程にしてるな。

 実にせこい。

 本当はテージシティのマフィアだ。


 しかしながら、発言にやや気になることがあった。


「おい、ローレント」


「うん」


 ほろ酔いかと思っていたが、しっかり体調を整えていた。

 さすがだ。

 そのさすがな十八豪は鋭い視線をデリンジャーに向けていた。


「鑑定が効かないから、あいつは信用しないほうがいい、それだけレベルの高いプレイヤーだよ」


 ああ、そっちか。

 それは知っている、俺もすでに試していた。


「そこじゃない」


「ん?」


 眉をあげる氷結女帝。

 そうか、彼女はノークタウンとのいざこざとかケンドリック陣営についての件にいなかったからな。


「ノークタウンのプレイヤーズ拠点がスポンサーについてることは知らなかった」


 そういえば、セイスとシエテ。

 どこかで見たことあるような名前の響き。

 遠い記憶を思い返すと、アンジェリックと初めてあった時に──。


「今回、スペシャルゲストとして、とあるプレイヤーをお呼びしています! なんと、今回のレイドボスイベントの立役者でもあります。この第一拠点のエリア解放者でありながら第一回闘技大会の優勝者──ローレントさんですどうぞ!」


「ん?」


 名前を呼ばれた瞬間、これでもかと言わんばかりの歓声が立ち上がった。


『うおおおおおおおおお!!!!!!!!』


 うるさっ。








いよいよ明日です!

すでに書店には置かれている模様!

テンションが上がりました!


いつも感想ありがとうございます!

そしてブクマ、評価。

ここまでこの小説を読んでいただいた方に、感謝を!






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