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昨日、レギオンコングを大量狩りしてレベルをひとつあげた。
なんとなく、エンゴウとかグレートコングあたりが姿を現してくれればいいなとは思っていたが、さすがに現れることはなかった。
サイクロプスとの戦いで勝利したあの山岳地帯はゴリラの国みたいになっていた。
文明が発達しているかと言われれば、そうではないのだが、とにかくゴリラだらけ。
昔っからこうやって霊長類の相手をしまくってれば、そりゃ獣化の親和性がゴリラよりになるのも頷ける。
またいつか獣化して見たいのだが、モノブロはスティーブンとハモンが連れていたクエストNPCみたいなもんで、なんだろう、二次転職したの時のミラージュだっけミラだっけ?
自分を映し出す鏡の精霊と同じような立ち位置らしい。
これは三次転職とか次の転職があれば期待が膨らむんじゃないだろうか。
スキルツリー▽
【スラッシュ】Lv10
【スティング】Lv10
【マジックブースト】Lv10
【魔闘】Lv50
【魔装】(レベル70から)
【エナジーブラスト】Lv10
【マジックエッジ】Lv8
【マナバースト】Lv10
【スペル・インパクト(P)】Lv48
【ナート・エクステンション】Lv38
【ナート・イクイップメント】Lv38
【テレポート(制限版)】Lv-
視認した範囲に転移する(連続使用不可、再使用待機時間1時間)
指定された街への転移(詠唱時間5分、再使用待機時間1時間)
フレンドリストから任意の人物の場所へ転移(詠唱時間5分、再使用待機時間24時間)
【アポート】LvMAX
・制限解除、無詠唱、ストレージ
【アスポート】LvMAX
・制限解除、無詠唱、ストレージ
【契約魔法】Lv5
・空き契約数0
・[ローヴォ:バッドラックウルフ]
・[ノーチェ:ナイトメア]
・[ルビー:クリムゾンコニー]
・[コーサー:ボス]
・[トンスキオーネ:アンダーボス]
【投擲】Lv33
【掴み】Lv33
生産スキルツリー▽
【操船】Lv9
【漁具】Lv15
【潜水】Lv15
【採取】Lv15
【工作】Lv15
【木工】Lv1
【石工】Lv1
【解体】Lv35
【鑑定】Lv25
そういうわけで、こんな感じのスキルレベルへ至り。
レベル62ということで、三次転職まであと8レベル上げればいいのだが……。
1日かけてこれだからなかなかしんどい思いをしなければならなそうだ。
よし、修行だと思うことにしよう。
ゲームだと思うから辛いんだ。
修行だ、修行だと思え。
まだ霊長類なだけ戦闘はやりやすいはず。
っつーかよ、ルビーどこいったんだ?
しばらく気にしてなかったけどノーチェが外に出ている間のテイムクリスタルにルビーは入っていなかった。
俺もしまっちゃった感覚はなかったので、どこかを自由に行動しているとしか思えないのだが……。
ゲームだぞ。
ありえるのか?
でも実際ことが起こってるから、オッケーなんだろうな。
とにかく、万全を期して色々とレベルを上げて置いて損はなかったと思いたい。
レイドボス、エンゴウと同じ規模を考えるならかなり厳しい戦いになるだろう。
東の川のレイドボスはマナズマという名前のモンスター。
その姿は確認されていないが、村議会がデリンジャー率いる斥候部隊を送り込んで仕入れた情報に、細長い龍のような姿が描かれた石板があったというものがあった。
ドラゴンか、エリアボスのクラリアスを基準でいくと。
水属性になる……、水着が必要になるか、水属性の魔法使いがどこかにいればいいのだが……。
「なんだいローレント、急にフレンドメッセージで呼び出して」
お、いいところに金髪デニムの水属性魔法使いブレイヤーが!
……冗談だ、ローレントジョーク。
とりあえず適当に第一生産組ではない強いプレイヤーで声を掛けてみたら十八豪が来てくれることになったのだ。
クラリアス戦では本当にお世話になりました。
「とりあえずなんか飲むか?」
「じ、じゃあ、コーヒーで」
えっと……どうやって作るんだろう。
ちなみに第一拠点の倉庫二階の個室サロンに二人でいるんだが。
茶と茶菓子の一つでも出してやろうと思ってるんだが。
インスタント以外作り方わからなんだ。
粗茶とかあればいいのに。
このフラスコみたいな、尿瓶みたいな形の瓶の横にコーヒー豆の容器があるのだが……なんだこの奇怪な形は。
西洋風を感じるが、アフリカの紛争地域で飲んだコーヒーはいって潰してオムツで濾したやつだったぞ。
赤ん坊が巻き添いで亡くなって余ってたんだってさ、でも布オムツは流石にない。
紙ならまだしも。
「とりあえず、茶菓子……」
「これは、なんだい?」
「……つけものだ」
いい出来栄えだ。
つまみ食いしたらサイゼに怒られるかな?
「コーヒー飲みながら漬物食べろっていうのかい?」
「……すまんかった」
素直に謝ると大きくため息をついた十八豪がコーヒーを作ってくれた。
なんだ、それってサイフォンって言うのね、ああね。
知ってたよ、どっかで見たことあったもん。
知ってたよまじで。
「ったく」
十八豪はできたコーヒーを無駄に精巧なガラス製のコーヒーテーブルの上に置くと、俺の隣にどかっと乱暴に腰を下ろした。
紫色のインナーが見えた。
最近思うが、俺の周りの女性プレイヤーはインナーが見えても気にしない奴が多すぎる。
「……近くないか?」
「……何が?」
キョトンとした顔をしているが、腰をドカ下ろしした時、思いっきり肘と肩がぶつかった。
これが近くないといったらなんになる?
ソファの右端めちゃくちゃスペース空いてるだろうが、なんでこっちに詰めてくる。
十八豪は知らん顔で話し始めた。
「で、あんたどう言うつもりなんだい? ついに第一生産組を、味方を敵に回そうってのかい?」
「……どう言う話で伝わってるんだ?」
そんなわけないのに。
訝しげな表情をする彼女に弁明をば。
「いや、そうじゃなくてだな」
メッセージ事細かく書いておけばよかったか。
でも面倒だったんだよな。
だから村議会のレイドボス討伐に戦闘員としてこい。
それだけだと、さもレイラを裏切ったように感じるのだろうか。
こいつら割と仲良いし。
「まっ、あたしはあの薬師に義理立てするつもりはないけどね」
「……一緒に飯食ってんだろ、女子同士で」
ツクヨイから聞いたぞ。
「バ、バカ! ちがうよ、誘われるから仕方なくいってやってんだ! このバーカバーカ! ──ばべっ」
顔を赤くした十八豪はバーカバーカと言いながら舌を噛んでいた。
痛そうだ。
「だいふぁい、あんたこそそういうことふるっておもっへなかっはんだけど?」
(だいたい、あんたこそそう言うことするって思ってなかったんだけど?)
「いや、今からその話をだな……」
「──ローレント! いったいどういうこと!?」
ああもう、レイラが姿を現した!
話が進まん!
ブクマ、評価、感想、そしてここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。
書籍版、あと二日です!