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「トンスキオーネ、てめぇいい加減にしないと叩き斬るぞ」


 そう言って憤慨するバンドーレをトンスキオーネはカカカと笑っていた。

 詳しく話を聞くと、バンドーレファミリーはテージシティの草原に生息する魔物の間引きを生業としているらしい。

 表向きは狩り人のような立ち位置だが、裏では中規模マフィア相手のお助け戦闘屋。

 事と次第によっては、このバンドーレを獲得したマフィアが抗争に勝つとまで言われたことのあるファミリー。

 だが、荒くれ者が多く戦い以外では纏まりがない、そんな集団だった。

 部下を束ね、経済的に有利を勝ち取っていく、トンスキオーネとは正反対。

 そして何気に古くから付き合いがあったという。


 草原の黒い悪魔、そして彼らバンドーレが魔物の間引き屋と聞いて、俺はなんとなく察した。

 テージの草原で馬に乗って狼を従えて一人で連日狩りを行なっていたことがあったからな。


「草原を無双する姿はまさに悪魔だった、ああ、あの刀が怖い」


 ……なんだかトラウマを植え付けてしまっているようで申し訳ないのだが、俺、悪くなくない?

 少し腑に落ちないが、話が進まなくなるので良しとしよう。


「それで、いったいいきなりなんだってんだ? この俺がせっかく仲間増やしに奔走してるって時によ」


 悪態付きながら話をまとめるトンスキオーネ。

 なんとなく、俺の苛立ちを逸らそうとしているみたいなので、とりあえず逸らされておく。

 バンドーレが恐れてしょうがないからな。


「一つ、紹介したい奴らがいる」


「ふん……」


 鼻息を一つついて、俺の言葉を聞いたトンスキオーネの目が真剣になる。

 ニシトモと同じように商才を持つトンスキオーネならば、俺の言葉が何を意味するのかわかるのだろうか。


「誰を破滅させればいいんだ?」


「……まだそこまで言ってないんだが」


 のっけからそんな物騒なことを放ったトンスキオーネは、葉巻に火をつけながら首を横に振った。


「ニシトモじゃなくて俺に来た。それだけで面倒ごとなのが確定だ」


 なかなか説得力のあるセリフだ。

 その通り、トンスキオーネには兼ねてニシトモと連携して彼のイメージ的にあまりよろしくない部分での商い役を担ってもらっていた。

 そのために、色々と俺からも資金などを出している。


 バンドーレとの密会も、おそらくトンスキオーネ当たりが前もって動いていた準備というものだろう。

 戦闘に長けているマフィアNPCというし、テージシティで一悶着起こそうとしていたのか?


 そう尋ねてみるとトンスキオーネは頷いた。


「先手の先手だな。あんまり派手にやりすぎると、ファシミストロとノスタルジオに睨まれちまう……」


 葉巻の煙を口いっぱいに含み、吐きながら言葉を続ける。


「だが、事をおこさねぇ訳にはいかねぇ、ペンファルシオを解体接収し、テージシティの貴族と太いパイプができた今がチャンスだ。狙う首はマフィアの中でも特に大きなファミリー、少しでも後手に回ってみろ、一瞬で殺されちまうだろうな」


 特に、ファシミストロというマフィアが動き出そうとしている兆しがあるらしい。


「独裁女ファシミ……相談役の旦那と同じくらい強烈な雰囲気を身にまとった奴です……」


 バンドーレファミリーは抗争準備で手伝いに来いと招集命令を受けていたらしい。

 だが、条件的にかなり厳しいものだという。

 中小マフィアの中でも格は上の方に位置するのに、なんの報酬金もなしにいきなりアジトに呼び出され、最近ムカつくコーサーファミリーを徹底的に叩き潰すと言われたそうだ。


「はは、あの女らしいや。相手の利益は考えない。自分の方が上だと判断したら下は徹底的にいじめ抜く、そしてそれがさも当然のように思っている時点で、独裁女と言われる意味がわかるだろ?」


 トンスキオーネも心底嫌っているらしい。

 セリフを言いながら何度も眉を顰めて鼻息を鳴らしていた。


「けっ、ムカつく女だぜ」


「それには同意するぜトンスキオーネ。どうせ自分がこの世で一番美しいって思ってるんだろうな、俺にはただ厚化粧した年増にしか見えねぇ」


 トンスキオーネとバンドーレはそう言ってファシミストロの独裁女ファシミの悪口を言い合っていた。

 マフィアNPCの世界も色々とストレスが溜まるようで、大変なことだ。


「よし、トンスキオーネ」


「なんだバンドーレ」


「相談役の旦那を見て、俺はてめぇ側につくことにした……だが」


 ことが思うように進んでニヤリを笑うトンスキオーネに、バンドーレは一つの条件を出す。


「独裁女の願いを断りに行けば俺は必ず殺されるだろう、その後はファミリー全員皆殺しだ。だからその前に南の方に俺のファミリーを連れてくることはできないか? 田舎だとは思っていたが、意外と栄えているようだから住める場所があればいい、魔物の間引きをやっていたから手に職はある奴らだ」


 覚悟を決めた視線を送るバンドーレ。


「なるほど…俺の店の用心棒として表向き雇ったつもりにするだったんだが、それじゃダメなのか?」


「馬鹿野郎、おまえはファシミストロを舐めすぎだ。だから俺が命を償い、遠方に逃す事で清算しようって言ってんだよ。独裁女の怒りが発散されればなんとかなる」


「だが、おまえに死なれたら誰がバンドーレファミリーをまとめるんだ」


「……少し頼りねぇが、後任はすでに決めてある。どっちにしろ抗争が起これば俺は死ぬ可能性の方が高くなるし、断れば殺されてた命だからな、最後にうまいもの食わしてもらってよかったってもんよ」


 不器用な笑い声をあげて、頬の大きな傷跡をぽりぽりと指でなぞるバンドーレ。

 トンスキオーネは眉間にシワを寄せて吸った煙を大きく吐き出して俺をみる。


「さすがに殺されるのは益がねぇ、あの独裁女に一泡吹かせてやるにはバンドーレは完全にこっちの味方にするのがいいんだが、俺やニシトモは既にマフィアに顔が割れているしつながりもバレている。なんにせよ角が立っちまうって事だから……。コンシリエーレ、てめぇの口利きでこの辺にファミリーが借りれる場所はないか? ダメなら決着がつくまででいい、あの無駄にデケェ倉庫の二階を使わせてやってくれよ」


 決していいやつではないが、トンスキオーネは部下をしっかり教育するタイプの人間だ。

 戦闘で足りなければ自分が指揮に立つ、それで俺も装備を壊されたしな。


 決して、決していいやつではない。

 むしろ悪いやつなのだが……。

 なかなか熱い心を持ってるやつなので、一つ貸しにしておく。


「雇い入れるのが第三者ならばいいんだろ? よし、商談に行くぞ」









そろそろバトル回したいですね。


共有倉庫の件で色々と感想でご指摘いただいてますが、現時点では安心してくださいとしか言えません!すいません!


共有倉庫にしているローレントが悪いのもそうですが、ゲームで知らない人間にID教えたりするのはダメですよー。


ただ、このGSOというゲームは、殺し合い、奪い合いは容認してますし、すぐ敵対キャラとか作ったりして、なんだかプレイヤーキラー専用の拠点とか既にある雰囲気ですね。(予告)


倉庫から物が盗まれた!

ってクエストかもしれませんし、とにかくここが物語の起点ってことで、一つご理解お願いします。


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