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 俺は調べようにも村議会がどうとかこうとか、そう言うのには疎い。

 ある程度調べがつくまで、近場で過ごすことになった。


 遠くへ行けないのは地味につらいな。

 だが、だいぶ賑わっている第一拠点の町並みを見るのは新鮮だった。


 第一拠点は、テンバータウンのマップから東に進んだ場所にある大きな川の側に作られている。

 もともと、魔物が溢れて壊れた桟橋で、川の主を倒してことでエリア開放、そして拠点化が可能になった。


 さらにレイドボス急襲イベント以降、テンバータウンとの境目のフィールドもほぼほぼなくなってきた。

 これはレイラが第一拠点で得た資金を全て町の開発や維持に打ち込んでいる結果だな。

 土建屋チームによっていつのまにか第一拠点とテンバーをつなぐ道に壁が作られ、安全に行き来できる。

 もうほとんどテンバータウンの東自治区みたいな扱いになっているが、そのままプレイヤーの管理からNPC管理に移してしまえば面倒が少ない。

 レイラもこれを狙っているのではないか?


 もともと誰かがなんとかするしかなかったものだったので、なし崩し的にまとめ役のレイラが請け負っていたが、強制するようなものではない。

 やめたい時はいつでもやめていいのだ。


 さて、第一拠点はどんな代わり映えになっているだろうか。

 念のためフードをかぶって街を歩く。

 今の俺はノーチェとローヴォを連れたNPCだ。


 とりあえず拠点中央から西、テンバータウンから見ると東の部分に来ている。

 スティーブンから間借りしている部屋に重要そうなアイテムを保管して来た。

 そして戻ってきたと言うわけだ。


 入り口から入ってすぐ広場だったのに、木造建築が立ち並ぶようになっている。

 で、テンバーの公園をモチーフにしたみんなが風呂敷広げたりしている広場が存在する。

 そこからサイゼミアンと東遷の焼き鳥や、それにガストンたちのいる鍛冶屋が連なる。

 まっすぐ川に向かえば大きく建て直された桟橋と貿易船が見えてくるし、おそらくそこに新徳丸と山田丸、そしてマルタの漁師プレイヤーがいることだろう。


 東遷の焼き鳥や兼焼肉屋の先には、ログインログアウトできる宿ポイントと、NPCが移住できるスペース。

 そして件の村議会とレイラのいる村長宅兼ポーション工房が存在している。

 あとはそうだな、虫系モンスターがいっぱいいる南の藪やら沼地帯の方角にはそれぞれ適当なプレイヤーたちのホームとなる施設が貸し出されていたりする。

 クランやギルド、グループを作るプレイヤーたちがそれぞれ維持費を持ち回りして一つの家を借りる。

 なんとも賑やかになって来たことじゃないか?


「毎度あり」


「ごちそうさま」


 昼食がてら、初めて東遷の焼き鳥屋を利用してみた。

 なんとも美味でした、焼き鳥丼。

 ローヴォもノーチェも同じものを食べさせたのだが、完食。

 馬は大丈夫なのだろうか?

 ステータスに異常は見られないので良しとしておこう。


「上でたまにトンスキオーネさんが要人接待してるぞ」


「なに?」


 店を出る間際、呼び止められた。

 何かと振り向くと、どうやらたまにトンスキオーネが焼肉屋を利用しに訪れていると言うこと。

 テンバーとテージを行ったり来たりしていると言うことは、南の資源を取り扱い初めて、テージシティからその先へと流している可能性があるな。


 テージシティの先は確か、一つ中継地を挟んで王都。

 うむ、落ち着いたら王都へ行こう。

 ツクヨイが連れて行けとうるさいし。

 そろそろなんだかんだ引き延ばしにするのもまずいだろう。


「じゃ、また来てくれよな」


 適当に言葉を交わしたあと、次は船を見に行く。

 第一拠点の東は大きな川がある。

 大きく建て直された桟橋には船が停まり、そこからノークタウンへと人を運ぶ。

 プレイヤーたちの税金と魔石のおかげでエリアは少しづつ拡大し、川沿いには石を積み敷き基礎が作られ、その上に倉庫が並べられている。

 俺の借りている倉庫もそこにある。


「うわっ、なんだよ久しぶりじゃん」


「久しぶり」


 早速桟橋へ向かってみると、川上の方に小さな桟橋が新しくできていた。

 気になって近づいてみると、網を積んだボートにマルタが一人乗って作業していた。

 マルタは俺を見ると目を丸くして驚いていた。


「そこまで驚く必要ないだろうに」


「いやいや、たまに投網とか減ってるから生きてるんだなって思うけど、実際どれくらいぶりよ?」


「わからん」


 でもテンバーや第一拠点はちょくちょく顔を出していたが、川に来たのは本当に久しぶりだな。

 どう言う顔をしていたのかわからないが、俺の表情を見たマルタがため息をついた。


「まったく、自分が解放して色々と手を尽くした場所なんだから、たまには気にして見にこいよ」


 そう言って作業に戻るマルタ。

 どうやら破られた網の補修作業をしているらしい。


「手伝うか?」


「お、久しぶりに一緒に漁師やろうぜ。ローレントのスキル、持ち腐れてんだろ?」


 確かに持ち腐れている。

 この機会に漁師スキルいくつかやっちゃうか!

 アイテムボックスに眠っていた釣竿と諸々のアイテムを出す。


「なんか色々持ってんな?」


「ん?」


 竹竿のことか?

 やっぱり川といったら竹竿でござんしょ。


「六角ロッドよりつかいやすいぞ」


「……一本くれよ」


「ほい」


 竹竿がある場所は未だに謎だ。

 スティーブンに以前クエスト関係で連れていってもらった場所にしかない。

 バッドパンダが生息する竹やぶで、俺はそこで外道の称号を得た。

 たまたまパンダの子供を殺しただけなのに。


「いいね、このしなり。やっぱり竹竿でしか無理だ」


「だよな」


 お互い猟具には造詣が深い。

 俺とマルタは釣竿を桟橋のロープに固定すると、連れた小魚をくくりつけ泳がせ釣りへと切り替えた。

 その間に網を補修して行く。


「そうだ、生け簀も見ていけよ」


「む?」


「ちょっと面白いもんが見れるぜ?」


 なんだろうか?

 桟橋ができたことで少し上流へと移動させられた生け簀に向かってマルタが船を漕いだ。








発展した第一拠点の模様をローレントが振り返ります。

投稿開始から一年以上経ち、そして書籍化。

今日改めて見本が届き、手が震える思いでした。


そんな思いで第一拠点を振り返りながら書いてました。

懐かしいキャラの名前、意外と覚えてるんですよね。

だいぶでてなかったキャラクターの名前なんかも。


ここまで思い入れ強くなって書けているのも、読んでくださる皆様のおかげです。

いつも誤字脱字が多い中読んでいただけましてありがとうございます。


さらにブクマ、評価、感想までいただけて。

なろうに小説投稿初めてよかったと身にしみる思いです。

私からのお返しを何かしたいのですが、頑張って書くことしか思い浮かびませんね……。






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