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おはようございます。今日も1日頑張ってください!


 正直に言えば、それと劇毒がどう繋がると言うのだろうか。

 この倉庫には高級サロンなどがあるが、重要な装備なのは負いておらず、単純に静かに遊べる空間があるだけで、それ以外は全て資材類だ。


 有事の際はレイラの師匠エドワルドに、溜め込んだ物資を使ってもいいとしているし、焼肉トウセンや第一拠点の街をいくつか壊してしまった件でも、ここから補填分の資材を出してるんだぞ。


「むしろ尽くしてやってるよな」


「ええ、私共々、かなりの利益を第一拠点には運んでるはずです」


 ニシトモに話を振ると、大きく頷いていた。


「そうよ、貿易船のエンジンはローレントの個人所有だけど。実際に運営しているのはニシトモ、そして商人は収入の一部を活動する街に支払うことが必要だから第一拠点はそこそこ潤ってるわよ」


 だったらなんでまた……と、言う前にレイラが言葉を続けた。


「まあ、その稼ぎ全部飲食店作ったり、みんながログインログアウトできる宿をアップグレードしたり、プレイヤーに還元して、最低必要元の運営費には残りカスしか当ててないんだけど」


「そりゃ議会の連中も怒るわな」


 あーもう、と丸太に座っていたミツバシが力なくうなだれていた。


「レイラさんのやり方は素晴らしいですが、一度村議会なるものが根付いてしまったら、彼らとうまくやっていくしかないと思いますよ?」


「いやいや、私に言われたって……ただの薬師が片手間でやってただけなのよ、村長なんか。こんな大きな規模になったらまとめきれる分けないじゃない」


 レイラの意見はもっともだ。

 彼女はまだ25歳くらいだったはず、発展の規模はただのクランとかギルドを超えているから、クラスの委員長みたいなまとめ方と方針では無理もあるのだろう。

 彼女は溜まっていた鬱憤をぶちまけるように言葉を続ける。


「みんな自由に活動しできるようにこう言う形式にしたのよ? 後から来て文句を言われる筋合いはないと思わない? 時間も何も縛られるし、さっさと信頼できるNPCに引き継いだ方がいいのよ!」


「それは同感。ネトゲのプレイヤーは一部以外は信用できないしな。NPCに運営を任せることができるようになれば旨味は減るかもしれないけど、そんなもんあってないようなもんだ……なあ? 石工屋?」


「ガハハハッ! 俺らは生産活動ができて面白おかしく暮らせりゃいいのさ!」


 そして生産職たちの視線がニシトモに向かう。


「ニシトモあんたがやりなさいよ。旨味たっぷりよ?」


「お断りします」


「なんでよ!」


 即答されるレイラだった。


「商人が内政に干渉するのは別に否定はしませんけど、そのまま治めてしまうと言うのはちょっと私の理念に反しますからね。旨味の幅は広がっても、自由の幅が狭くなります」


 商人以外の責任を負うと後々デメリットになってくるので、ニシトモの身にあまるらしい。

 そんなもんなのだろうか、まあ俺は理念であるならば仕方がないと思う。


「ならローレントがやってみればいいじゃねぇか! ガハハハッ! 議会の連中も恐怖ですくみ上っちまうぜ!」


 恐怖? 聞き捨てならんな。

 人をなんだと思っている。


「三日で潰れるわよ」


「それもそうか! ガハハ!」


 好き放題言ってくれるな、まったく。

 他にも色々と代わり映えしないか確認した俺たちは、そのまま二階に戻る。




 村議会の誰かが盗んだと言うことで話はまとまった。

 みんな疑心暗鬼にならなくてよかったよね、劇毒なんだから、盗んだなんて誰かが誰かを毒殺しようとしている時に違いないのだが……。


 それはここ以外の盗んだ真犯人にも言えることなのだ。

 問題は劇毒が盗まれてしまった、その一つに絞られた。


「あいつらが劇毒に手出しできるはずもないな」


「戦闘はからっきしで議会やって話し合って悦に入る物好き集団だから」


 ミツバシとレイラが酒を煽りながら倉庫を確認した結果をここにいるメンバーに話す。

 生産職をやっているメンバーは、各々に注意しなければならないと言うことだ。

 以前アイテムを多く持ったプレイヤーキラーがはびこっていた、今回はレアアイテムを持っていることが発覚すると村議会に接収されてしまう危険性がある。


「……これが明るみになったら少々まずいであるな」


「なんでです?」


 ガストンの言葉にツクヨイが首をひねる。


「いや、第一拠点に物を置いてるとぶんどられるってことであるから、頭の回す生産職やプレイヤーはすぐにでもテンバータウンやノークタウンなど、プレイヤーの手が届かないNPCの自治体へ活動拠点を移すのである」


「確かに……」


「潔白性が大事よね、その証明って悪魔の証明みたいなものだから、あえて無給にして還元してるわけなのよ?」


「ほぇぇぇ、お姉様素敵!」


「……話がよくわかってない子供モードやめなさい」


「あいたっ」


 だったらどうするか、という話になるのだが……。

 正直関わるのが面倒なので、テンバーに倉庫作ってそっちに物を移動させてもいい。

 もしくはテージシティでトンスキオーネに監視させてるアジトに拠点を移してもいいな。

 最悪、新天地を求めて王都でもいいだろう。

 どちらにせよ、早い段階で俺は手を打った方が良さそうだった。


「別所へ移るのが面倒が少ないな」


「そうだが……それしかねぇのか?」


 ミツバシ、イシマルからそんな声が漏れる。

 こうなってしまえば仕方がないが、工房持ちのガストンやサイゼミアンを切り盛りするサイゼとミアンはどうなるのだろうか。


「我輩はあとは弟子に任せて新天地に向かうのは有りだと考えているのである」


「ガストンさん……」


「だが、サイゼとミアンはだけを残していく選択肢は、第一生産組には無い」


 イシマルとミツバシをギロリと睨んだ。

 早々に切り捨てる決断をしたミツバシは苦笑いをしながら観念したように肩をすくめた。


「わかってるってば」


「貴殿は逃げ癖があるからな」


「面倒くさいのと怖いのは仕方ねぇ、俺には遠のく以外の対策ができねぇし」


 とりあえず調査を進めて、本当に村議会の連中が勝手に毒を持ち出して、そして誰に横流ししたのか判別ついてから行動を起こすことになりそうだ。


 だが、有事の際には行動を起こせるように準備をしておくこと。

 最悪の場合、みんな持ち回りの店を捨てる覚悟はできているってことだな。








8月3日ですね、あと七日。

今日見本が届いて手が震えてます。





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