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「してローレント」


「はい」


「活動を通してテンバーやノーク、そしてテージシティに多大な寄付や素材通過、魔石の流通を商人を通じておこなっとったようじゃな」


 ……やっぱりなぜか今までやって来た活動がバレてるんだよなあ。


「特に南の辺境地を収める辺境伯から、諸々の書状がわしのところにも届いとった」


 あいつのせいか!

 トンスキオーネあたりの悪事はバレてないだろうな。

 いや、俺はあいつに悪事を支持してないないが、ニシトモとトンスキオーネのことだ。

 好き放題やってるに違いない。


「……そうなんですか、色々お見通しで?」


「師匠パワーじゃな、わしには弟子のことはよく分かる」


 こわ。

 なにそれこわい。


「色々とやらかしてくれたのも事実じゃが、それ以上に各所で貢献しとるからわしも鼻が高いのは確かじゃ」


 なんかいきなり態度を軟化されるとすごくくすぐったい。


「故に、レベル上限を見たしとらんが、大きく制限を設けた上でテレポートのスキルを渡そう」


「……いいんですか?」


 貰えるものは病気以外なら欲しい。

 が、レベル10あげるのなんぞ十日あれば十分。

 もしくは格上キリングに向けて入念なる準備を進めてフィールドワークだ。


「最近、良くない動きが多い。裏をとっとるわけではないからまだ詳しくは言えぬがのう……とにかくいろいろを気を配れ、お主、自分では気付いとらんかもしれんがだいぶ目立っとるからな……」


 急に真剣な顔をするスティーブンだった。

 良くない動き……?

 レイラも言っていたが魔人が現れて、さらにプレイヤーキラー……いや裏ギルドの動きも活発化していると聞く。

 だからこそゲームの中でも諜報戦。

 今やある程度の活動基盤を築いた第一陣プレイヤー達の戦いは陣取り合戦。

 国取りレベルに傾いている。

 もっとも、それを容認する運営が悪い。


「気付いてないというより、気にしてないというか……ローレントさんって身内以外鼻くそみたいな感覚で見てますよね」


 別に鼻くそではないが、単純に視線がおかしいやつが多いからな。

 興味本位で近づいてこられても面倒だし、色々とやっかみごとが多いから関わらないようにしてるだけだ。

 変な奴らに粘着されるのは困る。

 だが、プレイヤーキラーはどんとこい。


「そういえば一ついいですか」


「なんじゃ?」


「スペル・リジェクトはまだ先なんですか?」


「そうじゃな」


 そうじゃなって。

 もっと寄越せよ情報。


「余計な話しとってもいいのか? 滑空状態じゃから落下地点まではまだまだ余裕はあると思うが、それでも時間は限られとるぞ」


 そうだった、よし師匠さっさとスキルを伝授してくれ。

 改めてスティーブンがチラつかせるスキルブックに手を伸ばした時。


「なっ!」


「この移動法はなかなかええのう〜年甲斐もなくはしゃいどるわい」


 そう言いながら俺と同じようにローブを足に固定し、擬似的なウィングスーツを作り上げたスティーブンは、長い白髪と白ひげをはためかせ、ぴゅ〜と遠くへ滑空して行ってしまった。


「……師匠って意外とお茶目感ありますよね」


「はぁ……そうだな……」


 わざと弟子を危険な場所に連れて言ったり、倒せない敵をぶつけたり。

 サイクロックスに足の骨をへし折られた時は軽く怒りを覚えたような、覚えてないような。


「だが、追いかけっこは得意中の得意だ」


「追いかけるというより……掃討戦が好きなんですよね?」


 ……そうともいう。

 大好きだ、掃討戦。


「空蹴」


「きゃっ!?」


 滑空して行ったスティーブンに追いつくために、ストレージから転移させた石柱を蹴り飛ばし、その後空中を蹴って加速する。

 蹴るときにアスポートでストレージに戻しておけるからみんなの迷惑にもならないね。やったね。


「ほら、しっかり捕まってろって」


「す、すいません」


 少しずれて俺の腹にしがみつくツクヨイを持ち上げ、足を腰にしっかり絡ませる。

 なんならローブで縛っておくか。


「あ、あのあのあの、この位置はさすがに」


「ん? いや、しのごの言ってる場合じゃないぞ」


「……ひぇぇ、は、恥ずかしい」


 恥ずかしい?

 いったいなにを言ってるんだろうか?


「ま、まさかこんな形でだいしゅきホールドしてしまうなんて……ひぇぇ」


 そんなことを呟くツクヨイを尻目に、スティーブンへと追いすがっていく。


「エナジーブラスト!」


「む? ──誰が攻撃の許可を出したか! この不肖の弟子めが!」


 ギリギリのところでテレポートで躱されてしまった。

 当てる気で撃ったんだが、さすがに通用しないか。


「どうせ当たらないと思って」


「白々しいのう」


 しれっというと、スティーブンは呆れた表情をしながらため息をついていた。


「……そんな問題じゃないんですが、なんだか二人とも楽しそうな顔してますね」


 そういうおまえは顔真っ赤だけどな。

 さて、石柱を使ってさらに加速し、スティーブンに並ぶ。


「おわっ!?」


 いきなり杖が飛んできた。


「どうせ当たらんじゃろ」


「いや、避けた拍子にツクヨイに当たってるんですが……」


「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」


 ローブで俺の身体に脚をくくりつけられたツクヨイは器用に後頭部を手で押さえて悶絶していた。

 相当痛かったんだなぁ……。


「す、すまん」


「隙あり!」


 おろおろするスティーブンの隙をついて懐からスキルブックを奪う。


「なんの転移魔法」


 ず、ずるい!!!!!!!!








書き溜め終わったド○クエだあああああ!!!!!

空中スキルブック合戦でした。


師弟愛も見えたところで、そろそろ懐かしの第一生産組との絡みが、久しぶりに展開しそうな予感です。





↓書籍版では第一生産組として活躍するプレイヤーに挿絵のスポットが当たっています。

↓活動報告でも八月入りましたら少しづつキャラクター立ち絵の紹介もしていきますねー。



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