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明日も二回更新マン


「──グウオオオォォォォ……!!」


 地の底から這い出てくるような声だ。

 実際に地面から這い出てくるわけだけども。


 さて、確かエンゴウは怒りによってその炎の強さを変化させる。

 やる気なしモードで火柱光線。

 ちょっとムカつくで火をまとって火球攻撃。

 激おこ状態で業火をまとい、動きも高速化してなんでもありになる。


 強襲レイドイベントは、大きく弱体化されていたらしいが、それでも火球攻撃はやばかった。

 弱体化なしでサイクロプス相手に放った嫁を守る一撃はさらにとんでもなかった。


「ほっ」


 全身が燃え上がる。

 でも装備は燃えない、不思議。

 身体に火を纏うことは意識一つでできるようだ。

 魔纏とか魔闘と同じ要領でもある。


 説明もなしに全てがうまくいくとは思わんが、あくまで武術的な理屈で考えれば、怒りとは動の気そのもの。

 憤怒も激昂も、全てその身に静かに内包することは不可能。

 ガラスケースに入れた爆薬に火をつけてみろ、その容器は砕け散る。

 そんな扱いだ。


 だから、動の気を解放するというか。

 そういうニュアンスでやればいけるかなって思って──、


「うわっ!? ローレントさんが激しく燃えてます!?」


「うーん、わりかし本気になってるみたいだな」


「美男子さん、素晴らしいですね。割と冷静そうで腹に一物ありそうでしたが、意外と情熱的な方なんでしょうね?」


「いやそれはないです」


「ないな」


「即答ですか。ツクヨイさんにトモガラさん」


「私もトモガラさん程にあの人を知ってるわけじゃないですが、頭のなかわけわかんねーですよ。……でも悪い人ではないってことだけは確かですね」


「まぁ、善人ではないけどな」


「あらまあ、散々な言われようですね」


 ……聞こえてるからな、おまえら。

 今なら最大威力の下級をお見舞いしてやれたが、それは目の前のデスクリムゾヌスにとっておこう。


 いよいよご尊顔が見えて来た。

 巨大化したモノブロよりもさらに圧倒的な大きさ。

 そして立派な一角を持ちの巨人のようだった。

 屍肉を食らうくらいだから、生存競争には敗れたようにも思えるが。

 モノブロの説明でははるか昔の魔物だってことになってるから。

 昔はいたんだろうな、そういう魔物が。


 とりあえずゲームだから深くは考えないことにした。

 考えても意味はない、俺が考えることは……目の前の巨大な一角巨獣悪魔に最大出力であろう火球と放って消し炭にすることだけだ。


「グゥゥウウォォォオオオオオオ!!!」


 吠える巨獣に、太陽をぶつける。

 デスクリムゾヌスの出番はここで終わりだ……とは思ってない。

 火が弱点なだけで、死ぬことはないだろう。

 火球の中へと入り、そして衝突と同時に攻撃を行う。


 邪魔な角をへし折ってやれ、目障りだ。

 レイド級の獣化は楽しいな。

 無属性の俺が火属性を使える。

 そして力によるゴリ押しが可能になるなんて、なんという快適さ。


 顔を出したところに火球を打ち込まれ。

 そしてその火球に包まれながら顔面をボコボコにされていくデスクリムゾヌス。

 ああもう、言いにくい名前だからゾヌスでいいか。


 顔面攻撃といえば俺の十八番。

 悲痛な叫び声をBGMにして、耳、鼻、目、口。

 そしてへし折った角を脳天に突き刺してやる。

 あと延髄も噛みちぎってやれ。

 ははっ、今の俺はエンゴウだ。

 後ろから首を蹴りつけると簡単に折れた。


 そして火球が消えた頃には顔面全ての器官を潰され。

 脳天にへし折られた角を突き刺され。

 骨がむき出しになってグニャリと折れて歪んでしまった首をさらけ出したゾヌスだった。

 ゾヌス、デス。


「む、むごい」


「う、うわぁ、こわっ、なにこいつ、ぜってぇ勝てねぇよ」


 ツクヨイとモノブロが顔を歪めてそんなことを言っていた。

 確実に殺しにかかるならば、このくらいやって当然とも言えよう。


「悪魔の急所がどこかわからんが、レイド獣化ならば初手封殺が可能みたいだな」


「いや、普通はあり得ないと思う。ってかあり得ない! いやだこんな奴獣化させたままとかいやだ!」


 モノブロのそんな叫び声が聞こえたと思ったら俺も、ツクヨイも、トモガラも、モナカも。

 シュパッと切り替わる音がして最初の格好、体型に戻っていた。


「にゃ、天然の猫耳がぁ〜、なんか勿体無い」


 ツクヨイがすごく残念そうにしている、意外と気に入っていたのかもしれないな。

 そしてどうやら戻る時は一瞬のようだった。


「戻ったとしても俺はてめぇに借りを返してねぇ」


「はっ──」


 指と首の骨をパキパキと鳴らし、散々妖精化で苦しめられていたトモガラが怒りの表情をあらわにしながらモノブロへと近づいていく。

 うーん、モノブロが哀れに思えて来たな。

 俺と戦う前なら大きく余力を残していただろうが、今では色々と力を使い果たしている。


「ま、また妖精化するぞ!?」


 そんな脅しも、トモガラには通用しないみたいだ。


「ああん!? やってみろや、それ使われる前に百発殴ってやっからよおっ!」


「……す、すいませんでした!」


 恐ろしい顔でメンチを切るトモガラに、モノブロは恐れをなして土下座した。

 それはもう、すごい勢いで土下座して地面に頭を擦り付けていた。

 なんか、ヤンキーとそれを侮っていたイキリヲタクみたいだな。


「あ? いまさら謝ったところでどうすんだよ? ごめんで許されるのか? どうすんだよ? あ? おい、ほら、やってみろよ妖精化ってやつをよ? おい? ほらどうした? ん? あ?」


「い、いや……一人につき一日一回までなもので……はい、あの……まじ、すんません……ほんとあの……我、調子のってました……はい……」


「謝って済むなら警察いらねーんだよ!!!!」


 トモガラが、モノブロの耳を掴み上げて無理やり立たせた時だった。


「イダダダダダダダ!!! ──ってあれ!?」


 視界が大きく切り替わった。

 暗い洞窟から、再び白銀の雪原へ。

 これはテレポートだな。

 スティーブン……。










ここまでお読みいただけまして誠にありがとうございます。


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