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おはようございます。今日も一日お仕事頑張ってください!



「べ、便利ですね」


 ツクヨイを抱きかかえ、ローヴォを背負いながら洞窟の壁を駆け上がっていく。

 空蹴は便利なのは周知の事実だ。

 そのためにクリムゾンコニーを仲間に入れたんだ。

 まあ、運良くこの能力が手に入るとは思わなかったがね。

 ジャンプして移動する長距離移動能力が手にはいれば御の字だった。


「いずれ、風属性の魔法職は空を飛べるみたいです」


「へえ、そっちの方が便利だな」


 無属性魔法職の俺には空中浮遊なんて夢のまた夢だろう。

 リアルならばあぐらをかいたまま、ジャンプすることはできる。

 が、浮くことはできない。


 いいなあ、俺も空を飛びたい。

 ……契約魔法のレベルがあがったらいっちょやっちゃうか。


「その次は錬金術師が空を飛びます」


「そうなのか?」


「コストパフォーマンスは偉いこっちゃですけど、錬金術は全てを代用可能なスキルでもありますし」


「……俺も」


 そこまで言いかけた時、ツクヨイが慌てた。


「いやいややや! ローレントさんはダメです!」


「なんでだ?」


「私が専属錬金術師じゃないですかー!」


 え、そうだったのか?

 ツクヨイおまえ、俺の専属錬金術師だったのか、衝撃の事実。


「と、とにかくダメです! ローレントさんは戦いと漁師のことだけ考えてください!」


 ええ……それでいいなら、そうするけど。

 専属錬金術師ならもっと錬金アイテムを俺にくれ。

 いらない素材は全部投げ渡してたけど。

 ツクヨイの錬金にあんまり衝撃的な印象はない。


 それを伝えると。


「ガーン!!!!!!」


 なにやら衝撃を受けていた。


「そんなー! 捨てるんですかー! いやだー!」


「俺の装備に顔を擦り付けるな」


 癖になったらすっごい困るんだが。


「わうわう」


 ほら、ローヴォまで真似して俺の肩に背中越しに顔を擦り付けて来る!

 ばかたれどもが、ムカデの海に置き去りにしてやろうか。


「いたっ!?」


「わぉん!?」


 とりあえずゲンコツしておきました。

 ツクヨイはとにかく、ローヴォまで一緒になってはしゃぐ必要はない。


「ローヴォちゃんだって構って欲しかったんですよねぇー?」


「わぉーん……」


 子供の時ならそのノリは適応されるが、もう成獣になってるしなあ。

 それに、クラスチェンジでそこそこでかい図体してるから、甘えられると俺が本気出して相手しなきゃいけなくなりそうでなあ。

 それでもいいが、加減が難しいし、一歩間違ったら死にかねん。


 そうこうしているうちに、洞窟の壁を登り終えた。

 トモガラとモナカはどうせ罰ゲームだし、死に戻りしても街に戻されるだけだからいいとして、地下は色々探しても芳しい答えは見つからなかった。

 もともと知識を試す洞窟だってことで入ったわけだ。

 力押しでなんとかなるものではないと心得てはいた。


 ちなみに、地底湖の底に何やらどこぞへつながる洞穴があったのだが……。

 そこに入るくらいなら自害するとツクヨイが発狂したためおじゃんになった。

 確かに怖いだろうが、水着まだ数着持ってるっぽいし、それを使えば水中で窒息死することはない。

 俺は漁師スキル持ってるから水中でも激しい運動がなければソコソコ保つし。

 空気の入った空コンテナとか倉庫を転移できるから、いけると思ったんだけどなあ。


「どうしても水着が見たいなら……着ますけどね! 二人っきりの時に!!!」


「……いや、別にいいやじゃあ。もう洞窟登り終えたし」


 今更言うなってことだ。

 超高飛び込みを再びやってもいいが、ケイブスタブが再び湧いていたとしたらものすごく厄介だ。


「けっ」


 冷静に別にいいと告げると、投げかツクヨイはやさぐれてしまった。

 ……俺がいったい何をしたって言うんだ?

 やさぐれるツクヨイは放って先へ進む。

 やさぐれてる割には後からちょこちょこついて来る。

 うーんわからん。


「ムカデはいないみたいだな」


「いない方がいいです」


 分かれ道を戻り、下ではなく上へと向かう。

 ムカデが大量に出て来た場所だ。

 ここが正解ルートなのかはわからんが、下になにもなかったのを顧みると濃厚そうではある。

 ムカデのドロップも一つ、気になるところ。


 昔は蜘蛛の子供相手に乱獲してレベル上げに励んだな。

 虫は大したものをドロップしないが、経験値効率だけは動物より良かった。

 クラスチェンジして、特殊な素材を落とすモンスターもちらほら見かけるので、しっかり狩りしたいのが俺の意向でもあるのだが、ツクヨイが許してくれそうにない。


「早くこんなところでましょうよ!」


「そうだな」


 でも冷静に考えれば、ひたすら寄って来る習性を持つ虫だ。

 闇属性魔法スキルは基本待ちスキルが多いし、相性はいいと思う。

 あの量はさすがにツクヨイ一人だと厳しいが、うまく立ち回れるようになれば余裕だ。

 前後左右、そして足元と頭上合わせて計六体。

 うん、一体につきダークボール二つで足りる計算になるな。

 雪山に来て結構介護されっぱなしだったし、ここは一つ、兄弟子の立場として修行をつけておく必要がある。

 俺も洞窟で無謀な修行やらされたしいいよね?


「あ、あの……顔が怖いんですが……何考えてるんですか?」


「ん? なんでもないよ?」


 とりあえずゲリラ的に行うのでニコニコ愛想よくしておく。


「え? こ、こわっ」


 ちっ、……絶対に手加減はしない。

 ハードモードだ。

 だいたいブラックプレイヤーを自称しとる癖にグロいものやエゲツないもの。

 さらには虫やらなんやらが苦手なのがおかしいだろう。









ローレントが空飛んだら、どうなるんだろう……。




あとがき小話(飛ばしてオッケー!)

書籍一巻には当然第一生産組のメンバーが登場します。

書いていて懐かしい思いでした。

一年前ですからね……ほろり。


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