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更新!
ケイブスタブとの戦いが終わって、周囲を確認しては見たものの。
トモガラとモナカの姿は見当たらなかった。
フレンドメッセージにて連絡がつくかと思いきや、どうやら制限されているみたいだ。
陸の孤島ならぬ、洞窟の孤島。
いや、意味わからんんだろ、なんじゃ洞窟の孤島って。
そんなセリフツッコミも珍しく俺の脳内に浮かびつつ。
ツクヨイとともに出口を探して歩みを進める。
ミニマップに洞窟内は表示されない。
「完全に覚えゲーマップですかぁ」
とツクヨイは肩を落としていた。
マップなんぞに常に頼るからいかんのだ。
「だったら目印だな」
俺はそう言いながら懐かしき黒鉄の双節棍にて洞窟の壁をガキガキと削り目印をつけて行く。
リアルな世界観だからプレイヤーが作ったオブジェクトはモンスターもしくは人によって壊されるまで残り続けるのを利用するのだ。
「久しぶりにヌンチャク見ました」
「ん?」
「一時期、三節棍とかヌンチャクとかばっかりでしたよね?」
「そうだな」
三節棍は六尺棒が壊れたのを無理やり直して作ったものだったりする。
双節棍にも、壊れてからあまり使わなくなった武器だったが、そろそろ持ち替えて置くべきか?
狭い洞窟内で六尺棒の取り回しは面倒だからなあ。
アイテムボックスには以前プレイヤーキラー三人衆から奪ったアイテムがいっぱいある。
九節鞭が二つあるからダブルハリケーンじゃなくて、繋げて十八にしてシングルタイフーンでもいい。
でも黒鉄の双節棍は攻撃力が今の世代の武器に追いついてない。
昔は黒鉄、超強、最強!
って具合でレア度も高く良かったのだが、テージシティから魔銀の情報が入ってくるとなると。
みんなこぞって集まるだろう。
黒鉄にて稼がせていただきましたが、今回も魔銀にて稼がせていただきましょう。
ニシトモさんよろしくお願いします。
「ってか見えてるならいってくださいよ!」
「俺もローヴォの能力で夜目が効いていること忘れてたから」
「ですね、カンテラも松明も、夜目のスクロールも対処できませんし」
暗視のスクロール……そういえば昔あったなあ。
ツクヨイがせこせこ量産して小遣い稼ぎに利用していたイメージ。
「そういやスクロールって今はどうなってんだ?」
「ああ、非常用に色々と開発は進んでいますよ。錬金術スキル持ちのプレイヤーも増えましたし。ほら、生産職オンリーになれるようになったので、みんなとっかかりやすくなったんだと思います」
俺の右隣でさりげなく袖を掴みながら話すツクヨイ。
お互い夜目が効くんだから手を繋いだり、腕を組んだりする必要はもうないと思うのだがな。
「そうだ、見ます?」
「見たい」
ツクヨイはアイテムボックスからフェアリークリスタルを取り出して見せてくれた。
【フェアリークリスタル・Ⅲ】
冒険を補助してくれる妖精を使役する。
使用後はクールタイムが必要。
・補助スクロール三種類使用可能。
・耐久100/100
【中級フェアリークリスタル・Ⅰ】
冒険を補助してくれる妖精を使役する。
使用後はクールタイムが必要。
・中級補助スクロール一種類使用可能。
・耐久100/100
「フェアリークリスタル自体は、まだ必要素材とかクエスト自体受けれないものが多いので、中級の初歩で止まっていますが、スクロールは色々種類ができていますよ」
「ほうほう」
ツクヨイはこれまた懐かしき露天風呂敷を敷いてその上に並べていく。
これの方が見やすいからな、アイテムとか。
【速度上昇のスクロール】
素早さ上昇(小)の効果を得る。
【攻撃上昇のスクロール】
攻撃力上昇(小)の効果を得る。
【防御上昇のスクロール】
防御力上昇(小)の効果を得る。
「おお、色々と基本的なものが揃っている」
「前までは試行錯誤状況で色々と不安定でしたけど、なんだかんだ生産体制が整ったというか、掲示板でのレシピ公開とか錬金術スキルが広まったおかげで、安定してきました」
ツクヨイがいうには、ここに色々とアレンジを加えて効果を上げたりできるそうだ。
錬金術、奥が深い。
これは近接職向けのスクロールになっているが、魔法使いには各属性であるらしい。
【無属性のスクロール】
無属性魔法の効果上昇(小)を得る。
【火属性のスクロール】
火属性魔法の効果上昇(小)を得る。
【水属性のスクロール】
水属性魔法の効果上昇(小)を得る。
【風属性のスクロール】
風属性魔法の効果上昇(小)を得る。
【地属性のスクロール】
地属性魔法の効果上昇(小)を得る。
「でも魔法属性のスクロールは少し制作コストと手間がかかりますので、あまりお勧めできませんね。魔法スキル持ちは自分で魔力ブーストだったり威力上昇くらいならスキルでやれますから」
「だろうな」
でも少しでも地力を上げたい人にはもってこいだな。
この(小)の効果でもバカにはできない。
鎬の削りあいはそういうもんだからな。
「あとは……こんな感じですね」
「ん?」
【精神安定のスクロール】
あら不思議、使えば妖精さんが気分を落ち着かせてくれる。
混乱の異常状態解除、耐性付与。
攻撃力低下(小)。
【興奮状態のスクロール】
速度上昇(小)攻撃上昇(小)、痛覚鈍化。
防御低下(小)、使用度一定時間HP低下。
「もしかして、効果を増やすには低下効果を入れればいいとか?」
「あ、気づきました?」
そうなんです、とツクヨイはいう。
錬金術スキルは等価交換(※ただし、それにかかる魔力は手数料)らしい。
なかなか面白いよなあ。
だがしかし、湯水のごとく魔石を使用するので、レイラから拠点のメンテナンスに魔石を使うから節約しろと言われているらしい。
自分の個人保有分ならいいと思うんだけどな?
「ちょっと足りなくなっちゃって……てへっ」
「それはダメだろ」
「レイラお姉様にすっごく怒られました。あ、お茶飲みます?」
「ありがとう」
さて、小話もそこそこに風呂敷の上で腹ごなしを済ませた俺とツクヨイは、改めて洞窟攻略のために歩みを進めるのだった。
唐突に一年くらい前のスクロールの情報が上がってくる。
とりあえず地の文であんまり書かれてませんでしたが、やばくなったら使ってるのが回復のスクロールでございます。
ローレントのフェアリークリスタルもこの辺りでアップグレードですかね。
必要あるのか問題ですが、そろそろ感想でもありました通り、第一生産組との絡みを書きましょうとのことで、色々とやりたいことが溜まっていく。
そして掲示板会が潰れる。っていうね!!!
あとがき小話(読み飛ばしてもオッケー!)
今日もジムで汗を流しました。考えが煮詰まると良い刺激です。
書籍版について感想でちらっと書かれておりましたが……大幅改稿してます。
ウェブをご覧の皆様に、キャラは踏襲してますが、また違った形を提供したいという思いの上、がっつり書かせていただきました!
読んでいただいております皆様のおかげで、ここまで来ることができました。
感想、評価、ブックマーク、いつも応援いただけまして、まことにありがとうございます。
ツイッターでくだらないこと呟いてますんで、ぜひ見てくださいね〜笑




