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「一つ、約束事をしませんか?」


「なんだ?」


 適当に解体された熊の手を煮込んでいると、ツクヨイが俺の目の前にしゃがみ笑顔を作っていた。

 黒いインナー見えてるぞ。

 まあスケベの視線なんぞここにはないがな。

 見渡す限り、銀世界だし。


「ローレントさんは、料理をしないでください」


「えっ」


 な、なんと言うことを言い出すんだ。


「ちなみにそれ、何を煮込んでいるんですか?」


「ああ、皮を剥いだ熊の手と胆嚢、肝臓、睾丸だな」


「こっ!? ──なんつーもんを入れてるんですかぁっ!」


 バカを言うな、これが冬の山中にはよく効くのだ。

 体力増進、そして内臓からホッカホカだぞ。


「うーん、そんなに美味しくないけどこんなもんだな」


 適当に雪山を散策した後、俺たちは魔物を狩って食料を集めながら山小屋へと帰還した。

 せっかく熊を数頭狩ってわざわざトモガラが生産解体して引っ張ってきたというんだから、熊づくしがやりたくてエプロンを身にまとい、そして山小屋に放置されていた鍋を使って熊鍋を作っていたのだが……。

 おたまで汁を掬い味を確認してそう告げると、トモガラに頭を叩かれた。


「……俺もつくづくこいつの作る飯がまずいとは思っていたんだけどよ、ツクヨイ。これは味音痴とかそんなレベルじゃなくて、不味くても食べれればオッケーって考えてるくそったれだったんだわ」


「……スティーブン師匠も特に味がついてない焦げた豚肉を食べさせられたことがあると言っていました。もう、ローレントさんはその辺で暇を潰していてください」


「あらまあ美男子様でも欠点があったのですね」


「いやモナカ、こいつに限っては戦い以外は欠点しかないぞ。社会不適合者に近い、武術系ニートだったしな」


「なんだおまえら、もういいわ」


 拗ねた拗ねた。

 せっかく俺が冬の代名詞、熊鍋を作ってやろうと思ったのに。

 隠し味に脳みそ入れたのが悪かったのかな?

 ドロドロしていて、なんかおわぁってくる味だ。


「ウォフッ」


 慰めてくれるのはローヴォとルビーだけだと思ってもふもふたちに構ってもらいに行くと、ローヴォはなぜか俺を煙たがっていた。


「おまえも俺を料理下手だと言うのか? 厨房から追い出すのか?」


「……自分でサンドイッチ作って食うくらいの器用な犬だと思ってたけどよ。普通に主人の出す飯がまずいから作らざるを得なかっただけっぽいな」


「ワッフ」


 おい、ローヴォ。

 トモガラに同意してんじゃねぇよ。

 ルビーからはけられた。

 雪山に来てからついてない。


「暇だから塩漬けでも作るか……」


「何泊する気だよおい」


 止めてくれるなトモガラよ。

 雪山はなんだかそわそわするもんだ。

 入念なる準備をしなければ冬を越すことが不可能、それだけ、自然の猛威として強くのしかかってくる。

 それが冬なのだ。


「なんだか、ローレントさんテンション高いですね」


「……冬、好きだからなこいつ」


「そうなんですか?」


「うーん、っていうか寒い場所の空気ってどことなく殺伐としてて、おっかないから、そんな場所を好むって言うか。自然とこいつはそこへ誘導される」


「まあまあ、物騒ですが武術家らしい生き様ですね。羨ましい限りです」


「恐ろしすぎます! ぶらっくぷれいやぁよりも黒い人生を歩んで来ていたんですか!?」


「そうとも言い切れないんじゃね? しらねぇけどなあローレント」


「ん?」


 いきなり話を振られても困るのだが……。

 俺、今、あれやってるから。

 拾って来たくるみを潰して保存食にしてるところだから。

 話しかけないでくれるかな?

 これ、オリジナルの調合あるんだよ?


「……はいどーん」


「な、なんてことをするんだ……!!」


 くるみを潰していた台をトモガラに蹴り飛ばされた。

 オニグルミは悲しくなるくらい身が少なくて集めるに苦労するんだぞ?

 それに、もし小腹が空いた時どうするんだ?

 簡単に胃を満たせるものがあったほうが、山籠り楽しいだろう?


「干し肉でも食ってろ」


「……それもありだな、うむ良い塩気だ」


 くるみのデンプンを固めたものも、香ばしさの中に仄かな甘味を感じて美味しいのになあ。

 まあ、どっちも唾液を消費するのは間違いではないから、雪を湯せんで溶かしてお湯に戻して、水を確保……。


「キャラ、変わってないですか? バッドステータスですか?」


「……言ってやるなツクヨイ……冬になるとこうだ。そんなにトラウマだったのかなあ、先に帰った俺も悪かったけどさあ……」


「まあまあ、動画に残しておきましょうか。童心に還る美男子様もなかなか良い絵が取れますねえ」


「鬼か、モナカ」


「私も保存しておいて、師匠や第一生産組の方々に上映会でも開きますです。こんなローレントさん滅多に見ないですし、突然の雪山にテンション上げて意気揚々と冬ごもりの準備を始める悪鬼羅刹って感じで」


「……そいつはおもしろいから俺も撮っとこう。ってかなんなら掲示板にばらまこうぜ?」


「トモガラさん、さすがにそこまでは……」


 雪山散策をするならば、カンジキが必要だな。

 これも人数分作っておくべしだ。

 木工スキルはあまり育ってないが、簡単な構造ならば大丈夫だろう。

 幸い、第一拠点の倉庫という名の俺のストレージに大量に物資はあるからな。


 ええと、クレバスに落ちた時のために、緊急用のロープやらなんやら……。

 ああもう、自然の猛威、楽しすぎ。

 早く吹雪吹かないかな。





ローレントウキウキ回でした。

ローレントの作る熊鍋とかそんなものは存在しません。

決して真似はしないでください。




あとがき小話(飛ばしてもオーケェッ)

活動報告にてキャラクターラフを上げて良いらしいので、ちまっちま上げさせていただいてます。

ぜひご覧になってくださいませ。



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