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[第二陣プレイヤーがサービスを開始しました]

[エリアクエスト解放及び、ミニマップの範囲を拡大しました]

[決闘モードを実装しました、詳しくはヘルプをご参照ください]

[公式サイトにて日刊GSONPCSを刊行しています、詳しくは公式サイトをご覧下さい]

[※※※フレンド登録者以外のメッセージを遮断しました※※※]

[ガストン様からメッセージが届いています]

[トモガラ様からメッセージが届いています]

[セレク様からメッセージが届いています]



 インフォメーションメッセージが届いていたのを思い出して開いてみた。

 多いこと多いこと。

 これだから嫌なんだよねぇ……。


 掲示板に迂闊に名前を挙げてから、スキルに関するメッセージがウザかった。

 なのでフレンド登録者以外は拒否設定にしている。


 ヘルプと公式のは用事が済んだら確認しておくとして。

 フレンド登録者のメッセージを開いて行く。


『レイピアの修理は終わっているのである。あと、見よう見まねで作ってみた物があるのである』


 これはガストンから。

 ふむ、頻繁に武器をお釈迦にする俺に取ってすれば、業務連絡はいつものこと。

 それにプラスして今回はわくわくするワードを盛り込んである。

 早急に返事をしよう。

 ……いま、あいにいきます。


『南の森でゴブリンの集落見つけた、犬連れて狩りに行こうぜ』


 トモガラから。

 やっぱりあるのねゴブリン村!

 これもわくわくメッセージなので早急に返事しておく。

 ……今日デスペナだから明日で良いかい?


『ねぇ、なんか最近見ないけど元気? 修繕はいつでもウチにおいでよ。ところで狩りのパーティ募集してるなら一緒に行ってあげないこともないわよ? うん、わたしはゆ——』


 ここから先は見る必要ないな。

 セレクのメッセージは大方よくわかった。

 もし、服の修繕が必要になれば伺いを立てよう。

 ピラルークの素材をスティーブンに預けていた気がする。

 奴を倒したとき、ほとんど戦ってたのはお前だからと残りの三人から無理矢理受け取った形だ。


 それを使って装備を作るのも良いが。

 今の生産職の技術じゃ難しい。

 ガストンもセレクもそう言っていた。


 さて、鍛冶屋前に辿り着いた。

 中を覗くとNPCの店番がこちらに気付いて声を掛けてくる。


「君はいつもの、ガストンは今ちょっと出てるよ。中で待つかい?」


「そうさせて貰います」


 鍛冶屋の展示品を見ながらしばらく待っていると、冊子を小脇に抱えたガストンに後ろから肩を叩かれた。

 いきなりのことで心臓を掴まれた様な気分になる。


「何をそんなに驚いているであるか?」


「いや、いつもはありえないことでしたから」


 ゲームだと視覚を便りにある程度は追うことが出来るけど。

 目だけに頼るのは中々に難しいものがある。

 動体視力がいいかといわれれば、俺は並みだ。

 でも戦いはそれだけじゃない。


「痛覚設定はいくつに設定してるであるか?」


「なんですかそれは?」


「オプションの感覚設定から行けるのである、初期設定はVRに慣れてない人でもすぐにゲームを出来るように、やや甘めに設定されているのである」


 そして、感覚設定を現実とほぼ変わらない仕様にすると。

 痛みも相応に感じるが身体の動きはかなり改善される可能性もあると。

 あくまでリアリティを追求するもので、ある程度のリミッターは存在する。

 五感パラメーターの項目にその他感覚が項目として追加されている。


 痛覚は60%だった。

 その他は程々にVR酔い防止設定が成されているが、100%設定のチェック欄を外して全てマックスにしてみた。

 インフォメーションメッセージが届く。



[感覚設定を100%にした場合、それに伴う如何なる損害も責任を負うことが出来ません。自己責任です]

[同意しますか? yes/no]



 イエスで。

 ……お?


「お? おお? おお!」


 思わず声が出てしまった。

 意外と一般向け設定がしっかりされているのがわかる。


「まさか全てマックスにしたであるか? まぁ痛覚以外は対して変わらんと思うであるが……」


「その痛覚が重要なんです」


 危機を知って、ようやく対応することが出来る。

 怖がらないと無防備晒して後ろから狩られるだけだ。

 生物としてオワコンだ。


「ちなみに、鍛冶やりながら感覚切ったら拳骨だぞ?」


 親方が奥から現れてガストンを叱咤していた。

 職人の世界は感覚が命ってことだな。


「それで、お目当ての物は見つかったのか?」


「まぁ一応それなりに成果はあったのである」


 ニヤニヤと喋る親方に、ガストンが紐で縛った冊子を見せる。

 そしてそれをふーんと眺めた親方はガストンに手渡すと言った。


「まあ及第点くらいはくれてやるよ」


「親方が教えてくれないから、図書館に行くハメになったのである」


「バッキャロオッ! 師匠が弟子に簡単に教えるわけないだろ?」


「それでこそやり甲斐があるのである」


「どこの師匠もそんな感じなんですね」


「お、ローレント、おめぇはスティーブンさんの所に出入りしてるって聞いてるぜ? 魔法の才能は全くないってな! ガハハハ」


 何も言い返せない自分が悔しいであります。

 そりゃ、最初のビルド間違えたから仕方ないでしょ。

 この噂、どこから広まったのか?

 ……絶対魔法使いギルドのあの受付嬢だな。

 許すまじ。


「スパルタであるか?」


「まあ、自分と同じレベルのモンスターを用意されて、さ、戦えって武器だけ渡される程度ですよ」


「……教えは無しであるか」


 呆れるガストン。

 そしてそれを聞いて「やりかねねぇ!」と豪快に笑う親方だった。

 教えが無いかと言われれば、ある程度の助言はしてくれているので。

 何も授かってない訳ではない。


 いやまてよ……。

 俺貰ったのって、最初の【アポート】だけだよな。

 そう考えると理想的な師弟関係を築くガストンが羨ましかった。


「フォレストリーの奴も最近生きの良い奴が入ったって言ってたし、町が活性化してるのがわかるぜ?」


 楽しそうに話す親方を見て、僅かながらもプレイヤーバッシングは下り坂になっているのを感じ得た。

 こういうNPCとの小さな絡み一つ、大切に汲み取って行かないと攻略が先に進まないのもそうだが。

 確かに、補給拠点をプレイヤー自らが率先して築いて行く状況じゃないと。

 生半可なプレイでは、先に進むことが出来ないようになっているのかもしれない。


「立ち話はそこまでである。こっちにくるである」


 ガストンについて工房内へ向かう。

 素材は骨素材くらいしか持って無いが、細かな部品を作るのはそれで足りる。

 手持ちの素材が足りなければ、工房内でグロウを払えばそれなりに買い足せるもするが。

 基本的に材料持ち込みはマナーになっている。


 大体取っといてるのは魚の骨素材。

 釣り針、魚鉤、銛になるんだよな。

 まあ漁師補正狙って作ってる様なもんだけど、生産スキルポイントも入るし。

 地味に経験があるからね!


 釣り竿の改良も行いたい所だが……、未だ堅い糸としなる棒素材を発見できてない。

 竹だよ竹、魔樫の六尺棒が柔軟だと言っても、重たい攻撃を撓って受け流す程度。

 俺の求めるしなやかさじゃない。

 ある程度どういう素材が良いかは目星がついているけども。


「一応これは、ピラルークの鱗を加工する資料であるな」


 テーブルに置かれた資料をトントンと指で叩きながらガストンが言う。


「鞣すのにも材質が変わるし、かといって熱して叩く訳にもいくまい。師匠に教えを乞うても自分で考えろの始末であったから、図書館で調べて来たのである」


「どこにあるんですか?」


「それはマップを見るのである、一応プレイヤーは紹介状を書いてもらわないと入館できない。それと入館料一時間につき1000グロウを徴収されるのである」


 それならスティーブンに書いてもらって行くのもありかもしれないな。

 1000グロウって、道具屋のスキルブックと同じ値段じゃないか。

 割に合うのかと思ったが、ガストンが言うには図書館にしか無いスキルを取得できる可能性があるんだとか。

 だとしたら行ってみて損は無いな、もしかしたら古い地図だってあるかもしれないし。


 そして話は戻って。

 ガストンはポケットから一枚の鱗を取り出した。

 子供の手のひらくらいありそうな鱗だった。


「甲冑みたいであるが、根本の部分をひとつひとつ繋ぎ合わせる行程で、部位を作れないかと思っているのである。要所の大きさに合わせた型枠を作り、それに鱗を瓦屋根みたいに重ねて行くのである」


 天然素材である程度はしなやかだが、流石に革素材の柔軟性に比べると、どうしても細部に使う事は叶わないと行った所だった。

 甲冑の胴部分のようになっている、わかりやすいイメージなら最上胴ってんだっけ?


「日本の戦国武将が使っていた甲冑も参考になりそうですね」


「すでに調べ済みである、軽くて柔軟で、鉄より丈夫に近い素材であるが、……悩みどころであるな」


 珍しく唸るガストンが居た。

 下手なことは言わないでおく。

 これは鍛冶の領分だからね。


「あれ、メッセージで言っていたことってこのことすか?」


「おっと、違うのである。本命はこっちである」


 置かれたのは新しい魚鉤だった。

 鉄製の物で、持ち手の棒より鉄で作られている方が長い。

 確りと固定されていて、丈夫そうだった。


「小物も作っておかないと、鍛治師としてのレベルは上がらないのである」


 流石に熊の爪製の物は、鉤部分は丈夫だが、接合部分での強度は鉄にも劣る。

 紐で縛ったりして補強はしてたんだけどね、一撃で壊されてたし。



【シーフック】製作者:ガストン

鋼鉄で作られている。

棒芯に差し込む形で作られているのでかなり丈夫。

ただ海に落とした際すぐ沈む。

様々な所で便利に使える。

漁具に分類される。

・攻撃10

・引裂Lv1

・耐久100/100



 名前が若干違っているが、この際用途は決まっているので関係無い。

 手に持ってみるが良い感じ。

 重さも苦じゃないし。


「天然素材ではない、棒との固定に僅かに錆を利用してるのである、海だともっと錆びるので手入れは入念に行ってほしい」


「心得てます」


「長物も作りたかったであるが、一応反応を見て決めることにしたである。値は張るが、黒鉄をもっと持ってくればいいのである」


「いえ、一端こちらのみで大丈夫です。黒鉄ですが、入手経路自体が特殊なので確約は出来ません。今回はグロウ払いでお願いします」


「承知したである」


 作ってくれた物には素直にお金を払っておく。

 ちなみに、もっと細かな漁具の方は、細工師であるミツバシが受け持てるようになったんだとか。

 VRMMOゲーでまさかフィッシングに目覚めるとは思ってなかったんだと。

 これも桟橋が安全になったお陰だな。


「作業に戻るである、何かあったら言うのである。修理が終わったレイピアはここに置いておく」


 ガストンは当分座学かもしれないな。

 という訳で、俺も俺で細かな漁具を【工作】しておくか。

 相変わらず全て骨素材な部分も何とかしたいな。



ーーー

プレイヤーネーム:ローレント

職業:無属性魔法使いLv13

信用度:70

残存スキルポイント:0

生産スキルポイント:3


◇スキルツリー

【スラッシュ】

【スティング】

【ブースト(最適化・黒帯)】

【エナジーボール】

【メディテーション・ナート】

【エンチャント・ナート】

【アポート】

【投擲】

【掴み】

【調教】

【鑑定】


◇生産スキルツリー

【漁師】

【採取】

【工作】

【解体】


◇装備アイテム

武器

【大剣・羆刀】

【鋭い黒鉄のレイピア】

【魔樫の六尺棒】

【黒鉄の双手棍】

装備

【革レザーシャツ】

【革レザーパンツ】

【河津の漁師合羽】

【軽兎フロッギーローブ】

【黒帯】

称号

【とある魔法使いの弟子】


◇テイムモンスター

テイムネーム:ローヴォ

【リトルグレイウルフ】灰色狼(幼体):Lv8

人なつこい犬種の狼の子供。

魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。

群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。

[噛みつき]

[引っ掻き]

[追跡]

[誘導]

[夜目]

[嗅覚]

※躾けるには【調教】スキルが必要。

ーーー


ガストン回でした!

がすとんがすとん!


本日の更新は26、27話でした!

ではこの辺で!

明日は朝夕更新です。


お読み頂きありがとうございました!


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