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「プレイヤーキラー……そういえばテージシティのクエスト進めてる時に相手側ででできましたね。まあ、こちら側はローレントさんが全員倒してしまわれましたので、脅威には思わなかったんですが」


「ああ、すでに激突してたのね。プレイヤーキラーおよびNPCキラーをすると、街に入れなくなるんだけど、裏ギルドやらなんやらがあるおかげで色々と面倒な処理が増えてるのよね」


 どうやら、半ばなし崩し的にエドワルドの元で村長スキルを学んでいたレイラの元には、村長、町長、市長などの情報ルートがあり、そこから出てくる情報に色々と面倒ごとが上がって来ているらしい。


 ある意味、権力者だよな。この女。

 第一拠点を築き上げた生産グループのメンバーの中で、ニシトモと肩を並べるくらいの地位を得ている。


「そうだ、盗賊ギルドはどっちの立ち位置だ?」


「ん? 珍しいわね、ローレントがそんなこと聞いてくるだなんて」


「ああ、そういえばローレントさん振られてましらね。盗賊ギルドの男性の方に」


「……おい」


 ニシトモが聞き捨てならないことをぶちまけやがった。

 確かに振られてしまったが、別にそういう意味じゃ無いのだが。


「ええ!? あんたセレクとツクヨイが聞いたらぶっ飛んでくるわよ!」


 と、レイラ。

 なぜそこでセレクが出てくるのかわからん。


「あらあら、武人は男色家が昔から多いらしいですからね。私はそんなもの関係ありませんが♡」


「……やっぱり、そうだったの?」


「うふふ、わ、わわ私がローレントさんを元に戻してあげますから。うふふふ」


 ……言わんこっちゃ無い。

 不用意な発言で場がしっちゃかめっちゃかになる。

 だから人が多いところではあまり喋らないようにしてるんだ。

 誤解を招くことが今まで多々あったからな。

 レイプ魔とか言われたり……まあ言ったやつ叩き切ったけど。


「ええ、スティーブンさんのお弟子のローレントさんってホモなんですか!? 村長!」


「……これは書き込まねば。燃料投下! 投下!」


 レイラの弟子達もなぜか反応して驚いていた。


「こらこら、あんた達も反応しない」


 もっとちゃんと戒めろよレイラ。

 否定しないと俺のイメージがやばいことになるだろうが!


 っていうか。

 本当にここのメンバーってキャラが濃いというか……


「ぶっとんでるな」


「ぶっ飛んでるのは予々同意するけど、あんたほどじゃないわね」


「……? 俺のどこがぶっ飛んでるんだか」


 レイラにそう言い返すと、


「ブッハハハ! もう耐えられねぇよ! あんまり笑わせんでくれ!! 笑い死ぬ!! プククククッ!!」


 俺の隣にいたトモガラが腹を抱えて笑い転げ出した。

 みんなの視線が注目する。

 腹を抱えて笑うのはわかるが、なぜ転がる必要があるんだとばかりに。

 そして五分ほど経って、ようやく笑いが治ったトモガラが立ち上がって言った。


「ったく話がすすまねぇよ!」


『お前がいうな!!!!』


「へ……?☆」


「……とりあえずですね、ローレントさんが振られた振られてないはまあもうどうでもいいとして、私とローレントさんのクエストに裏ギルドとともに盗賊ギルドもなにやら一枚噛んでいたようなんですが、今後どういう対応を取れば良いんでしょうか」


 話の本筋を戻すことに定評のあるニシトモが話し始めたことで皆一様に真面目モードに切り替わった。


「対等に取引できるならやりたいと思いますが、レイラさん的にダメならば控えようと思ってますし」


「そうね。森の探索やダンジョンの探索、お宝がありそうな場所で活動してるから基本的に無害なんだけど、できることなら味方に引き込んでおいた方が楽ね。裏も表も精通してるから、情報は持ってるみたいだし」


 判を押し終わった書類をトントンとまとめながらレイラはニシトモにそう返した。


「付かず離れずですね。まあ私もそう思っておりました」


 ニシトモも納得したようだ。

 基本的にどっちつかずの中立だ。

 状況次第では敵に回る可能性が大いにある。

 確率でいうと50%だな。

 旨味もあるかもしれんが、ズブズブ浸かってしまうともうしゃぶり尽くされる。

 だいたい情報屋ってそんなもんだ。


 だが、確実に味方に付けれるとするならば。

 大いに役に立つ。


「でもなんでまた、ローレントは盗賊ギルドの人に振られたのかしら。っていうかどういうことなのよ?」


 訝しげな表情をしながらレイラが俺に尋ねる。


「持ってるスキルがすごかったから仲間に引き入れたかっただけだ」


「なによ、それ。あんたまさか、クランでも作る気なの?」


「そのまさかだ」


「へぇ〜、メンツって決まってるの?」


「まだ、今集め中」


 そう言い返すと、レイラは指でペンを遊ばせながら「ふーん」と興味なさそうな生返事を送ってきた。


「現段階ですでに決まっているメンツはいるの?」


 三下さんとカイトーは是非とも入って欲しいプレイヤーだと個人的に思っている。

 俺がこいつすごいなって思った人には是非入ってもらいたい、そんなところだ。

 問題はクランを作れるならなんだが……諸々の制限を考えるとなかなか難しいところである。


「確約取れてる人は……一人だけ」


 三下さんはなんか自分の持つホームモニュメントを使っても良いって言ってた気がしないでもない。

 ってか言ってたよね。うん、言ってた。


「……おまえにつくれるわけねー」


「それよね」


 トモガラの言葉にレイラが同意していた。

 失礼な奴らだな。


「クランってなるとかなり難しい制限がつくわよ? ちなみに村おこしも町おこしも、そして生産スキル持ちが営むギルド設立も色々と制限があるからおいそれとただ作りますってだけで作れるわけじゃ無いのよ?」


 実質、ブラウがクランリーダーを行なっているクランは彼だけの力ではなく、バックアップしている生産組の力があってこそだということをレイラが告げていた。


 自由なものを作りたいのだが、かえって自由がなくなるのは本末転倒。


 俺は行き場をなくした達人達が集う場所を作りたいわけでもない。

 単純に自由になんでもできる集団が作りたかったのだが……。


 自由が失われるなら必要ないな。

 ってかいちいち固執してクランにこだわる必要ってなくないか?




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