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「うぐあああああああああ!!!!!!! ちくしょう! ちくしょう! ちくしょう!!!!! 下等な人間ごときに! 俺様が! ここまで!!!! グウワアアアア!!!!!」


「そこまで取り乱さなくても……とどめはすぐ刺しますんで落ちつてください☆」


 魔人の腕と首を完全に極めたモナカはそのまま身につけていたナイフを魔人の首に差し込んだ。

 ふむ、これこそ本当の押さえ込み。

 もともと三十秒押さえつけておけば殺すなりなんなりの死に体も同然。

 それがゲームでも実証されたな。


「──カッ……まさか、マジで俺様はやられちまったのか……?」


「そのまさかです♡」


「ふっ……人間の中にも……なかなか強い奴がいるじゃねぇか……」


 ……なんだこいつ?

 首を掻っ切られた魔人は人が変わったように空を見上げて感慨深そうにそう呟いた。


「魔人さんもよく頑張りました♡ では、そのままお逝きなさい」


「……おい女、せめて最後に俺様にその顔を見せてくれねぇか? 俺様を倒した人間ってだけで、いい冥土の土産になるぜ……」


「まあまあ♡」


 ニコニコとしたモニカが倒れた魔人に近づいたその時──。


「──クケケケケケケ!!!!!! 俺様が人間ごときに負けるっつう事実はねぇんだよ!!!」


 魔人は急に凶悪な顔になって笑い出した。

 口から、首から、真っ黒な体液が吹き出ていたのだが。

 徐々に顔じゅうから溢れ出すようになり。

 そして、全身から瘴気の渦が溢れ出てドロドロと溶け出した。


「馬鹿が! テメェも道連れにしてやるよこのクソ女! 死んじま──え?」


「エナジーブラスト」


 そう来るとは思っていた。

 だから、エナジーブラスト放ちそのまま虫の息になっていた奴のHPを吹き飛ばした。

 自爆の勢いとともに無に帰した。

 ドロップアイテムすら落とさんとは、どうなっとるんだこの敵は。


 とはいえ、どんな手を使ってでも殺しにくる。

 つくづく魔人とは恐ろしいもんだな。


「見事な残心でございました♡」


「ん? ああ、どうも」


 ニシトモ、十六夜、アルジャーノに手伝ってもらって身を起こすと、モナカがニコニコとした表情で再び近づいてきた。

 残心というか、絶対こいつ何か隠し持ってる気がしてたからぶち込んだだけで、そんなご大層なもんじゃない。


「なにいってんだ、こいつが残心しとかしっかりしてたらこんな状況になってねぇよ」


「なるほど、ギャグパート中は色々とうっかりさんな訳ですね? それもそれでよろしいかと♡」


「はあ」


 うっかりしてるわけではないが、物忘れがひどい時はたまにあるなあ。

 そう感じる時もたまにはある。

 あれか、戦いのしすぎでちと平常時のギアがずれてるとか?

 んなこたねぇよ、しっかりしてるわ。


「……お、終わったんですね?」


 和気藹々としてきた状況で、ニシトモがポツリ。

 頷いておく。

 魔人は確かに消し飛んだ。

 だが、第一拠点は大きな深手を負ってしまったと見てもいい。


「ん? うわっ、焼肉トウセンまだ行ってねぇのにボロボロじゃねぇか……」


 トモガラが半壊した焼肉トウセンを見上げて唖然とした面持ちで呟く。

 その様子を見ていたモナカがニコニコ微笑んでいた。


「まあ、私は肉もそうですが是非魚が食べたいですね♡」


「うん、会話が噛み合ってねぇな……」


 焼肉トウセンの他にも、局所的ではあるが色々な建物がボロボロになっていた。

 魔人の瘴気による振りまかれたバッドステータスも消えて、周りにはわらわらと野次馬が集まって来る。


「このままではいけません。移動しましょう」


 そしてニシトモの一言によって、俺たちはレイラのいる第一拠点村長宅へと向かうことになった。

 村長宅は石造と木造を組み合わせた二階プラス地下一階のかなりリッチな間取り担っている。

 もっとも、村長スキルとかを興味本位で取得してみたり、レイラの元で薬師スキルを学ぶために集ったプレイヤーもちらほら下働きをしている。


「……ポーション工場?」


 ノリでついてきたアルジャーノが、回復ポーションがダース単位で入ったケースを抱えてわたわたするレイラの弟子プレイヤーやNPCを見てポツリとつぶやいた。

 ちなみに、ブラウとエアリルは夕飯デートに行くんだってさ、リアルで。

 はい、今度ブラウとブートキャンプしまーす。

 やるったらやるんでーす。


「販売はしてないんですね♡」


「本格的な生産というよりスキルレベルを上げるための場所だと、レイラさんはおっしゃってましたよ。ちなみに販売に関してはわたくしニシトモが一手に請け負っておりますので、モナカさんお見知り置きを」


「あらまあご丁寧に、こちらこそミフネモナカです♡」


 ……ミフネモナカ?

 聞いたことがある名前だった。

 もう死んじまったが、俺の祖父の知り合いにそんな人がいた気がする。

 高校卒業時くらいに柔道の出稽古に向かった先にいた赤帯さんだ。


「あら? 何か私の顔に何かついてますか美男子さん♡」


「いや」


 御歳ちょうど七十歳くらいじゃなかったか?

 まあ白髪染めしたら孫娘と変わらんくらいの容姿やったから、可能性は否めんが……。

 なんだかそう思うと、このモナカというプレイヤーがババアに見えてきてしょうがない。


 どうしよう……先入観が。

 動きもそういえば、あの魔人に自然体で接近してノータイムで組み投げる技。


 無拍子なのかな?

 ある意味戦いの間合いを制する上では俺の技法と同じで最高峰に位置する。

 攻撃の意思を読ませない無拍子と、そもそも相手の無意識をついて攻撃を行う俺の間の真髄。


「ふーむ……わからん」


「何やら難しい顔をしているようですが……♡」


 ちなみに例によってコミュ障である十六夜は、わりかし赤の他人でもないレイラの身内がたくさんいるこの状況で一言も喋らなくなっていた。

 帰ればいいのに、それでもついてくるあたり、アルジャーノと同じで暇なのだろう。


 それを省みると、いつだかのレストランデートまがい事件は、彼女なりに勇気を振り絞った結果なのかな?

 うん、今度飯にでも連れてってやるか。


「あなたは──」


「ローレント……久しぶりね。でも久しぶりに会ったら魔人が出て第一拠点の一部がボロボロになるってどういうことよ?」


 モナカに尋ねようと思ったら、お供を二人連れたレイラが姿を現した。

 一人はプレイヤーの弟子、そしてもう一人はNPCの弟子か。

 どちらも女の子でメガネをかけている。


「それに関しましては私からご説明を」


 ニシトモが率先して前に出て話を始める。

 モナカのことを聞きそびれてしまったが、まあいいか。

 今度聞いておこう。








わたしは じぶんがすきなまんがから とうじょうじんぶつを でっちあげることが あります それが ぱくりなろうもん の しんずい です。


タイプ:にーと きもおた





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