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更新遅れてすいません。



 そのまま魔人との身体を入れ替えて、刀を突き込んで行く。

 天敵か、同類か。

 本領を発揮した魔人相手に、悪鬼ノ刀は通用するのだろうか?


 答えは簡単だ。

 斬ればわかる。


 後方から背中を切りつけると、血糊に似た黒い液体が吹き出ていた。


「思ったよりも大した事ないな」


 そして正眼の構えをして、そう告げてやる。


「グウウッ! この俺様が大した事ないだと……? なめやがって」


 苦悶の声を漏らした魔人は大きく後退し俺から距離を取った。

 そして唇を噛み締めながら傷口を再生させる。

 ボコボコと霧と泡が吹き出してふさがって行く傷跡。

 やはり、再生能力は厄介だな。


「喰らいやがれ、バッドトーキシック!」


 傷口に溢れた泡と霧がそのまま俺の方に向かって放たれた。

 バッドトーキシック?

 魔人の言葉を反芻すると、身体がガクンと重くなる。


「うおっ」


「クケッ! 瘴気に対して耐性があるみたいだが、これは相手の魔力を犯す魔人の毒だ。クケケケ、ただの毒じゃないから逃れられないぜ? 魔力が尽きて昏倒すれば、身体を切り刻んでやる! ウケケケ!」


 身体の重さと同時にMPがすごい勢いで減っていた。

 減って行くMPと共に視界が揺れて、意識が遠のいて行く。


「くっ」


 毒殺者称号で作っていた解毒薬をストレージから呼び寄せて飲むが意味なかった。


「無駄だ無駄だ! 魔法毒でもねぇからきかねぇ!」


 初見の相手を侮りすぎたな。

 俺が何度毒に苦渋を舐めされられてきた。

 全く、戦いとなると色々忘れて楽しんでしまったり、すぐに相手を侮るのは悪い癖だな。


 こりゃ、敗北を認めるしかないか?

 せめてこの魔人だけでも片付けておきたいのだが、間に合わんな、

 だが、そんな俺の思いに反して魔銀の首環がいきなり熱くなった。


「……ん?」


 両膝をつく俺を見下して笑っていた魔人がいぶかしむ表情をする。

 そして徐々に、視界が鮮明に戻って行き、重たかった身体が軽くなっていった。


「……な、なんだ?」


 呆気にとられていると、魔人が俺の首元を凝視していた。


「てめぇ、それ魔銀製の……なんでんなもん装備してやがるんだ……?」


「ん?」


「そうか……ペンファルシオの時計塔に隠してた奴を奪いやがったな……つくづく俺をおちょくってくる奴だぜ……」


 そういえば、オルトウィルが持っていた破邪のナイフも魔銀製であらゆる異常状態を消し去ると書いていたっけな。

 魔銀って魔力を通すと強くなるとばかり思っていたが、こういう風にどうしようもない異常状態に耐性があるのか?

 詳細はわからんが、それにしてはオルトウィルは身体がこわばって恐怖に飲まれていた様子だったよな。


 ……ああ、この魔人の顔が怖かったのか。

 まあ貴族の甘ちゃんらしいな。

 破邪のナイフで突き刺してやれば死したであろうセバスの事で一矢を報う事ができたはずなのに。




 

【魔銀の首環】首防具

魔法銀で作られているチョーカー。

持ち主の魔力を補正する機能を持つ。

・MP上限値増加(中)

・MP消費値減少(中)

・魔法耐性上昇(中)

・魔法抵抗上昇(中)

・耐久Lv15

・耐久50/50




 む?

 改めて装備する魔銀の首環を確認すると耐久値が大きく減っていた。

 しかも分子じゃなくて分母の方がだ。

 いかに強烈な攻撃だったかが想像つく。


「やっぱり人間と一緒で魔銀もこの世に邪魔だよなあ……恐怖にゆがまねぇから楽しくねぇし……今すぐこの世から魔銀を消しちまいてぇよなあッッ!!」


 何かに酔いしれるようにそう叫ぶ魔人に対して、俺はすぐに攻勢に出る。

 さすがに魔銀の首環を壊されたらたまらん。

 耐久レベル15は相当丈夫だと思ってたが、分母を減らされるのはマズイぞ。


「グワッ! テメェ、いきなり斬りかかってくるんじゃねぇよ!」


「知らん」


 今から斬りますよーって宣言して斬る奴がいたら連れてこいや。

 上段からの振り下ろし、そしてさらに魔人に肉薄し、肩をブツけながらその腹に切っ先を差し込む。


「グッ! イッテェな!!!」


「……不死身は厄介だな」


 未だ相手のHPバーすら見えていない。

 攻撃を繰り返しても意味ないのだろうか。

 攻撃の動きは直線的で、防御技術もなっていない。

 単なる戦いのど素人にしか思えない。


 だが持久戦に持ち込まれると、確かに魔人には大きなアドバンテージがあり。

 俺が殺しきれないとするならば、それはすなわち俺の負けを表すのだ。


 良い試合ができましたからお互い精進しましょう。

 そんなんでは許されない。


 だから現実世界でミヤモトと戦った昔の俺は、彼の右腕を切り落とした。

 それに対して後悔も反省もないが、再び相見えることができたのは素直に嬉しかった。


「なるほど、テメェがマフィアを潰したのも納得いく強さだぜぇ? クケケケケ! 俺様もここまで長く戦闘をした事はねぇし? なあおい?」


 悠長に会話をしている暇はない。

 前蹴りで刺した刀を抜いて、距離を取る。

 ボコボコと身体を再生させ、魔人は鋭い爪で俺の首元を狙い前へと出る。


 狙いは首環か。

 刀を脇に構え、踏み込んでくる魔人の動きを線で捉えながら。

 大きく足を左へ踏み替え交わし、横面に刀を合わせる。

 兵法二天一流剣術、一刀の技ーー虎振。


「チッ! だがなぁ、傷口が増えれば増えるほど俺の瘴気とバッドトーキシックも溢れてくるぞ? クケケケケッッ!!」


 攻撃すればするほど厄介な液体と霧を吹き出すなんて、グレイトクロウラーみたいな奴だな。

 なんだったら糸を吐く攻撃でもしてみろよ。


 近づきすぎると再生時の瘴気毒攻撃が来るので、剣についた血糊を払いながら空蹴にて後退する。

 スキルを使っているとバレないようにバックステップと同時にだ。

 ついでに弾機銛を使い魔人に打ち込んでおく。

 魔人は顔面に打ち込まれた弾機銛を腕でガードした。


「ウグッ! ちょこまかと厄介な奴だぜ……くそが、速さなら俺様の方が早いんだぜ? ……ん? そうだ、良いこと思いついちまった」


 魔人は刺さった切っ先を抜き、溢れて来る腕の黒い液体をすすり始めた。

 口に含むと、鋭い爪を鳴らして再び斬り込んで来る。


 いかん、ジュルジュルとすする様子に気をとられていた。

 突き込まれる五本セットの魔人の爪撃を捌き受け流し、そのまま左掌底を一度顔に打ち込もうと腕を伸ばす。


「む?」


 俺の掌底を目の前にして、ニヤリと魔人が笑った。

 そして口に含んでいた自分の血を俺に吹きかけた。


「チッ、手が邪魔しやがったぜ……クケケケ! それでも直撃は辛いみたいだなあ! クケケケケケ、形勢逆転したぞおら? まあ元から俺様は振りじゃなかったけどな?」


「うぐっ……」


 魔銀の首環の耐久値が消えてボロボロと壊れてしまった。

 そこそこ俺を支援してくれていた魔銀の首環の抵抗力、耐性力が弱まって、元々の瘴気がダイレクトで身体に襲いかかる。

 なるほど、耐えきれないほどじゃないっていう我慢できる問題じゃない。

 否応無しに意識を奪おうとして来るもんだったのか。


 霧ではなく液体の直撃を受けた俺の左手はどす黒く染まっていく。

 回復しきれてない。

 そして再びバッドトーキシックの準備をしながら魔人は近づいて来る。


 辛さに膝をつく俺を嘲笑いながら。








皆さん「だからあれほど感想で舐めプやめろって言われてただろローレントーーー!!!」


ローレント「すまん、ぬかった」


皆さん「あと誤字多いんだよダボがーーー!!!」


ローレント「俺にいうなエナジーブラスト」


皆さん「ウボァーーー!!!」






あとがき小話(読み飛ばしておっけーです)


魔人が出てきてから書き方がわからなくなって、取り乱してました。

あと、しばらくあとがきは頂いた感想にローレント達が返す小話になります。


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