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お待たせしました。


 とっさにローブでガードしたらローブが燃えた。

 軽兎フロッギーローブも、ずっと昔から使っていたものだったりする。

 コンバットエイプの革から作った戦闘服に比べて格も低い。

 ……さもありなんだな。


「きゃー!」


「な、なんで爆発が!」


「火事か!?」


 下ではプレイヤー達が何事かと上を見上げていた。

 夜は明けて朝方戻ってきて、そして現時刻は昼となっている。

 頭を後ろに振って両手両足で着地する。


 他のみんなはどうだ?

 まだ二階にいた。

 どうやら指向性を持った爆発の対象となったのは俺だけだったらしい。


「ロ、ローレントさん! 大丈夫ですか!?」


「問題ない」


 心配するブラウの叫びにそう返すと、禍々しいオーラの様なものを纏った魔人が俺の前に躍り出た。


「これくらいで死んでくれたらつまらなすぎて興ざめするところだったぜおい?」


 体を両断し、首も刎ねたはずだが……。

 魔人は何事もなかったかの様にニヤケヅラを晒している。

 しかも、おどろおどろしい先ほどの容姿とは打って変わって、大きく発達した頑健な肉体へと変貌を遂げていた。

 第二形態、すげぇ。


「一つ良いことを教えてやるよ。魔人の多くは人に紛れて災いをもたらしている。そして俺様以外の全ての魔人が強い再生能力と相手の能力を削ぐ瘴気を持っているんだぜ……ん? なんかお前平気そうだな、どうしてだ?」


「さあな」


 悟らせない様に何食わぬ顔をする俺に、魔人が首を傾げていた。

 相手の能力を削ぐ瘴気というのは、今食らっているバッドステータスのことを言うのだろう。

 ステータスには機能不全と書かれていた。

 強い抵抗力を持たないと、HP、MP、ボーナスパラメーターが減少し、毒を食らった様な強い嫌悪感を感じると書いてあるが……。

 まあ耐えきれないほどではない。


「な、なんで街中で戦闘が……なんか頭痛がすげぇ」


「くっ、感覚設定をあげてるものはすぐに切ったほうがいい!」


「くっそ……な、なんだよこれ……魔人の瘴気により感覚設定が一部制限されてやがる……」


 周りに意識を向けると、瘴気を浴びたプレイヤー達が大変なことになっていた。

 レベルが低いプレイヤーは為す術がないのか、大きく膝をつき、バッドステータスで倒れるものまでいる。

 まさに死屍累々、人の体を乗っ取って事件を起こし、姿を現したら現したで周りに瘴気を振りまく。

 とんでもない敵とご対面しちまったかな。


 人の体に憑依するしかできない口うるさい雑魚敵かと思ってみれば。

 蓋を開ければ災厄そのものだったか、情報少なすぎ。

 これ俺以外が相手してたらどうなってたんだ?


 そしてセバスチャンに憑依している時も気になっていたのだが……。

 俺はセバスチャンの両腕を切り落とせた。

 その後魔人が出現していろいろ立て込んだから忘れていたが、一応ここは安全安心の拠点化した施設だ。

 そこんところもどうなってるんだ?


「まあ、テメェの持ってる悪称号にそんな効果はないから、やせ我慢はほどほどにしとけよ? クケケ」


 魔人はそう言って笑いながら爪を伸ばすと、大きく跳躍し切り込んでくる。

 大きく跳躍し、筋肉が大きく膨張した身体の重さをフルで利用し鋭い爪の貫手を俺の首元狙いでねじ込んでくる。


「死ね!」


 悪鬼ノ刀から六尺棒に持ち替えると、右順手を右逆手に切り替え魔人の左側面を打ち付ける。

 それでもなお勢いが収まらないので、魔人の左側面に回り込みながら左脚を退歩。

 サイドへ移動しながら相手の攻撃も強引に受け流す。


 順手である左手を引き込み六尺棒を脇に挟みながら、逆手にした右手を押し出し。

 さらに左足の退歩はつっかえ棒の役割をすることによって、たとえ力で劣っていても容易に受け流すことができる。

 いつだかクリムゾンコニーにやったときは六尺棒の柔軟さを利用したが、今回は身体を固定する技術を使う。


「チッ! だが魔人相手にたかが魔樫の棒切れで挑むのは舐めすぎだろ人間!」


「む?」


 身体を振って体勢を変えた魔人の両爪が六尺棒を切り刻む。

 ……驚いた。

 今まで丈夫さではかなりの信頼を預けていた魔樫の六尺棒が豆腐を切る様にスパスパと切り裂かれる。

 ついでに、切り刻んだ斬撃の余波を浴びてしまった。


「魔力の塊である魔人が、魔力で強化した棒切れごときに負けるはずねぇだろ? バカじゃねぇの? ついでにいれば俺の爪は瘴気を持ち避けても斬撃となってお前を攻撃する」


「……なるほど」


 色々なギミックを教えてくれる魔人。

 やめてくれ、それ以上ネタバレしないでくれ。

 俺の楽しみが減る。


「クケケケケ! あとは……そうだな、まあどっちにしろ天敵が同類にしか俺たち魔人は殺せねぇし……てめぇを殺したあとは気晴らしにこの村を壊滅させてやるよ」


「やめろ!」


「クケッ! ついにキレやがったか? 正義の味方はつれぇよな? クケケケケ! 挫き甲斐があるぜぇウケケケケケケッッ!!」


 魔人は狂気に歪んだ顔で高笑いしながら、魔力を纏って再び跳躍して斬り込んできた。

 速度は申し分ない、その爪の鋭さも満点、身のこなしも一介のケダモノよりも素早い。

 さらに俺はバッドステータスによってその身体能力を大きく削られている現状。


 途方もなく強い敵だとはわかっている、わかっているんだが……。

 動きが、全部、読めるんです。

 ミヤモトのほうが虚実を混ぜつつ自然な攻撃を繰り出してたから強いぞ。

 天丼魔人と呼ぶぞ、ちくしょう。


「ハイハイ、担ぎ払い」


 持ち前のスピードを活かし、跳躍して斬り込んでくる魔人は、俺の頭部を狙っているおかげで足元がガラ空きだ。

 刀を担ぎ陣取りの要領で、魔人の下に開脚し姿勢を低くすると、そのまま撫でる様に魔人の腹部から下腹部へと刃を滑らせた。


「グワアアア!!!」






担ぎ払い。

という適当に考えた攻撃(笑)ですが、別に大きく開脚して身体を低くし、敵の下に潜り込んで着る。的な技でもよかったんですが、なんとなくゴツゴツしててかっこいい技名にしてみたいと思ってつけました。


ダサいですか?

ちなみに候補が一つあって、その名も。


ーーー櫓堕とし!!!!!


感想で適当に良さげな名前もらえたらそれに変えますよ〜。笑

あと、いつのまにか1500万PVですありがとうございました!

総合評価も34000を超えて、35000まで後すこ〜し〜!

しっちゃかめっちゃか書きたいんですが、仕事が忙しく中々思う様に進まないんですが……

ツイッター、感想、評価、ブックマーク共々、応援してくださる皆様のおかげで、エタル事なく一年間連載を続けることができました。

相変わらず展開は遅いですが、読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。


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