-256-
ジョジ○ーーーー俺は4回も更新したぞーーーーーーーーーー!!!!
「これが譲歩してないと、果たしてレジテーラ家は言えるのでしょうか?」
「むむむ……」
唸り声を上げるセバスチャンに、ニシトモはさらに言葉を続ける。
「私はただ一介の商人です。ただ、少しばかり良い繋がりを持ってはいますけど。そしてローレントさんはトンスキオーネファミリーを単騎で潰し、今回のペンファルシオも最後の方ではほぼ一人で倒しきっていました。一騎当千にも匹敵するレベルの傭兵に、果たしてあなた方はいくらお金を積みますか?」
「あくまでローレント様やその他傭兵の方々は貴方が勝手に呼んだだけのことであって、レジテーラ家は全く関係ありませんな」
セバスも半ば意地になっているのだろうが、逆に品位下げてないか?
レジテーラ家とやらの品位を。
「交渉決裂ならばいいでしょう。ペンファルシオとトンスキオーネの販路はすでに私共々抑えておりますし、テージシティのコネクションはすでに確保してあります」
「…………」
黙っているところを見ると、結局のところマフィア討伐なんてレジテーラ家の夢のまた夢だな。
俺たちがマフィアを潰したからと言って、他のマフィアがいなくなるわけじゃないし。
むしろ、潰れたところの後釜合戦になって奪い合いが過熱。
さらに、治安が悪くなり不幸を振りまくことになりかねないな。
「俺はどっちにしろ残りのマフィアも潰すぞ。まあ潰したら頭挿げ替えてニシトモあたりに全部任せると思うけど」
「私個人としては、全然ありですね。ローレントさんならそうするだけの力を持っていますし、この際闇商人として旗揚げするのも悪くない。おっと、レジテーラ家の方々には関係ありませんので聞き流していただいて結構です。と、言いますか……この店は私が出資している店ですので、出て言っていただけますと幸いです」
言葉の応酬。
怖い、怖いぞニシトモ。
「脅しをかけているおつもりですかな? こちらとしても騎士団を派遣するおつもりでもありますぞ?」
「脅しではありません。やるべきことをやすまでですとも。この度ペンファルシオを潰し、頭がすげ変わっただけのこと。私は慈善事業をしているわけではありませんので、あくまでビジネスとして彼らの商会を奪ったにすぎないですから……ご説明お分かりいただけましたでしょうか?」
「領主の領有権を主張する。二度とテージシティに踏み入れなくなるぞ?」
「そんなものが通じると思っているんですか。なかなかどうして裏の事情を知らない方だ。ローレントさんの代弁をするとですね。すでにその時点で負けていると言って良いでしょう。もともとのマフィア相手に手を出せなかったあなた方が、正面切ってぶっ潰した我々に対して何ができるというのですか」
それに、とさらにニシトモは付け加える。
もうやめて、セバスのHPが限界を迎えるんじゃないか?
渋い顔色は既に青く染まっているが、額には血管が浮き出まくっている。
やばい、高齢であれはやばい。
「南にあるテンバーの物資関係で魔銀の交渉をしていたみたいですが……」
「ああ……終わったなセバスチャン」
「ほざくな悪称号風情が……ッッ!」
「顔色悪そうだからあえてニシトモの言葉を止めてやったんだが」
「黙れ!」
何が、これほどまでにこのジジイを駆り立てるのだろう。
ここまで来ると、異常に思えて来た。
「おまえの主人が魔銀関係で交渉してきたこと、全て水の泡になりかねないぞ」
「どういうことだ!」
「それは私が説明しましょう。まず、この第一拠点を作る切っ掛けとなった一人がこのローレントさんです。そして第一拠点の責任者はテンバータウンの町長の一番弟子。私たちはそのひとのグループに所属しています。さらに中継地点であるノークタウンへの水運、この利権自体は散々悪称号持ちだと罵ったローレントさんが全て持ってますし、船の重要な魔導機関もローレントさんが所持しているものです」
ついでに言えば、いつのまにか規模が大きくなっていた生け簀も……俺のもんだ。
知らず知らずの内にニシトモが俺の余ったお金を運用し、マルタ達に頼んで規模を拡大していたらしい。
ニシトモまじで恐ろしい男だよ、また別の意味で。
「陸路を使うのもいいですが、今までテンバーやノークを放置していたテージに魔銀の交渉先を納得できるほどの販路が獲得できるか疑問を感じますね。私はあくまで対等な条件を出していたつもりですが、ここまで話がこじれてしまえば、これはセバスチャンさん貴方の責任ですよ」
「くっ……やはり、最初からこの交渉を行うために仕組まれた罠だったということですな?」
「セバス! やめないか! おまえ、ちょっと異常だぞ! 私たちの関係に、恩はあっても仇はないはずだ! 例えローレントさんが悪称号を持っているとしてもそれは不可抗力で得た物だとはなしていたじゃないか!」
セバスの異常さに、ようやくオルトウィルが口を開いた。
「セバスチャン、これは領主である私の命令だ。しばらく休暇を与える! 少し頭を冷やせ!」
「……オルトウィル様、それは誠に……ございますか?」
オルトウィルの言葉を聞いたセバスは、まるで彼の言葉が信じられないという風に、うろたえながら顔色を二、三転させている。
「わ、わわわ私がど、どれだけレジテーラ家に対して、こ、この身を捧げて、き、ききき来たと思って……」
「セ、セバス……?」
「ぐああああ!!!」
言動が狂ったセバスは、うめき声をあげながら頭を抑えて膝をついた。
焼肉屋にいた一同が騒然とした面持ちでセバスを見る。
「セ、セバスッ! 大丈夫か!? しっかりするんだ!!」
「オ、オルト様……お逃げください……今すぐ……私から……グアアアアアッッ!!!」
そう呟いたセバスは、叫び声をあげて豹変した。
目が黒ずみ、瞳孔が真っ赤に染まる。
そして頭から二本の角をメキメキ生やすと、オルトウィルに生えたばかりの鋭い爪で襲い掛かった。
「うわあっ!?」
驚愕に顔を染めるオルトウィル。
俺はアポートで悪鬼ノ刀を抜くとそのままセバスの両腕を断ち切った。
致し方ない、これは異常だ。
助かったとしても両腕が犠牲になるのは大目に見て欲しいところだ。
おや、なんだかセバスチャンの様子が。




