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「で、結局誰なのよ」


「……わいは盗賊ギルドのカイトーっちゅうもんや、とある依頼を受けてこのマフィアの縄張りに潜入しとったんやけど、ヘマして捕まってもうてな。そこのべらぼうに強いあんさんに助けてもらったっちゅーわけや」


「へえ、で、その依頼って一体なんなのかしら?」


「その辺は流石にわいの口から言ってもうたら信用度に影響するんや、すまんが聞かないで貰えると助かるで」


「ふーん」


 カイトーの様子にエアリルはあまり納得していないと言ったところ。


 このゲームではプレイヤーキラーが初っぱなからNPCキルだったり、プレイヤーバッシングの元凶になってきていた背景があるため、あまりこういった裏稼業だったり、そう言う類の職業は基本的にいい目で見られない。


 ……でもこれからニシトモとトンスキオーネと俺で計画を立てているのはペンファルシオファミリーの販路を使ったテージシティでのお金稼ぎだ。


 俺はあえて何も言わないでおく。

 ニシトモもトンスキオーネもどこ吹く風だ


「なんや、あんまり歓迎されとらんようやな」


「当たり前ですわね」


 苦笑いを浮かべるカイトーにアンジェリックが言葉を切り込む。


「盗賊ギルド所属は特にどうでもいいですが、妾達と同じタイミングで依頼を受けているなんて、基本的に商売敵としか思えなくってよ? そうじゃなくても何かしらの裏を疑うのは当然の事ではなくって?」


「うわあ、姐さん容赦ないですね……」


「そこがまたいいところです、コーサーさん」


「我々の生き甲斐でもありますから、コーサーさん」


 辛辣なアンジェリックな言葉に、コーサーとアンジェリックの私兵達がそんな会話をしていた。

 え、コーサーいつのまに仲良くなってんの。

 ……俺がほったらかしてアンジェリックに任せていたからこうなるのもさもありなんか。

 少しだけ寂しい気持ちになった。


「いやあ、まあそう受け取られたらなにも言えへんっちゅうか? うん、でもプレイヤーキラーとかそっち方面とは全く関係ないから、それだけは信じてくれへん?」


「ならばどんな依頼かだけでも白状することですわね。この依頼はニシトモ様、ローレント様が関わっている重要な依頼。個人クエストみたいなものですわよ? 中立なんか存在いたしません。敵か、味方かしかありえませんのことよ?」


 アンジェリックの言葉もわかる。

 行きずりで拾って来たがこのカイトーという男、はたから見れば怪しすぎる。

 ペンファルシオが用心棒として裏ギルドに所属するプレイヤーキラーを雇っていたように、敵対するなんらかの繋がりがあってこのマップに入ってきたのだろうか。


 マフィアマップって特殊だから、それ以外の侵入方法ってないもんな。

 そう考えるとアンジェリックの言葉にはかなり説得力があった。


「せやかて、わいのところは完全に中立やある意味義賊みたいなこともしとるんやて」


「義賊って、流石にそのワードは信用できないわね!」


「どうないせえっちゅうんや! あんさんちょっと説明手伝ってぇな! わい何も悪い事してへんやろー! あんさんには最初から一貫してとあるクエストで宝探しにきたっちゅうとんやんかー!」


 そう言いながら俺にすがってくるカイトー。


「怪しまれるのはわかってただろ。戦いの混乱に乗じて逃げとけばよかったのに」


「わいは約束したら必ず守る男やで! 恩返しする言うたやん。あとわいの目当てのものを言ってしもうたら、あんさんが時計塔で手に入れた激レア装備を言ってしまうことになるって思ったんや!」


 ……ああ、魔銀の首環のことか。

 そう言えば時計塔にあった赤い宝箱の中身を盗み出そうとしていて失敗したと言っていたよな。


「もうこの際言うたるわ、別に魔銀について調べてるのは第一生産組のメンバーだけじゃないんやで? それを狙ってわしらもテージシティに潜り込んどったわけや」


「……俺から取り返す隙を狙ってた?」


 そう言うとカイトーはブルブルと首を振る。


「んなわけあるかいな! 盗賊業界は早い者勝ちが一つのルールやで、まあ数日たったらまた盗み合いになるんやけどな、あんさんから取り返そうおもたら命がいくつあってもたらんから辞めとくわ〜」


「ってことらしいぞ?」


 一応護衛依頼はまだ続いているものとして扱う。

 なんだかんだ筋は通そうとしてくれた様なので俺は別にこのまま吊るし上げる必要なんかないと思う。


「まあ例え裏と繋がってる敵対プレイヤーだとしても、この場で締めたらいいだろ」


「ひっ、そんなこと言わんといてや! 恩返しはする言うたやん!」


「冗談だ」


「冗談に聞こえへん!」


 そんな俺たちの様子を見ていた他のみんなはすっかり毒気を抜かれてしまった様だ。

 基本的にカイトーの纏っている雰囲気はギャグ体質というか、まあそんな感じだからだ。


「まあ、私はイライラぶつけたかっただけだからいいんだけど。次から経緯をちゃんと連絡しなさいよね。一緒にパーティ組んでプレイしてるわけなんだから」


「すまん、次からそうする」


 エアリルを怒らせた原因は、俺が手を抜いていたと言うか。

 色々とふざけすぎたのが悪いので素直に謝っておく。


「妾はローレント様がそう言うならなんでもいいのでしてよ」


「ええ、ええんかいな。助かったからええけど、なんか腑に落ちひんーー」


「盗賊ギルドに帰れなくして差し上げましてよ?」


「さーせん! ほんま! だから殺さんといてな!」


 とりあえずこの場はひと段落ついたと言うことで、カイトーは改めて俺に頭を下げていた。


「ほんまありがとう、命あってのものだねや! 殺されたら仲間内にバカにされるからな」


「依頼は完了ということでいいのか?」


「マフィアのアジトから脱出させてくれればなんでもええよ。あとは自分でどうにかできるさかい。ほな、お礼になんでも好きなもの言ってくれれば盗ってくるで? まあ情報収集とかでもええけど、その辺はお手のものやからな!」


 ふむ、なんでもいいのか。

 流石に盗賊依頼をするつもりはない、現状盗んでまで欲しい物なんてないからな。

 そして情報収集とかよりももっと前から、カイトーのスキルを見て決めていたことがあった。


「フレンド登録いいか?」


「え? そんなことでええのん?」


 カイトーはキョトンとした表情をする。








まさかのフレンド登録。

ローレントが自発的に登録するのは、……多分二人目?




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