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「……ひぃっ!? ……はぁっ!?」


 マフィアの銃弾だ飛んでくるたびに、カイトーの襟首を掴んで無理やり避けさせる。

 動かすたびに情けない声を出さないでほしいところだ。

 本物の銃弾よりも弾速は遅いので、あらかじめ線で動きを読めれば躱せないことはなかった。

 急所はガードしている、だが頭に受けたら危ないので、所々危ないのは手甲を使って受け流す。


「自分で避けれる?」


「うーん、慣れればって感じやけど。てへぺろごめん、実は捕まったらペナルティで動けへんのや!」


 使えないなあ……だから護衛がいるんだろうけど。

 それにしても慣れれば避けれるってなかなか高いプレイヤースキルをお持ちで。


「ちょ、襟首はそろそろ痛いわっ! あかんって!」


「ああ、痛覚設定してないの?」


「そんなもんしとったらスキルの効果緩くなるやん! 全部マックスがポリシーなんや!」


「俺もだ」


 痛覚設定とか感覚設定を緩くしていると、なんとなくぬるいというか。

 ビリビリとした感覚がないというか……。

 戦ってる意味がないよなって、思うよね。


「なんか別の意味に聞こえるんやけど……」


「いいから行くぞ」


 そろそろ強いのが来そうな気がする。

 カポレジームか、ソルジャーエリートか。

 それとも……アンダーボスとやらが来るか?

 アンダーボスの指示でここにマフィアが増員されたんだよな。


 トンスキオーネの時のアンダーボスはあまり楽しめなかった。

 不完全燃焼とでも言える。

 大量のマフィア相手にしてそんなことを考えてしまう俺はもうダメかもしれない。

 いやね、自分でもよくわかっているんだけどなあ。


「あんさん、とんでもないプレイヤースキルやんなあ……一体どこでそんな技術手に入れてん?」


「ん?」


「いや、話したくないんやったらええねんで? でもわいもだいぶ苦労して怪盗のなんたるかを手に入れたんよ〜、苦労はわかるっていうか?」


 上から押し寄せるマフィアの攻撃をかわしつつ、所々でアポートで障害物を設置して行く。


「そのアイテムを出すのもすごいやんな……NPCじゃないよな? 盗賊ギルドから派遣されたんとちゃう?」


 俺も図太い性格なのは常々理解しているが、このカイトーという男も常々図太い精神をしてるんじゃないかと思う。

 銃弾が雨あられのように振ってきかねない状況なのだが……。


「泥棒でもしたの?」


 苦労してプレイヤースキルを手に入れたとするならば、経験を積んだとしか思えない。

 だから、こいつこの世の中泥棒して生活してるのかと思う訳だが。


「さすがにせぇへんわ! 漫画や漫画! あんさんもどんな漫画読んだん?」


「……コー◯ローまかりとおる」


「へぇーー! それしっとるわぁ! 半世紀以上前の漫画やん! めっちゃ骨董品もってんねんなー!」


 たまたま実家の蔵書に置いてあったから読んだことあるだけなのだが。

 まあ、事実は小説より奇なりとよく言ったものだ。

 まさにそうだ、ただし、本当にやるやつは逝かれてるとしか思えないがな。


 冬の北海道の山中に置き去り事件。

 中国の秘境の山中で粉砕骨折事件。


 あとはなんだ……?


 爺い絡みでいうと、ビルの上から叩き落とされたり。

 走り幅跳びの世界新でも出さないと飛べない距離を飛ばされたり。

 自力で帰ってこいがグレードアップした、ユーラシア大陸置き去り事件。


 うーん、よく生きてた。

 よく生きてた俺って思うよね。

 ファンタジーかよ。


 タンパク質は皆食料。

 ハンバーガーとやらが食べたいと言ったら。

 アフリカで蚊ハンバーグをパンで挟んだものを食べさせられた。

 何がアフリカ式ハンバーガーだ。


 思い出したらイライラした来た。

 この気持ちは、マフィア達にぶつけさせていただこう。


「あかん、上はええけど下にめっちゃ溜まっとるで!」


「下を覗くと上からも撃たれるぞ」


「はっひっ!?」


 カイトーが慌てて首を引くと、丁度弾幕が降り注いだところだった。

 腰を抜かしたカイトーは、いそいそと隅に寄って行く。


「どないせいっちゅーねん」


「できるだけ俺の後ろにいてくれればいい」


「それだけでええのん?」


「十分」


 下からマフィアが駆け上がって来る。

 鑑定で調べる暇はない。

 とにかく手応え的にただのマフィアだろう。


「来って来たって」


 落ち着いて欲しい。

 こういう場面で焦っても何もいいことはない。

 得物は相変わらず悪鬼ノ刀を使って行く。

 石柱転がしもいいがね、楽しくない。


「全員でかかれ! これだけ兵隊送ってもこいつは生きてるってことを理解しろ!」


 階段の幅的に、四人は並べないこともない。

 後ろは通行止め用に置いといた石柱がまだまだ仕事をしているだろう。

 正面の相手のみに集中して、かかって来る敵を蹴散らして行く。

 詠唱を行いながら、刀を両手で持ち絞る。


「この野郎がああああ!! 人質使いやがってえええ!!」


 まだその設定続いてるのか。

 とりあえず熱い気持ちを抱えたマフィアは一刀両断しておいた。

 戦場では冷静さを失った者が命を散らすのだ。

 死体を蹴り飛ばして後続に打つける。


 バランスを崩した、もしくは耐えた、その隙をついてもう一人を殺す。

 そして蹴り倒す。

 地の利はこちらにある。

 馬鹿なマフィアが一人“武器”になってくれたおかげで簡単な方法をとれて楽だった。


「倒した敵を蹴飛ばして下に転がしとんの……?」


ローレント「一番やばかったのはどっかの密教かな? あいつらヤベェよ、軍人とか格闘家とかよりも人を殺すのに慣れてるっていうか大人も子供も息を吐くように殺しにかかって来るっていうか……教徒以外は供物としか思ってないっていうか? とにかくさっきも何もない普通の人間がいきなり殺人鬼だからとんでもない状況だった。誰も信じれない。泊まった宿の人も夜には誰かしら殺してるから、潰すのに苦労した」

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