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 垂直の壁を登っていく。

 この状態で上から射撃を撃ち込む為には顔を出さなければならない。

 そう言う輩には、


「エナジーブラスト」


 三人ほど顔を覗かせて狙っていたマフィア。

 その内二人ほど顔面に攻撃を浴びせかけた。

 火傷のバットステータスを味わっているだろう。


「あいつをなんとかしろ!!」


「顔を出したらそこに転がってる二人みたいになっちまう!!」


「顔がああああ!!」


「目があああ!! 目があああああ!!」


 上から声が聞こえて来る。

 死んではいないようだが、戦闘不能レベルのダメージを負ったようだ。


 あいつをなんとかしろだって?

 なんとかしてみろ!


「き、きた!! 逃げろ!! 退却だ!!」


「うわあああああ!!!」


 ついにマフィア達がいる場所へたどり着いた。

 逃げながら闇雲に魔銃を発砲しているので、普通に歩いてても当たることはなさそうだ。 


 マフィア達は時計塔上部の段差に隠れながら援護射撃をしていたらしい。

 普通の人間はこんなところから攻撃されているとは気づかないだろう。


 屋根も手すりもついてないので、上空から見ればバカみたいに隙だらけ。

 正直、ブルーノが風の魔法と共に奇襲すれば簡単に地面に叩き落とせただろう。

 そしてその辺は俺が代わりにやっておくことにする。

 マフィアの雨を降らせるのだ。


「ああああああああ!!」


「ひっ!? ヒヒヒッヒヒアアアアア!!」


 顔に火傷のダメージを負って転がっていたマフィアを蹴り落としながら。

 時計塔の内部に逃げ込もうとしたマフィアに弾機銛を撃ち込む。


「うぎっああああ!?」


 逃がさんぞ、そしてサヨナラばいばいだ。

 綱引きのように思いっきり銛につながった紐を引っ張る。

 弾機銛の構造は、普通の銛のように返し一つではなく。

 正面から見れば十字状になるように四つの返しがついてある。


 貫通力を上げる為としっかりとしたグリップ力を両立する為にミツバシが考案したのだ。

 俺としてはゆくゆくは刺さったら内部で返しが展開するような構造にしたい。

 もっとも、それは細工師ミツバシの技術力にかかっている。


「ひ、引っ張らないで!! お願い! お願い!!」


 涙を流して懇願するマフィアの男。

 む、一体どこに銛が刺さっているのかと思い、紐をたどってみると。


 股間だった。


 後ろからではなく、内部に逃げようとするマフィアを横から狙っていたので。

 得てして「袋」が太ももに縫い付けられているという状況に陥っていた。


 やってしまった俺が言うのはなんだけど。

 本当に痛そうだ。

 運が悪かったとしか思えない。


「この人でなし!!!」


「いや、わざとじゃないし」


 文句を言われたので容赦なく紐を引っ張った。

 男は声にならない叫び声あげて、大粒の涙を流しながらバランスを崩して自ら地面に落ちて言った。


 …………紐で繋がってるよな、まだ。

 弾機銛をどこかに括りつけたらどうなる?

 ビーンと突っ張って、とんでもないことになっちゃう?


 さすがに死人に鞭を打つような真似はよしておく。

 ここまで来ると、人徳のなすべきことじゃない。


「扉を閉めろ! 外にしめ出すんだ!」


 そんな声が聞こえ。

 扉が閉まり、ガチャガチャと慌てて鍵をかける音がする。

 締め出されたら不味いな。


「急げ! 急げ!!」


「ま、待て! あせらせるな! ああもう畜生さっきのやつが中途半端なことして鍵がちょっとお釈迦になってやがる!!」


 ラッキー!!

 まだ扉の側にいるようなので、扉に向かってスペル・インパクトを打ち込む。

 石造りの壁に鉄の扉なのでぶち壊すのは難しいが、スペル・インパクトなら後ろ側に衝撃が伝わるだろう。


「ごばっ!?」


 読み通り、扉の後ろで弾け飛ぶ音が聞こえる。

 扉の鍵は開いたままだ、やったね。


「くそっ! なんとか仕留めきれ! なんでもいいから飛びかかって潰せ!!!」


 時計塔内部の踊り場にから下を見ると、わらわらと階段を駆け上がって来るマフィア達がいた。

 あの数を相手にするのは少し面倒だ。

 石柱をストレージから引き寄せると、そのままアスポートで向きを横にして階段に落とす。


 ゴロゴロゴロゴロ!!

 石造りの階段を凶悪な音を立てて削りながら、転げ落ちていく石柱。


「に、逃げろおおおお!!」


「押すんじゃねぇええええ!!」


 内部の構造は螺旋階段ではない。

 したがって石柱がマフィア達を巻き込みながらゴロゴロと最下部まで転がっていくと言うことはない。

 ただ、運悪く踊り場のあたりで逃げ遅れてしまったマフィアは存在する。

 後は、焦ったのか階段を踏み外して自ら転げ落ちていく者。

 そして将棋倒しのように降ってきた者に押しつぶされた者。


 上から眺めていたらとんでもない光景に思えた。

 とりあえず踊り場で止まってしまった石柱を、アポートで手元に戻し、アスポートで別の階段へ転移させる。


「な、なんで止まってないんだよおおおおお!!!」


「うわあああああああ!!」


 阿鼻叫喚の地獄画図か?

 とんでもない量の経験値が入ってきていると思うが、レベルは未だ上がらず。

 ある意味ボーナスステージじゃないかこれ。


 ……全て、トンスキオーネが悪い。

 あいつ、絶対経験値を余分に搾取しているだろ。

 その腹の贅肉と同じようにな。


 さて、石柱で倒してしまうのも悪鬼ノ刀に悪いし。

 そろそろ接近戦を楽しむとしよう。







連日更新していると、情景描写が壊滅的になります。

ま、もともと情景描写薄い作品ですけども……。



精進します。はい。

毎日更新頑張ります。


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