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 門を見たところ、壊れはしなかったが蝶番の金属部分に大きな疲労がありそうだな。

 もっとも、木製でよくここまで耐えた門だ。

 黒焦げになって脆くなっている。

 おそらく後ろでやばいと思って補強でもしてそうな損害をトンスキオーネは与えていた。


 さて、どうするか。

 リアル攻城兵器に近い存在の契約モンスターがいるじゃないか。

 ルビーさん、お願いします。


「ギィッ!!!」


 今思いついたんだが、ルビーに乗って、上から内側に渡ることも可能なのでは?

 ……今回はトンスキオーネを立てておくがね。


 ルビーがボッと目の前から消えて門に衝突する音が聞こえる。

 本気チャージの跳躍による体当たりは本当に凄まじい。

 そして、本当に兎でいいのかと思わしき頑丈な体躯を持つ。


「嘘だろ、やりやがったぜあのモンスター」


「ええトンスキオーネさん、私も驚いています」


 次第に門はメキメキと音を立てて崩壊した。

 案の定、内側から大量に人員を使って木材で補強していた。

 だが、それもやむなし。

 次は俺の番だ。


「はっ!」


 アポートにて、ストレージから石柱を出現させる。

 そしてスペル・インパクトを使いぶっ飛ばす。

 カーリングみたいに空中を滑って敵に衝突する石柱。

 実に痛そうだ!


「うわぁあああああ!!」


 突破口ができた、そこから大きくなだれ込むべし。

 そして上から狙撃される可能性があるが、風魔法使いがいる手前、無理な話だろう。

 十六夜も索敵と共に、何故か鉤縄でスルスルと外壁を登っていた。


 くノ一かあいつ?

 何故発案しない?

 まあブラウ達が鎧をつけたまま登るのが無理なのな。


「……ん?」


 そこで閃いてしまった。


「上を見つめてどうしました? ローレントさん」


「その馬車はトンスキオーネに任せて、ニシトモはノーチェを見ててくれないか? 一応特殊スキル持ちだから単体戦闘は強いはず」


「ええ、大丈夫ですが……一体?」


「…………私も降りる」


「それはそれで私が傷つきますし、アルジャーノさんは支援用の機動力が必要です」


「…………しょぼんぬ」


 ノーチェを降りて、ニシトモに手綱を渡す。

 アルジャーノ、エアリル、ニシトモ、トンスキオーネの守り手として、ローヴォを置いて行く。

 もっとも、今考えてることにローヴォはついてこれないからな。


 門の内側には、三階・四階建ての建物が連なっている屋上ルートがある。

 十六夜が外壁をよじ登って先行してくれていた。


 地上ルートの大通りが一本伸びていて、今ブラウのクランとアンジェリックの騎兵達が押し込んでいる。

 トンスキオーネの時とは違って、ペンファルシオの屋上ルートはその地上ルートを挟むようにして両サイドに住宅が連なって二つあるようだ。


 その他にも背の高い見張り塔や時計塔のようなものが連なっている。

 当然ながら狙撃用具を持ったマフィアがいる。

 登る入り口はあるのだろうが、そこまで手間をかけているほど余裕はない。


 だからコーサーを潜入させてその辺のウザい輩をあらかじめ倒しておく。

 という手筈だったりする。


「コーサーがちゃんとやってるか見に行ってくる」


 とりあえず説明半部、実際は実践したほうがいいだろう。

 高い建物があるなら登ってみる。

 それが漢という生き物なのだ。

 頂きに登って見たくなってしまう、本能を持っている。


「……あいつ、人外か?」


「何かしらの特殊能力なんでしょうけど……」


 呆れたトンスキオーネとニシトモの声が聞こえる。

 ちなみに今壁を垂直に登っている。


 跳ぶ、空蹴、壁に着地、壁を蹴って跳ぶ、空蹴、壁に着地。

 一度どこかに足がつけば、空蹴の一回のみ判定はリセットされるようだ。


 と、いうことは……?

 ストレージから空中に引き寄せた石柱の上に着地してもリセットされるということか?


「うわああああああ!?!?!? 石柱が降って来た!?!?!?」


 下で腰を抜かしたマフィアの声が聞こえた。

 ともかく、壁を走って登ることに成功した。


「うふふふ、来てくれると信じていました」


 屋上にたどり着くと、先行していた十六夜が微笑んでいた。

 暗殺者系のマフィアがいたはずだが、全て眉間に矢が突き刺さって倒れていた。

 なかなかやるね。


「一人でも別に心配なさそうだけど」


「いえ、ダメです怖いです、一人で屋上二つを占拠するのは怪我する可能性が高いです」


 怪我だけなのか……。

 つくづく、この女もなかなかどうしてやるじゃないか?


「おっと、てきです」


 そんなことを言いながら素早く矢をつがえると、魔銃を向けていた構成員達の眉間に放つ。


「ん、そっちにもいるぞ」


 軒下辺りに潜んでいた暗殺者系の構成員が、十六夜の後ろに突如として出現。

 首元にナイフを突き刺そうとしていたので、悪鬼ノ刀で突き殺した。


「相性バッチリです、うふふふ」


「とんでもない相性だろそれ」


 そんな小言を叩きつつ、彼女とともに屋上ルートの掃討を行なっていく。


「相手は二人は! やれ!」


「はっ!」


 敵マフィアがわらわらと出現してきた。

 トンスキオーネの時と同じように構成員、暗殺者、スリ師で壁を作っている。


「挟み撃ちします、ブルーノ!」


 十六夜はそれだけ言うとブルーノを呼んだ。

 そして音もなく空中で支援していたブルーノが下降して、十六夜の手を掴んだ。

 クラスチェンジして体格も大きくなっているから、連れて飛行することも可能なのだろうか?

 すごく羨ましかった。


「なっ!? 後ろだ! 一人後ろに回っている! 引き返せ!」


「くっ! なんだって……!!」


 構成員と暗殺者が突っ込み、真ん中がガラ空きになった。

 そこに十六夜が切り込んで大きく敵の動揺を誘う。

 揺るがされた陣形を立て直そうと、マフィアは後ろを振り返った。

 その隙と俺が逃すはずがない。


 ルビーと共に詰め寄り首を落としていく。

 戦闘経験と文字通りレベルが違うのだよ。


「ぐわあああああ!!」


 そして十六夜よ、ピックポケットは俺が相手したい。

 トランプ地味にまだ集めてるから、って射殺してしまったか……。

 残念だ。







最近ローレントが手を抜いていると言うか。

舐めプしているというか。

ローレントらしくないなって感じがしますね。


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