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 現状ブラウのクランとアンジェリックの騎兵隊で、丁度擦り切りいっぱいという具合の戦い模様。

 後続から、倒しても倒してもマフィア達が続々と戦線投入されてくる状況。


 どう考えても持たないよな。

 馬をやられてしまった仲間もちらほら目立って来た。


「……中位クラスのスキル。貴方はMP消費を控えて」


 エナジーブラストを見ていたアルジャーノが呟いた。

 MPを節約しろとのお達しだ。

 MPポーションはレイラ謹製のがあるんだけどな。


「……それでもクーリングタイムによる使用制限がかかる」


 HPポーションにも、クーリングタイムというものは存在する。

 だがMPポーションは、必要素材がアレ故に一度使用したらHPポーションよりも長い待機時間を過ごさねばならない。

 今まで魔法スキルなんかあんまり使わず、プレイヤースキルと魔闘でやりくりして来たため、あんまりにもエナジーブラストやらマナバーストやら使いすぎると、他に使う魔力のリソースがなくなってしまう。となりかねない。


「……手強い敵はもう全て倒した?」


「後は、奥に控えているカポレジームだけだな」


 右から、左から、大きくノーチェを迂回させて突撃支援を繰り返していた。

 ブラウ達の後ろを駆け抜けるだけでもライトブレスとヒールによる支援を行える。

 その隙を見て、悪鬼ノ刀を指揮官だと思われるソルジャーエリートの首元に滑らせていた。


 そしてそれももう終わり。

 高レベル帯はあらかた倒して、指揮をめちゃくちゃにしておく。


「マナバースト」


 中央に切り込んでマフィアを大きく弾き飛ばした。

 それに合わせてブラウ達が大きく前線を押し上げ、そして後ろで控えていたであろうカポレジームの率いるマフィア部隊へと突き進んで行く。


「飛び道具は私と十六夜のブルーノがなんとかしてみせるわ!」


 かち合いの前に遠距離狙撃による支援ができないようにエアリルとブルーノが風の魔法で壁を作る。


「エリートソルジャーだけじゃ無理か、よし門を閉めろ! 門の中から魔銃で狙撃して削ってやれ!」


 ん?

 引き際が早い。

 カポレジームは兵隊を率いて門の奥へと引っ込んでいってしまった。


「ちっ、頭の回るやつがいやがったか」


 トンスキオーネが悪態をつく。

 ペンファルシオクラスのマフィアになると、表の商会がテージシティに独自のルートを持つ。

 すなわち、専用の門を持つのだ。


 ……やりたい放題だな!

 オルトウィルも管理感覚できないだろう、こんなもん。


 後、それぞれのマフィアで違った戦いができるっていう運営の配慮かもしれない説がある。

 そうなってしまえば、オルトウィルは自分の不運を呪うしかない。


「閉められちまったぞ? 敵は上から魔銃の準備をして俺らを蜂の巣にするつもりだろうな?」


「ローレントさん、コーサーさんが忍び込めたかどうか確認とれます?」


 無理だな、テイムモンスターの意志というものはなんとなく伝わってくる。

 こうしてほしいと思えば、その通りに動いてくれるのがテイムモンスター。

 契約NPCは言葉によるコミュニケーションが取れる分こちらの思いのままでは無い。


 言うこと聞かないトンスキオーネがいい例だ。

 まったく。


「力を合わせて門を壊せないかな?」


 ブラウから、門に耐久性とかがあるなら、みんなで攻撃してぶち壊せないかと言う案が出た。

 なかなかいい案かもしれないが、プレイヤーの攻撃で果たして鉄枠木製の大きくて頑丈な門を壊せるかどうか。

 その間に上からバズーカとかで撃たれてしまえば一網打尽にされかねない。


「ブルーノによると、門の向こうでは先ほどの指揮官の男が指示を出して迎撃の準備を整えているみたいです」


 こっちも引き際かな?

 残念ながらセバスチャンは戦死、と言うことで。


「それは私の今後の展望に不都合が生まれますから、やめてくださいね?」


「ちっ、仕方ねぇな」


 色々と話しているとトンスキオーネが馬車から降りて門へと向かって歩き出した。

 何を行うつもりだろう?


「俺が門を壊してやる。だが、かかった費用はコンシリエーレ、てめぇに請求するからな」


 懐から葉巻を出して吹かすと、ピンのついたソフトボール大の弾をどこからか取り出した。

 いつだかテージシティからオルトウィルを連れて逃げている時も、使用してたよな。

 手榴弾かな?

 トンスキオーネはその危険物のピンを抜いて、投げた。


 ドゴォッンン!!


 あっ、やっぱり手榴弾だ。

 威力はこの間より強め。


 それだけでは門は壊れないと思うが、ポケットからどんどん手榴弾が出てくる。

 ビスケット並みに出てくる。


「苦情が来そうなレベルですね、近隣住民から」


 ニシトモがそんなことをつぶやいていたが、あの大量の手榴弾。

 費用の方、俺持ちだって言ってたけど、リアル?


「ふぅー……どうだ?」


 トンスキオーネの吐いた煙と共に、手榴弾の硝煙が風に流れて行く。


「チッ、これだけやっても壊れねぇのな、つくづく頑丈に作ってやがる。一体どこと抗争するつもりだったんだか……じゃあ、攻城を想定して取り寄せた……」


「もういい、十分だ」


 まだなんかやろうとしてたなこいつ。

 聞くところによると、こう言う兵器の類って費用がものすごいんだろう。

 現実世界で兵器といえば億桁に届くほどの高価なものだってある。

 銃一本ですら数万数十万。

 このゲームの運営が、その値段を安く設定しているはずがない。

 これ以上強い兵器見たいなの出されると、俺が破産しかねない。


「ああ? チッ、破産させてやろうと思ったんだが」


「黙れ、座ってろ」


 おこだよ、俺。

 この怒り、この門と門の内側にいるマフィア達で晴らさせていただきましょう。


 MPポーションを飲んでおく。

 ちなむところ即効性と遅効性の二種類あって、回復量が多いのは遅効性の方である。


「突撃準備だ!」







忙しくて書き溜めが追っつかない。

感想評価、もろもろありがとうございます。

力です、励みになります。




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