表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
232/626

-232-


 ペンファルシオファミリーは、テージシティのあちこちに商会を構えていた。

 さすが、巨悪と言われる程でもある。


 俺としては、直接本拠地に乗り込んで荒らしてやりたい気分だが……。

 クエストアイテムであるマップからは、テージシティの外側にある放牧地帯から侵入しなければならなかった。


 奴らは、トンスキオーネにはなかった馬を持っている。

 先日、テージシティからトンスキオーネとニシトモが逃げている途中、後ろから騎乗で追って来た手勢が、ペンファルシオの騎兵隊だということだ。


 そういったゲーム的な要素の兼ね合いによって、ペンファルシオファミリーのアジトに行くためにはまず彼らが所有する放牧地帯を乗り越えなければ行けない。

 と、いった形に収まった。


 で、どうする?

 最初の入り出しだけは全員での移動でなければいけないらしい。

 作戦の駆け出しは、全軍にて放牧地帯を正面突破。

 そういうことに落ち着いた。


 放牧地帯をクリアしたら、屋根の上、地上、地下水道。

 いつものマフィアマップへと到達できるという仕様だ。


 うーむ……。

 トンスキオーネ、コーサー、ワルド、ベスタ。

 先に単独侵入できないだろうか。

 NPCに、シークレットエリア制限はない。


「実際ありでしたけどね」


「……部下の数をよく確認しろ、勝てるわけねぇ」


 ニシトモは、契約されてるなら死んでも生き返るでしょうというわけで、俺の案に乗りかけていたのだが。

 トンスキオーネの大反対を受けて、あえなくコーサーのみ侵入という形になった。


「な、なんで私だけなんですか!? コンシリエーレ!!!」


「コーサーわかったか?」


「だから、わかりませんよ!!!!!!」


「コーサー、あまり吠えるのはよしなさいのことよ? 一度出戻った実績を持つあなたならば、なんとなくでも隠密作戦を上手くこなせそうな気がするんですもの。っていうか妾の教えを受けてできないことなんてありませんの!」


 俺が何か言う前に、すでにアンジェリックが強制的に了承を得ていた。

 恐ろしい姐御とやらがいたもんだな。

 極道のそれを感じさせる雰囲気を持っていた。

 ……マジもんじゃないよな?


「ぐうわあああ!! いやだあああああ!! ゴンジリエーレエエエエエ!!!」


 行ってこいコーサー。

 負けるなコーサー。

 頑張れよコーサー。


「あら、アンジェリックさん。あなたもそっちで良いんですか? うふふ」


「……今回はコーサーの指示を妾が出さなければならなくなりましたの。第一、妾はこの間ローレント様と二人きりでマフィアのアジトを一つ壊滅させましたんですのよ?」


「え、二人きりで? ……うふふ、なかなかやりますね」


「今日は大勢いますし、さすがに可哀想なので譲って上げましてよ? オホホ」


「うふふふふふ」


「オホホホホホ」


 ……怖い。すごく怖いよ。

 俺には見える、とんでもない火花がな。


「……行く。前線を押し上げて。私はサポート」


 周りのみんなと一緒に、若干引きながら彼女たちを見ていると。

 いつにも増してぼんやりとした表情をお持ちのアルジャーノが袖口を引っ張っていた。

 そろそろ開戦と行くようだな。

 騒ぎを起こしている間にコーサーは中に侵入させる。

 なかなか安全な作戦で良いだろう。


 コーサー俺は見えないところでサポートしてるんだ。

 頑張れよ。


 さて、届いているかわかんないが、檄は念にて送っておいた。

 ノーチェに跨ろうとすると、すでにアルジャーノが乗っていた。


「!?!?!?!?」


 驚いて言葉を失っているのは十六夜の方である。


「ててて敵は味方にあり。味方にありだというのですか!?」


「また何をわけわからんことを」


 闇色の瞳がより一層深く染まり、そしてどす黒いオーラを撒き散らしながら慌てふためく十六夜。

 そこにアルジャーノが言った。


「……初戦は消耗をできるだけ抑えなければいけない。したがって遊撃に回る彼の後ろに乗るのが当然至極」


「うふふ、サポートなら……! 私だってできます!」


「……あなたはニシトモの荷馬車に乗って最初は固定砲台。あとは屋根の上から遊撃に回ると決めたはず」


「うぐ……ッッ!! ッッッ!!!」


 珍しく饒舌になるアルジャーノ。

 うろたえながら声にならない声を上げている十六夜。


 そう、俺が仲間たちに念を押されているのが、広大なマップで勝手に突っ込んで行かないこと。

 一人で勝手に突き進んでも良いのだが、一応油断はできないクエストだということで、俺は状況を見つつ手薄になっている箇所に遊撃して離脱するというつまらん役になった。


「……単騎戦力と機動力を併せ持つ貴方は戦いのバランサーと勝利の担い手」


「うん」


「……そして唯一の補助魔法を持つ光属性魔法使いが私」


「うん」


「……これはもう嫁にするしかない」


「うん、……は?」


「……冗談の冗談の冗談の冗談。したがってアルジャーノジョーク」


「え? うん」


「……貴方と共に戦場を支えるのが私の役目でもある。これは共同作業、敵前逃亡は許されない」


「あ、はい」


 アルジャーノって、意外とよく喋るんだな。

 それがこの会話の感想だった。

 正直な話、適当にアルジャーノを乗せて遊撃に回ることしか頭にない。

 それ以外は特に重要じゃないからな。

 話半分、いや二割ってところだ。


「ッッッ!!! ッッッ!!! ウフフフフフフッッッ!!」


「コンシリ、てめぇの周りには碌な女がいねぇな」


 アンジェリック、アルジャーノ、十六夜を見ながらトンスキオーネがボソッとつぶやいていた。

 ……まあ我が強い女は嫌いではないが、相当な部類だと思う。

 今のところ俺に大した被害がないからどうでも良いんだけど、仲良くして欲しいもんだな。


「ちょっと、あたしのこと言ってんじゃないでしょうね?」


「まさか」


「だよね、うん」


 途中エアリルがトンスキオーネの贅肉を鷲掴みしながら話に加わったが、一言で納得してくれた。

 エアリルはブラウあたりの世話を甲斐甲斐しくやってるみたいだから大丈夫だろう。


「そろそろ先に進みませんか?」


 時計を確認したニシトモがずれにずれた話の筋を戻しにかかる。

 さすがニシトモだ、できる男は違う。







最近少しキャラの絡み多め。

話が進めば、バトル回が来ます。


今回の組み合わせなのですが。


直接戦闘員……ローレント、クランウィルソード、アンジェリックの騎兵隊、コーサーファミリー(ワルド、ベスタ)

サポート部隊……エアリル、アルジャーノ、十六夜、トンスキオーネ。

潜入部隊……コーサーのみ。


実質コーサーファミリーの傘下になっているトンスキオーネファミリーはファミリーの立て直しに駆り出されているため参加できず。


誤字脱字報告ありがとうございます。

感想には目を通させていただいてます。

誤字修正が終わりましたら感想にて返信させていただきますね。





あとがき小話。


運営「そろそろイベント一個あっためてるやつやるか……」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ