表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/626

-226-


 マフィアのアジトは基本的にシークレットマップの様なものなのだが、いかがだろうか?

 ナワバリマップはニシトモが持っているのだろうか。


「心配には及びません」


 ニシトモがアイテムボックスからマップを取り出す。

 もともとオルトウィルがペンファルシオを叩くために調べた地図が、今回のペンファルシオのアジトに繋がるマップの様だ。


 彼のクエストだから、それが無いとクエストが進まないっていう可能性もある。

 さすがに運営も準備をしてくれているだろう。


「そこは妾の位置でございますわよ!?」


「貴方は馬をいっぱいもってるじゃないですか」


 ノークタウンでアンジェリックの私兵達と合流した。

 その数は三十人。

 さすがアンジェリックだ。

 なかなかに集めている。


「ローレントさんと共に戦うのは久しぶりな気がしますね。今度一緒に狩りましょうよ。アルジャーノが寂しがってますよ」


「……寂しく、無い」


「明日が休みで助かったわね~、何よ本腰入れて戦うのは明日のナイトタイム? 制限厳しすぎると思わない?」


 今回ニシトモの呼びかけに集ってくれたのは、ブラウ達パーティ。

 そしてブラウがリーダーを務めるクラン“ウィルソード”のメンバーである。


 エアリルが言っていた様に、そこそこ急いだとしても全員が集まってからテージシティに向かうまでに朝が来てしまう。

 マフィアのアジトはナイトタイムじゃなければ入れないので、夜が明けて十二時間ほど待つことになる。


 みんな、仕事は?

 俺がいうのもなんだけど。


 ここに来ている連中は、みんな明日が休日なんだとさ。

 なるほど、暇人なんだね。

 そして、廃人なんだね。


「あんた失礼な事考えてるでしょ!? 私たちはたまたま休みだったのよ!!」


「僕はイベントでは有給使うから心配ないよ~!」


「……私、ニート」


「私は言っておきますが大学生ですので、うふふ」


 廃人たる所以だと思っておこう。

 ブラウのクラン、ウィルソードはその名の通り剣士プレイヤーが集まってできたクランだ。

 その装備はガストン達の傘下に入る鍛治師達が腕を振るった現時点での一級品。

 そしてニシトモからの支援によって全員馬をテイムしている。


「意味は剣への意志、信念! 僕たちが剣を持つ理由みたいなもんだけど、かっこいいと思わない?」


 うむ、正直めっちゃかっこいい。

 三下さんが言っていた様に、俺もクランを作るとして、どんな名前にしようか迷うのだ。


「装備かっこいいな」


 ブラウの装備に目を向けてみた。

 鎧に紋章の様なものがつけられて本当に騎士の様に感じる。

 馬上にいながらみんな剣を持っているが、それがウィルソードのやり方なのだろう。


「一式ウィルソードの剣の意志の紋章がついてるんだ! ローレントさんも意外とこういうのが好きなんだね!」


 ぶっちゃけ刺青とかあったらすごくかっこいいと思う。

 クランメンバーはみんな同じ刺青を体のどこかにつけるとかね。


「ほんと、男って馬鹿ね」


「……かっこいい」


「アルジャーノって……そういうの好きよね……ロボットとか。もっと女の子らしくした方がいいと思うけど」


「……スカートも好きだし、……料理もできる」


「基準がスカートと料理っていうのがちょっとズレてるのよ」


 ニシトモの馬車の荷台の上でエアリルが大きくため息をついた。

 騎乗して入る者はアンジェリックの私兵とウィルソードのクランメンバー。

 それ以外はニシトモの馬車の荷台に乗せられている。


 アンジェリックも一応馬持ちなのだが、俺の後ろに乗る算段を勝手につけていた様で……。

 十六夜の闇の瞳ブロックによってあえなく荷台行きとなった。


「ローレントは、諦めた方がいい」


「なんですの? 妾に向かってその口の聞き方と意味不明な話題の振り方は一体どこのどなたですことよ!?」


「……私はアルジャーノ、東京都たちk」


「ストップ! テンバー出身のアルジャーノでいいわよ!」


 個人情報の漏洩をエアリルがストップさせる。


「貴方が天然なのはよくわかりましたわ。ですが妾が諦める理由にはなりませんのよ?」


「……彼は誰の手玉にもならない、誰にも従わない、誰の指図も受けないタイプ」


「それがどうかしましたの?」


「……束縛心の強い貴方では無理。……それに引き換え私は巣作りタイプ。しかも節約上手で倹約家」


「なんなのかしらこの小娘! 言わせておけば! この妾に向かってなんたる言い草ですこと!?」


 荷馬車の上では何やら女子会が始まって入る様だった。

 好き勝手言ってるところ悪いが、本人がいる場所でそういう話するのやめてくれるかな。

 ちなみに俺が好きなのは強い女。

 そう、男は女以上に強さに魅かれる生き物なのだ。


「それにしても、行商マップが良かった」


「積み荷を載せるスペースなんか今回はありませんよ」


「コンシリエーレよ、うまい具合に魔除けに使われてるな。はっ、ざまぁみろ」


 トンスキオーネ、いつかコーサーと南の霊峰のブートキャンプに連れていってやる。

 その無駄な贅肉を落としてやるために、野山を駆けずりまわらせてやるからな。


 そんなわけで、大体五十人くらいのメンバーでテージシティへの夜通し大移動が行われた。

 後ろをチョロチョロとついてくるプレイヤーもいるが、翌日のナイトタイムに持ち越しになるから、ついて来ても意味ないんだよな。


 魔物の厄介払いはするからテージシティまで行けちゃう人が出てくると思うけど。

 店売り装備で単身後ろをついてくるプレイヤーとかいたら、テージシティまでついて来ちゃったらどうやって帰るんだろう。

 ログアウトせずに死に戻りするしかないとかかなり絶望的な状況になる前に、早く帰宅した方がいいと思うよな。





すいません今日はこの更新だけです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ