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 トンスキオーネの腹がパッツパツになったところで本題スタート。

 葉巻を吹かすトンスキオーネが単刀直入に言った。


「ペンファルシオの動きが思ったより早かった」


 ペンファルシオとは、テージシティに根を張るマフィア組織である。

 トンスキオーネファミリーよりも規模は大きく、三大巨悪の一つとしてテージシティで裏のトップ争いを行なっているらしい。


「たった一人のバカに潰されたが、うまく言ってれば俺はもうすぐあいつらの仲間入りを果たせそうな位置につけてたんだぜ。そうなれば四大巨悪だな」


「トンスキオーネファミリーが潰された話は聞いて居ましたが、たった一人? 一体誰に潰されたんですか!?」


 トン氏の話を耳にしたオルトウィルが身を乗り出して会話に入り込んだ。


「こいつだ」


「ん?」


「ん? じゃねーよ」


「男爵様、この人は対人戦だと魔王か邪神か悪魔だと思っていただいて構いませんので」


 トンスキオーネファミリー壊滅の一部始終を耳にしたオルトウィルは、開いた口が塞がらない様子だった。

 そして呟く。


「浅はかでした」


「そりゃそうだな。裏社会を無くすなんて、無理な話だ」


「どういうことだ?」


 素朴な疑問心を浮かべていると、ニシトモが懇切丁寧に説明してくれた。

 さすが商人だ、プレゼン能力が桁違い。


 掻い摘んで説明すると、レジテーラ家は前々から裏社会の浄化を考えて居た。

 それはオルトウィルの私怨なのか、はたまた住んでいる住人の言葉なのかはわからない。

 どちらにせよ、父を殺された恨みを持つオルトウィルは人生をかけてでも浄化を推進するつもりでいたし、執事のセバスチャンも主人の意思を尊重しその職務に当たっていた。


「ああ、喧嘩を売って狙われたのか」


「いきなりでかいところを叩くなんて無謀だろう」


「トンスキオーネファミリー壊滅の話を聞いて、裏が混乱している内に一つでも大きな場所を消しておきたかったのです。一つの組織が壊滅したということは、何かしらの大きな争いが行われて、そして戦えば疲弊する。トンスキオーネとペンファルシオは仲が悪いと聞いて居ましたから」


「……それにニシトモとトンスキオーネ関係ある?」


 こう言っちゃなんだが、私兵団でも募集してペンファルシオを叩こうとしたが、返り討ちにあっただけだろう。

 どっちかが死ねば解決すると思うのだが、聞いたところによるとどちらも健在で、無関係なはずのトンスキオーネとニシトモが関わっているぞ。


「話がややこしくなってくるのはそこからだ」


「ええ、セバスチャン様は実務的な物を取り仕切っておられました。その中には我々の当てをつけていただいて魔法銀、そう魔銀の件も入っているんですが……」


「ペンファルシオによって奪われた」


「まあ、厳密に言えばその可能性があるというのが正しい見解ですが」


 オルトウィルは南に位置するテンバーが豊富な資源を持つようになってから、国の貴族に掛け合いもう少し魔法銀の融通を利かせてもらうように掛け合って居たらしい。

 そして色々な便宜を図ってもらいながらついに魔銀生成の権利を獲得してきて、それに関する物をセバスが運んで居た最中だったのだ。


 だが、そんなセバスが突如として姿を消した。


「ペンファルシオは魔銀の秘密を手に入れればセバスを殺すつもりでしょう。そうです! こんなところで! 焼肉を食ってる場合じゃないんです! 早く、テージシティに戻ってセバスを助けないと、僕は、僕は……ッッ!!」


 オルトウィルは身を乗り出してそうまくし立てると、そのまま立ち上がり部屋から出ようとした。

 そこへ、トンスキオーネの銃が彼のこめかみに突きつけられる。


「まあ落ち着けよ」


「……ッ!」


 トンスキオーネの瞳は完全に人殺しの、何人も人を殺してきたような光を灯していた。

 オルトウィルはそんな目で睨まれて動けなくなる。


「てめぇが狙われたんだろ坊ちゃん。だったらセバスは殺されてねぇよ」


「一体どういうことですか!? 元はと言えばあなた方みたいなクズがテージシティで好き放題やるからーーッッ!?」


「ーーああ面倒くせえ、本当に撃っちまうか?」


「そこまでにしておけ」


 このデブは本当に撃ちかねないからこの辺りで助け舟を出しておく。


「へいへい」


 トンスキオーネはそう言って両手を上げて座り込むと葉巻に火をつける。

 そして東遷に追加の肉を注文して煙をふかし始めた。

 ……まだ食うのな。


「落ち着いてください男爵様。魔銀の秘密が取られていれば、それだけでかなりの利益を生みます。ペンファルシオは貴方を狙う必要がなくなるでしょう。これは私の推測なのですが、多分魔銀についてまだ相手は確証を得て居ない。セバス様が口を割らなかったから、貴方が何かを握っていると思い躍起になっているのではないでしょうか?」


「そ、そうなんですか? 私にはさっぱり」


「ローレントさん、私どもが介入した理由は魔銀が関わっていたからになります。ペンファルシオに取られているかもしれませんが、これらの事実からまだ希望が持てますから、一度テンバーで準備をし、再びテージへ向かうと言った算段をつけたところだったわけです」


「まあ、思ったよりペンファルシオが攻めてくるのが早かったんだがな。ふぅー……」


「な! 煙を吹きかけないでいただきたい! 私を男爵家としっての狼藉ですか!?」


「うるせぇたかが一つのマフィアに追い込まれてる奴が何を言ってんだ。こんな風に吹けば飛んじまうんだよてめぇは……いだだだだだ!!!」


 俺の契約NPCが貴族に粗相を働いているので腹の贅肉をつまんで黙らせた。

 さて、隣にはいつ、どのタイミングで話を切り出そうかドギマギしている十六夜がいる。


 そう……魔銀っぽいの拾ってました。

 十六夜って闇が深いしやばそうな雰囲気持ってるけど。

 対外的にはかなりコミュ障な一面があったから、顔色がやばいことになっている。


「あのあのあのこっここここれをひひひ拾ったんでんんでんですすすがががもがもが」


 ……は?

 すがががもがもが?

 頭いかれてるんじゃないのこの子。




更新遅れました。

お詫びにもう一回夜更新します。

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