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 カポレジームがバズーカにて爆散した後は簡単だった。

 慌てて戻ってきた暗殺者系構成員達を狩り進めていく。


 乗ってみて実感するノーチェの運用が偉くやりやすくなった。

 攻撃力よりも回避能力に特化した性能。


 ありだと思います。

 幻影馬、素晴らしいです。


 今回は珍しくアポート系を使わなかった。

 遠距離攻撃で必要なのはブラストくらいで、後は十六夜が後ろにくっ付いて自動制御砲台役になってくれたからか。

 有能だ、当てれる弓使いは有能。


 一応スキルや補助スキルを使用すれば弓を持ったことない素人でも当たるようになる。

 その分ポイントをそこに振らなければならなかったわけだが……。

 アップデートが来てからその辺はどうなったんだろう。

 もっとも十六夜は普通のプレイヤースキルで弓を当てているから関係ない。


「終わったみたいですね」


「ん」


 ニシトモが倒した夜盗とマフィアからの戦利品を回収しながら近づいてくる。


「一時はどうなることかと思いましたが、とにかく来て頂いて助かりました」


「何がどうなってるんだ?」


「ここで話すのもアレですから、とにかく街まで戻りませんか? 安全圏に彼を運びたいので」


 ニシトモが目で指した先にはオルトウィルが居た。

 防護用の板とか諸々を取っ払って風通しの良くなった荷馬車に一人体操座り。

 何やら落ち込んでいるようだが、確かにフィールドではゆっくり話せそうでもない。


 大量に居たマフィアと夜盗が一気に消えて、モンスターが湧き始めている。

 急いで荷物をまとめると、テージシティには戻ることなく、そのままノークを飛ばしてテンバーまで舞い戻って来たのだった。


 ノークを飛ばしてテンバータウンまで舞い戻った理由。

 それは信用に足りる場所があまり存在しなかったからだ。

 ニシトモもトンスキオーネもできるだけ距離を取ることが先決だと踏んで居たのだ。


「田舎じゃなかったのか?」


 テンバーへ入り、第一拠点へやって来たトンスキオーネの一言。


「初めてか?」


「用事が無ければ行かねぇし、テンバーに用事なんかなかった」


 ブリアンや農業プレイヤー達が作って居た広大な農地。

 そして土建屋が日々趣味の名目で補強建築していった外壁。

 初のエリア開放にてプレイヤーの占有拠点となった第一拠点。


 こうして見ると、レイドボス強襲イベントでの物資増加によってちょくちょくNPCが増えて来てテンバータウンは発展した。

 そんなテンバータウンを見て、トンスキーネが贅肉を揺らしながら疑問を浮かべて居た。


「それにしても、なんだこの店は」


 ジュウジュウと肉の焼ける音が響く。

 俺たちはニシトモの紹介で完全個室の焼肉店へとやって来て居た。


「やきにくトウセンだ」


 姿を現したのは、昔裸一貫で焼き鳥屋台を行なって居た男だった。

 今更ながら、東遷という名前だったのか。

 ……いや違う、こいつケンって名前だったはずだ。


「ケンじゃなかったっけ?」


「それは焼き鳥屋台の屋号」


 嘘だろ……!

 いやぶっちゃけ名前とか忘れてたから今さらどうでもいいんだけど。


「やきにく? 自分で焼けってのか?」


「それが醍醐味だからな」


 その割にはトンスキオーネ、ご飯が止まらない様子だが?

 米を導入したのはつい最近のはずだが、もう東遷の元まで入っているなんてブリアンとの仲の良さが伺える。

 焼き鳥屋台を行なっていた当初から、ブリアンの野菜が良いとずっと言ってようだし。


「あれ、焼き鳥屋は?」


「一階が大衆居酒屋みたいな雰囲気でNPCを雇い焼き鳥屋にしている」


 焼き鳥東遷と描かれた赤い提灯が四つ並んだ入り口を通れば焼き鳥屋に入るらしい。

 はて、そんな入り口は存在しなかったが……?


「完全に分けてあるからな」


 東遷のこだわりによって、その焼き鳥屋は中の良いプレイヤー達のプライベートホームとしてレンタルを行なっているいわゆる“住宅区画”に作られた。

 GSOの匠プレイヤー達、チーム土建屋が作り込んだ木造の住宅街の中にそれはもう上手く溶け込んでいるのだと。

 下町っぽさを出したかったらしい。


「このゲームの舞台設定は洋風なんですけど」


「はっは、嬢ちゃんそれはいわねぇやくそくだぜ」


 どことなく江戸っ子気質な喋り口で追加の肉を取りに行く東遷。

 メニューに豚トロとあるが……もしかしなくてもオーク肉?


「完全個室の店で、なおかつ私とその知り合いしか来ないような隠れた名店が欲しかったわけです」


「ニシトモが手を貸していたのか」


「知り合いでそういうお店をやってくれそうなのは彼しか居なかったものですから、信頼にも置ける人物であることは確かですよ。そして料理も美味しいですし」


 焼き鳥屋を作るのにニシトモもひと噛みして居て、その時の対価として完全個室で密談ができる場所を作ってくれと話を持ちかけたようだった。

 で、東遷は「だったら焼肉屋だな」と二つ返事でオッケーを出してこの店が二階に秘密裏に建てられた。

 ちなみに入り口はプライベートホームの一つの部屋を偽装しているといった徹底っぷり。


「ロマンだな」


「……私にはよくわかりませんが、はいローレントさん肉が焼けましたようふふ、うふふふ、うふふふふ」


「ありがとう」


 十六夜がせっせと肉を焼いて俺の皿に置いてくれる。

 自分のペースで食べたいんだが、なんか楽しそうだから放置しておこう。


「うふふ、はいあーん。なんかしちゃったりして? うふふふふ」


「コンシリエーレ……この女、薬でもやってんのか?」


「これが正常だから気にするな」


「やべえなそれ」


 下の焼き鳥屋は完全炭火らしいが、この焼肉は都合上火属性魔石式の魔導コンロを採用している。

 完全個室だから仕方ないといえば仕方ない。

 換気が甘くてみんな死んだら元も子もないしな。

 それにガスタイプも好きだよ、早く焼けるし、火が弱くならない。


「そろそろ本題と行きますか?」


 腹が減ってはなんとやら。

 みんな腹も満たされたところで、ニシトモがオルトウィルに目配せをして話を切り出し始める。


「待て、その前にシロコロってやつを追加だ。食べてみたい」


 トンスキオーネ!!!!!

 このくそデブ野郎!!!!!






主人公視点で周りがごちゃごちゃとして居ますね。

なんとか2000〜2500文字でおさめようと頑張ってます。


ちなみに東遷は70話とか58話とかで出て居たような……。

そしてその時、名前はケンという設定にしていました。

痛恨のミスです。

ちなみに屋台の焼き鳥軒はまだ続けている設定です。

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