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 ニシトモの荷馬車が夜盗たちの中央を突き抜けて道を走っている。

 トンスキオーネは馬を操るニシトモの隣で銃とバズーカを撃つ。


「ちっ、キリがねぇぜ! まさかこんなことになっちまうなんてよ!」


 そんなことを言いながら群がる夜盗に向かって何かを放り投げた。

 轟音と共に夜盗の一人が爆散し、衝撃がこちらまで届いてきそうだった。


「後ろに要人が控えているんですから抑えてくださいよ!」


「手を抜いたらやられちまうぜ!! おら、お前らたかが引きこもりごときに情けねぇぞ!!」


 檄を入れられた手下マフィアたちが声を張り上げて応戦する。


「ここさえ切り抜ければ十分だ! 後ろから面倒な奴が来る前に!」


「させると思うか?」


「ちっ、雑魚が出しゃ張りやがって……」


 ドン・ラバードが道を遮るように前に出る。

 正直、トン氏とドン氏じゃレベル差があるのだが、なんとも自信満々なご様子である。

 一体どうしたドン・ラバード。


「ベンファルシオの旦那が来るまで持ちこたえればこっちのもんよ」


「買収されてやがるのか?」


「答える義理はねぇな……どうせ言ってもすぐに無駄になる。てめぇらはここで死ぬんだからよ。これからは裏も表も俺たちが仕切るってペンファルシオの旦那が言ってんぜ? ヘハハッ」


 人数比的に言えば、ニシトモとトンスキオーネの兵の数は少ない。

 夜盗はドン・ラバードに命令されて捨て身のごとく阻止にかかっている。

 彼らの話を聞く限り、夜盗達はテージシティのマフィアの後ろ盾を得ているようだ。

 それで個々で叶わなくとも、逃走を阻止できればいいのか。

 応援が来るからな。


「うーん、トンスキオーネはもう少し兵隊が居たと思うんですが」


「あー……あいつがほぼ全部殺したからな、仕切り直しするつもりだったが、馬鹿が女に連れて行かれて増やせない状況だ。配下の決定権は俺にないからな」


「なんとタイミングの悪いことでしょうか」


 ニシトモも苦笑いをしている。


「じゃ、悪く思うなよ。俺が昇格したらお前の拠点を新しいアジトとして使ってやるから」


「殺すぞ、雑魚が」


「おっと、できるかな? きやがったぜ、ペンファルシオの兵隊だ」


 銃を構えたトンスキオーネに向かって、ドン・ラバードはそう言った。

 彼らが後ろを振り返ると、そこそこの人数を従えた別のマフィアたちがぞろぞろと馬に乗って掛けてきているとこだった。


「……おい、ニシトモ。ここは面倒見てやる。後は任せたぜ」


「トンスキオーネさん……」


 何やら覚悟を決めたような目をしているトンスキオーネだ。

 まさか、死ぬ気でニシトモを逃がそうとしているのだろうか?


「てめぇらはここで死ぬんだよ!!! ヘハハッ!! ハイブースト!! ストリング!!」


 ドン・ラバードが身体強化スキルを使用しながら切りかかった。


「早く行け!」


「恩に着ます、絶対に死なないでください」


「ヘハハッッ!!! ラージスラッーー」


 俺がそんなことさせるわけないだろうに。

 兼ねてフル詠唱を行なっていた「エナジーブラスト」を使う。


「ッシュギャアアァァアアア!?」


 エナジーブラストはまっすぐドン・ラバードに向かって撃ち込まれる。

 魔力の束は高いエネルギーと高熱を生む。

 ドン・ラバードの隣に連なっていた雑魚の盗賊も一緒にダメージを受けていた。


「なんだ!?」


「誰かいます!!」


 そのままノーチェを繰って駆け出す。

 ローヴォには全力疾走で先行してもらい、強襲をかけてもらう。

 トンスキオーネ、漢じゃないか。

 さすが俺が認めた野郎なだけある。


「マナバースト」


「速射」


 新スキルの大セールだ。

 六尺棒とスペル・インパクトで敵を蹴散らしながら中央に食い込んでマナバーストを使う。

 俺を中心に敵対する奴らが大きな衝撃を受けて吹き飛ばされていく。


「てめぇは……」


「話は後だ」


 マナバーストによって攻撃力が増加している。

 他にもいろんなスキルを事前に重ねがけしておいた。

 一応、全スキルを使用したマジモードということかな。


「魔闘を纏っている時もなんか薄青いオーラが見えていましたが、なんか今回はローレントさんの身体の周りをバチバチ電気みたいなのが渦巻いてませんか?」


 それはマナバーストのエフェクト。


「瞳も相変わらず緑色に光ってますし、一体どうなってるんでしょうか?」


「ニシトモ、お前なんか慣れてねぇか?」


「ええ、この方に限ってはこういうことは日常茶飯事ということを心得ておいた方がいいでしょう」


「ああ、そう……そうだな……」


 なんだこいつら……戦えよ!

 やる気十分なのは俺と十六夜だけみたいだ。

 まあ戦闘向けというより裏方向けの二人だから仕方ないだろう。


「十六夜、行けるか?」


「ブルーノは既に上空で待機しています。行けます」


 本当に準備がいいことだな。

 ドン・ラバード含めた夜盗達は、先ほどの蹂躙劇でかなり数を減らした。

 トンスキオーネについて着た手下たちだけ十分だ。


 敵の本懐は奥にいる。

 テージシティ側からこちらを伺っているマフィア達だ。


「大まかな数だけ報告しますね」


「うん」


「上からざっと見て五十以上はいるみたいです」


 ブルーノは本当に優秀だな。

 猟師である十六夜と常に行動をしてるから索敵能力が上昇しているのだろうか。


「たった十五人相手に大袈裟なやつだぜ、ペンファルシオめ」


「トン、馬車には誰が?」


 確か、要人と言っていた訳だが。

 俺たちの会話を聞いていたのだろうか、厳重にガードが張られたニシトモの馬車の荷台から一人の男が姿を表した。


「あ、あなたは……」


 オルトウィル・レジテーラが姿を現した。

 そして直ぐに俺のことを思い出したのかガタガタと駆け出して俺の元へ近づく。


「お願いします! テージシティにセバスが、セバスがまだ残っているはずです!!」


「ったく……要人が出てくるなよ」


 トンスキオーネが頭をかかえる。

 さすがにこの場合は迂闊すぎるな。


 的がこの荷馬車に乗っていたことを確認した敵が行動を始めようとしている。

 せっかくさっきまで乱入した俺を経過して距離を取っていたというのに。


「おい、コンシリエーレ……やれんのか?」


 オルトウィルを馬車の荷台に追いやって敵を向き直った俺に向かってトンスキオーネがそう尋ねて着た。

 なんだ、心配して来れているのか。

 もちろん……。


「問題ない」





裏社会編に突入する前段階でのぽっと出キャラのオルトウィルさんです。

ローレントはその時意味深なセリフを吐き捨てて居た気がします。

はい、伏線回収。








あとがき小話(読み飛ばしてOK)


tera「大賞、ファン投票賞ダブル受賞でした!みなさんのおかげです!」


皆さん「そんなことより早く更新しろ!!!」


KI☆CHI☆KU



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