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早めに落ちたので、早めにインしました。
夜明け前ですな。
スティーブンの家のベッドは割と質が良かった。
今まで床で寝ていた駄犬もいつのまにかベッドの上へ。
「わう?」
俺の起床と同時に起きだしてのそのそとどこかへ行ってしまう。
あれ?
と思ったら、餌皿くわえて戻って来た。
この駄犬め。
厚かましいぞ!
でも俺も腹は減ってるのでキッチンを借りる。
「玄人好みの味に仕立てるんだ」
「わぅわぅ」
とりあえず適当にある物を使って調理に取りかかった。
自炊はするのかって?
フライパンさえあれば大丈夫だって。
「……なんじゃこれは」
「チキンソテーです」
「……朝から?」
「……わぉん」
「……高血圧気味なんじゃが」
スティーブンも肉の焼ける匂いに起きて来て、皆で食事ととなった。
芳しくない表情してるけど失礼な。
味付けに使えそうなの塩しかわかんなかったからしゃーない。
そして厨房への出入りは禁止になった。
なんでだ、少しくらいしょっぱい方が炭水化物に合うでしょ。
健康志向かしらんけど、活力は朝の食物からだ。
朝から肉食って何が悪い。
さて、とりあえず個人依頼をある程度終わらせる為に東の川に。
フィールドは相変わらず閑散としているし、カエルもそこそこ湧いている。
カエルの皮素材は、これからかなり熱いと思うんだけど。
[ローヴォがレベルアップしました]
ローヴォがカエルをくわえてもどってくる。
これからはしっかりインフォメーションメッセージに気を使おう。
昨日の夜の話し合いは結構聞き流しかけたけど。
◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ
【リトルグレイウルフ】灰色狼(幼体):Lv6
人なつこい犬種の狼の子供。
魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。
群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。
[噛みつき]
[引っ掻き]
[追跡]
[誘導]
[夜目]
[嗅覚]
※躾けるには【調教】スキルが必要。
【リバーフロッグ(素材)】50cm
・身(食材)
・皮(素材)
・内臓(素材)
水辺に生息する生物なのはわかるが、漁師スキルが何故か活きる。
スキル外ドロップしてくれたらなんと楽だったことか。
でも、ドロップしないこともある訳で。
その分確実に舌、皮、身にわけることが出来る。
無駄が無いのは良いことだが、魚を捌くのと蛙を捌くのは勝手が違う。
一応揚げれば上手いのは知ってるけど。
流石に食指を伸ばす人は少ない様だった。
さて、今日は釣メインと言うよりも。
フィッシャーガーをひたすら狩る日。
少なくとも水面に浮かぶ影は全て狩っておきたい。
容易したのはロープに括り付けたカエル肉。
この東のフィールドの王者ならこの間みたいに一度食らい付いた得物を逃すことは無い。
【フィッシャーガー】Lv6
水を飲みに来た動物を襲う淡水のハンター。魚類。
びっしりと硬い鱗を持つ。
大きな牙には注意。
大きいけど漁師の敵ではない。
という訳である程度引っ張ったら魚鉤で水揚げ。
さて今日は連戦なわけで、一々解体してる暇は無い。
そして血抜きせずにアイテムボックスに入れると。
鮮度の落ちが早いので、今回は壊れかけた桟橋の影にロープで縛って行く。
水面に晒しとけばまだマシだろう。
サクサク狩って行くが、一番小さくて80cm、大きい物で160cmだった。
レベル10のフィッシャーガーとか、戦慄した。
普通に日本の成人女性と変わらない大きさで、牙も圧倒的。
一緒に綱を引っ張ったり、運搬を手伝ったローヴォのレベルも上がっていた。
◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ
【リトルグレイウルフ】灰色狼(幼体):Lv7
人なつこい犬種の狼の子供。
魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。
群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。
[噛みつき]
[引っ掻き]
[追跡]
[誘導]
[夜目]
[嗅覚]
※躾けるには【調教】スキルが必要。
順当に成長しているが、ステータスとか無いから成長度合いが分からない。
子犬サイズからも全く変動無し。
「ぐるるる……!」
「どうした?」
ローボの唸る声が聞こえる。
視線の先はあの壊れかけた桟橋付近。
毛を逆立てて警戒しているように見える。
大きな水音が立つ。
餌をひと飲みする様なガボっという音。
フィッシャーガーより遥かに大きな魚影が浮かんでいた。
【ピラルーク】Lv2
川の主として君臨していることが多い。
甲冑魚とも呼ばれ、鉄より堅い鱗に覆われている。
普段はひとけの無い場所で休んでいる。
レベル2だけど、ヤバそうな雰囲気。
ってかフィッシャーガー丸呑みにされてるんだけど。
目測だけでも二メートルくらいありそう。
そしてロープごと引っ張る音。
メキメキと柱が圧し折れて行く音。
あれ良いのだろうか?
不味いだろ!
迷わず銛を投げる。
壊されてたまるか。
あ、やっぱり弾きますよね。
甲冑魚って書いてありますもんね。
「ローヴォ! ロープをくわえろ!」
フィッシャーガーを逃してなる物か。
素材の塊でほぼ独占状態だぞ!
かなりの数を狩っていたしな、勿体無い。
「ブースト!」
駄犬は早い、スッと眺めに垂らしていたロープをくわえてこっちに持ってくる。
俺も身体強化で速度を上げるとロープをつかむ。
綱引きの始まりだ。
ローヴォも賢明に引く、だが、自分の身体より大きな魚相手にどうしろと。
綱引きの渦中にあったボロボロの桟橋は、音を立てて崩れ始める。
ああああ!
やっちまった!
不幸中の幸いなのか、フィッシャーガーはまだ残っているし。
崩れた桟橋の木材がピラルークに降り注ぐ。
その影響で若干奴の動きが遅くなった。
だが、このままだとジリ貧だし、全てを持って行かれて地味に削られて行くHPが損なだけだった。
ってかこれも戦闘パートに入るんですか。
「アポート!」
大剣が川辺の土にめり込む。
そしてもう一発の【アポート】で竃に使われている石を剣の上に。
ガツンと音がした。
流石ガストン謹製、壊れたのは石の方だった。
急いで大剣の持ち手にロープを結ぶ。
杭代わりに深く刺さった剣から伸びるロープがピンと張りつめた。
ピラルークの動きが止まった。
水の中で踏ん張りが利くわけないだろ。
手持ちの武器は?
六尺棒と銛とレイピアと魚鉤だ。
とりあえず銛と魚鉤!
錆びるかわからないけど、錆びても良い物を!
「おい! 桟橋が!」
「どうなってんだありゃ!」
「木材はここで良いのかって、……うおお!」
ミツバシ、イシマル、トモガラの三人だ。
丁度良い所に来た。
「ここの主です!」
「ま、マジか! どどどどうすれば!」
焦ったミツバシが持っていた物を全て放り投げて。
イシマルは石を乗せた荷車を止めて。
トモガラは抱えていた木材を抱えたまま走ってくる。
置いて来いよそれ。
「じ、地面が抉れて来てるぞ!」
「俺が木で降ろし打ちしとくから、石工のオッサンは石材でここ固めろよ!」
トモガラがイシマルに指示をだす。
俺は長い方の魚鉤をミツバシに持たせると、漁師合羽を装備した。
何気に初めて身につける。
軽兎フロッギーローブはアイテムボックスに収納されていた。
「ミツバシさん、その鉤で尾っぽの方はよろしくお願いします」
「漁師持ってるけど、俺よくわかんないぞ! ってか水入るの!?」
執拗にフィッシャーガーを食って逃げようとしてるけど。
この機会を逃がす訳にはいかない。
張りつめたロープが保つかわからんし、
フィッシャーガーと違って餌を諦めるかもしれん。
そうなったら逃がした魚はデカかった悔しい状態になる。
どうする?
直接仕留めるしかない。
魚の急所なんか人の急所よりも熟知してる。
「おいいいい! もうおさえきれねぇぞ!」
「石工がんばれよ!」
「おい尻尾の一撃で鉤壊れたすまん!」
使えないおっさん共は放っといて。
これは早期決戦だ。
短い方の魚鉤はどこに刺す?
鱗が狙い目ですな。
すこし表現がエグいことになるが、ピラルークはまんまピラルクが大きくなった様な姿をしている。
顔が平べったい。
そんな奴が大きく口を開けてフィッシャーガーに食らい付いている訳だから。
眼孔から鉤をつっこんでフィッシャーガーの尾っぽを引きずり出す。
即席の針の返し代わりだ。
ピラルークの身体が大きく暴れた。
密着していた俺のHPが半分以上持って行かれる。
「ブースト!」
身体能力向上スキルを掛けなおす。
ピラルークの鰓蓋を鉤を使ってこじ開けると左手をつっこんだ。
ブチブチブチと引き抜くと、ピラルークのHPが大きく減るのがわかる。
あとは神経締めだ、鱗の隙間から脳天に、レイピアを差し込んだ。
大量の血液が川を流れていく。
そしてHPが全て無くなったピラルークは動かなくなった。
【ピラルーク(素材)】260cm
川の主。堅い鱗はフィッシャーガーの牙すら通さない。
だがかなりの柔軟性も持ち合わせているので鎧として利用可能。
骨も堅牢だが、牙はあまり使いどころが無い。
刺身にすると淡白で弾力がある。
なるほど、改めてかなりデカいモンスターでした。
細身のフィッシャーガーと比べてまるまるとしている。
解体部位は?
【ピラルーク(素材)】260cm
・身(食材)
・鱗(各種素材)
・骨(各種素材)
・牙(各種素材)
・内臓(食材)
ふーむ、内容は代わり映えしない。
ってか魚鉤壊れてるし、レイピアも曲がってる。
トホホなんですけど!
[生産スキルポイントが1ポイント入りました]
[ローヴォのレベルが上がりました]
[プレイヤーが壊れた桟橋の主を討伐しました]
[エリアクエスト、東の川の異変が解放されました]
[討伐者様へ、受諾しますか? yes/no]
は? え?
聞いた事も無いインフォメーション。
どうやらミツバシ、イシマル、トモガラにも聞こえている様だった。
そして川から上がってローブを装備しなおすとメッセージが。
『ちょっと……、壊れた桟橋って東の川の? もしかしてアンタ?』
『ええまぁ、他にも居ますけど』
『確か……、男共が向かってるわね! ちょっと私も行くから現場保存しといて!』
レイラからでした。
同時に男衆にもメッセージが入っているみたいだ。
「なんじゃ? このエリアクエストって」
「わかんねーけど、あのデカブツが関係あるのか?」
イシマルとトモガラは岸に寄せられたピラルークを見ながら言っていた。
ミツバシが手伝いに来てくれる。
「姐さんくるってよ」
トモガラが自分が持って来た丸太に座って一息つく。
「それより、受諾はしたのか?」
「流石にわからんままじゃなぁ」
「それにしてもでかい……」
「魚鉤一瞬で壊れたよ」
イシマルとミツバシはクエストの受諾をするかしないかで迷っている。
ってかこの野良で集まっただけでも、一応集団戦だってことになるのか。
ーーー
※変化無し分は省略しました。
プレイヤーネーム:ローレント
職業:無属性魔法使いLv13
信用度:75
残存スキルポイント:0
生産スキルポイント:2
◇スキルツリー
※変化無し。
◇生産スキルツリー
※変化無し。
◇装備アイテム
武器
【大剣・羆刀】
【鋭い黒鉄のレイピア】※修理中
【魔樫の六尺棒】
装備
【革レザーシャツ】
【革レザーパンツ】
【河津の漁師合羽】
【軽兎フロッギーローブ】
【黒帯】
称号
【とある魔法使いの弟子】
◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ
【リトルグレイウルフ】灰色狼(幼体):Lv8
人なつこい犬種の狼の子供。
魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。
群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。
[噛みつき]
[引っ掻き]
[追跡]
[誘導]
[夜目]
[嗅覚]
※躾けるには【調教】スキルが必要。
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本日は18話から22話までの五話更新でした。
アプデとかあったので更新多めでした。
スキル詳細ありなしのご意見あればどうぞ。
活動報告でも感想でもどちらでも良いです。
多段書きしないと偉い読み辛いんですが、文章が変に間延びしてしまうんですね。




