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 なんということだ……!!

 俺と三下さんが無駄にペアルックみたいになっていた。


 戦闘服という名の、コンバットエイプ製の軍服を着ている。

 魔甲虫のサポーターとかさ、すね当てとかさ……。

 ついでに手甲も作ってもらえばいいと思う。


 盾職だったらいたるところに盾を持っておけばいい。

 俺は受け流し勢だからいらないんだけどもね。


 トンスキオーネにバズーカでやられた服は、セレクが予備を作ってくれて居たのですぐに新しいものに交換した。

 ついでに全身総取っ替えで補修に回している。

 二着も作ってくれてるなんて、セレク流石すぎる。


 冒険は一人じゃできない。

 装備を作る、素材を売る、そういう産業プレイヤーたちが居てくれるおかげで、俺は狩りに集中できる。


「持ち物とか規制すんの?」


「特にはない」


 山籠りだが、極限状態でというわけにも行かないだろう。

 現実の山に比べて、霊峰は敵が強制的に出現して襲ってくる。

 ある程度の装備は必要だと思うわけだ。

 だが、食料などは現地調達。


「三下さん、テイムモンスターは?」


「んなもんいねェ。俺が守りきれるのは俺一人だけだぜ」


 なんとかっこいいこと言ってくれんの。

 俺はローヴォだけ連れて行く。

 ノーチェは今回お留守番だ。

 山に入るから仕方ない。


「そうだ。お前、掲示板とか見てる?」


「そんなもん見ない」


「だろうなァ。なんか俺らを叩いてるやつが増えてるらしいぞ」


「勝手に叩かせておけばいい」


「ま、そうだけどよォ」


 目立てば叩く奴はいる。

 とりあえず叩く奴もいる。

 猟奇的殺人犯なんて、ただ殺したくて殺すレベルなんだから。

 まだかわいいレベルだと思う。


 自分に無いものを持っているから、それはズルしただろ。

 って思うのはある意味狂っているが仕方ない。


「努力の方向性を間違えただけの可哀想な奴だと思えばいい」


「そりゃそうだな、日本人の悲しき性だなァ」


 個人的な意見だが、プレイヤーキラーとしてかかってきてほしい。

 お前なんかムカつくからぶん殴る、っていう輩は大歓迎さ。


 祖父は、道場破りからお金を徴収していた。

 プレイヤーキラーを倒せばアイテム全部ゲットだぜ。

 かなりいい金策になるじゃないか?

 そうだ……、ひらめいた。


「プレイヤーキラー狩りってどう?」


「どうって……、くっそ面白そうじゃん」


 三下さんは割と乗り気だった。

 詳しく話していると、どうやら闘技大会や緊急レイドイベントで目立ってからプレイヤーキラーに襲われることが増えたらしい。


「多分、お前は無理だが俺はいけるって思われたんだろうなァ……だるいわァ……」


 俺としては羨ましいんだけど。

 ゲームだから人殺しなんかないと思ってたら、俺も速攻プレイヤーキラーにやられたことがある。


 逆にゲームだからこそ、簡単に殺せるんだよな。

 あの一件がなかったら身がひき締まらなかったと思うから。

 ありがとうプレイヤーキラー。


「むしろ、プレイヤーキラーを狩るギルドがあってもいい。賞金稼ぎギルドみたいな?」


「んあ? 他にもやってる奴いそうだけど、適当にメンツ集めて隠れ家でもつくるかァ?」


 そこで、ローヴォが不意に唸りだした。

 既に森の中へ入っている状況で、奥へ奥へ向かうほどにプレイヤーの数は少なくなってくる。


 唸りの原因はすぐ気づいた。

 俺たちをつけてきてる奴がいる。


「つけられてるな」


「……すまん、巻き込んだ。俺の面倒クセェやつらだわ」


 三下さんがため息をついていた。

 いやむしろ、飛んで火に入る夏の虫というところだろうか。


 人数はわからんが、もう少し近づいてきたら判別つくだろう。

 少し速度を上げて山を登ることにした。

 ちなみに出てくるモンスターは瞬殺している。

 三下さんがガードする必要もない。


 大きな体格になったローヴォがすぐに食い殺す。

 オークでさえ正面から飛びかかってパワーで勝るようになってしまった。

 キャンキャン吠えながら陽動していた頃が懐かしい。

 対する俺も首の骨へし折って速攻倒して、肉ドロップに変える。


「おい、さっさと追えって言ったろうが!」


「しらねぇよ、三下のくせに俺たちを巻いたってか?」


「キルポイントが足りねぇから、一発逆転しねぇといけねぇってのによ!」


「ハァ? てめぇが返り討ちになりまくってるからだろ?」


「おい、たまたま手を組んでんだから止せよ」


「ついでに一緒に歩いてたよくワカンねぇのも殺してやろうぜ」


「名前の確認は?」


「できてねぇ、あいつだけ名前が見えてなかった」


「おかしいだろ? チーターか? 気をつけとくぞ」


「情報だとローレントはノークタウンからアンジェリックを連れてテージシティってさらに先のマップにお熱だ」


「ソースは?」


「ハッ! なんとアンジェリクとかいう女の兄貴様だよ! これ以上に信頼できるソースあるか?」


「ならば適当な雑魚と山狩りに来たってことだろ? 泉の転移門は今閉鎖されてるから戻ってくるには時間かかるからな」


 木の上に登って様子を見ていると、そんな会話をしながら四人のパーティが下を通過した。

 なんだか面白そうな会話をしているな。

 俺の名前が出ているようだが、まさか本人がここにいないとでも思っているのだろうか。

 ちなみにスティーブンのテレポートで一瞬でここまで帰って来てるんだな。


(おい、どうすんだ?)


 三下さんからチームウィスパーが届く。

 今初めて知ったのだが、チームウィスパーボイスってタブを押しながら話せばいいらしい。


(ローヴォに襲わせて、分断する)


(テイムモンスター危なくないか?)


(すぐに逃がせばいい)


 っていうかローヴォは個体レベルだと俺と同じだから。

 そんじょそこらの奴には負けないと思うんだけど。


(分断して、一人一人拷問する。そして気になることがあったからいくつか質問させてもらう)


(いいねェイイネェ! そろそろうっとおしかったから打ち払うだけじゃなくてそういう手法もあるんだな?)


 三下さんのニヤケ面が怖い。

 ふふ、お互い趣味が合うようで何より。

 毒、溶解液、全て準備してあるんだな。


 よし、ローヴォよ。

 うまい具合に謎のモンスター役をやってくれ。





レンジャー編開始。

ちなみにもろわかりの伏線だと思いますが。

あとあと女の子(?)も参戦します。



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