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 スティーブンがパトリシアを煽り、パトリシアはぐぬぬしていた。

 悪ノリもそれくらいにしておこう。


 顔を背けて砂を避けたラパトーラ。

 無詠唱魔法の連弾が散漫になる。

 危険を感じて飛び退くつもりらしいが、追いすがる。


「エナジーショット」


「くっ!」


 魔法耐久はかなりある分、ほぼ初期の魔法スキルだとダメージも与えられていない。

 マジッククロウも、ローブを打ち破っただけでHPに変化はなかった。

 だがな、魔闘スキルの本領はそこではない。

 接近戦で魔法耐性がない近接相手にアドバンテージが取れて。

 なおかつ、同じ魔法職相手には接近戦かつ、物理攻撃が可能なのだ。


「マジッククロウ」


「くっ!」


「エレメンタルブレット! フォースエレメンタル! シースエレメンタル!」


 ラパトーラはなんとか後方に退きながら体制を整えているようだ。

 四色の魔法スキルが体を包み込んでいるようだった。


「意味ないって」


 基本的に魔法攻撃ではなく物理攻撃を狙いに行ってるわけだ。

 もっとも、物理ダメージも軽減するとか。

 俺のダメージが魔法依存で同じように軽減されてるなら安心材料かもしれない。

 ラパトーラもそう考えて体を固めてきたのだろうし。


「ち、近づかないで! 変態!」


 心外だな……。

 ローブは確かに破壊してしまったけど、別にそれ以外は……。

 待てよ。


「マジッククロウ!!!!」


「え?」


 ローブの下に身につけていたこれまた上質そうなワイシャツに狙いをつけて見た。

 俺は攻めあぐねて攻撃したにすぎないから。

 不可抗力だから。


ーーパリーン!


 うん、不可抗力なのだ。

 今だけゴブリンの気持ち!


「きゃあああああああ!!!」


 ちなみに装備を破壊したからといって、下着やその中身がお目見えする訳ではない。

 スポーツブラ的なインナーが姿を表すのだ。

 ラパトーラが身につけているのは黄色いタイプだった。


「あんたの弟子は強姦魔かい?!」


「不可抗力じゃよ。眼福、眼福」


 さて、羞恥心で胸を庇うばかりに。

 動きが鈍くなっているぞ?


「なんでこんなに耐久値減ってるの!? ヤ、ヤダっ! こっち見ないで!!」


 多分、称号のせいだろう。

 持っててよかった悪称号。

 これで破門されたら本末転倒だから。

 できるだけスティーブンの意向に沿ったクエストもこなしておかないとなあ。


「戦いの最中だ」


「くっ! わかってるわよ! こっちがあんたと同じステージに立って上げたのよ!」


 上半身インナー同士ってことだな。

 とりあえずスカートを握りしめてマジッククロウはマジで強姦魔っぽいから。

 地功拳だ!四足歩行でゴロゴロ転がって下半身を攻めるのだ。


「動きが気持ち悪いわよ!!!」


「立派な武術だ」


 ゴロゴロゴロゴロと転がりながらエナジーショット、マジッククロウを放っていく。


「スティーブン、なんだいあの弟子は!?」


「いうこと聞かんから自由に育てとったら勝手にこうなっとった」


 何度目かのマジッククロウで、ついにスカートも餌食になった。

 よし、恥辱完了。

 まあ、ギャラリーがいない分まだ優しい方だろう。

 恐怖とは別の部分で楽しませていただいたラパトーラの精神はすでにボロボロだ。


「く、こ、こんなぁ……えぐ、ひっく」


 泣きが入り始めている。

 さて、精神的な揺さぶりによってすでに戦闘不能といったところ。

 使いましょう、悪運の瞳と幻惑だ。


「ぁぁ……」


 インナー姿で尻餅をつくラパトーラ。

 それでもなんとかしようと手探りで俺が打ち飛ばした自分の杖を探している。

 首の骨をへし折ってやることは簡単だ。

 だが果たしてNPCを倒してしまって大丈夫なのだろうか?


 決闘というシステムがあるものの、今回は使用していない。

 クエストだから大丈夫かな?

 とりあえず居ても居なくてもどっちでもいい。

 障害になるとするならば、直ぐに元を断つべきだろう。


「「「ーーーッ!!」」」


 六尺棒を真上に振り上げたところで周りに大きな動きがあった。

 手に魔力を貯めたパトリシアが俺の横っ面で臨戦体勢。

 対する俺も六尺棒を彼女の喉元に構えている。

 そしてスティーブンがラパトーラをテレポートでその場から離し、スペル・リジェクトを今にも唱えそうな手と杖を俺とパトリシアに向けている。


「武器を下ろせスティーブン。こいつは危険だ」


「へえ、しょっぱい弟子だったけど、あんたは楽しませてくれるのか?」


 目に殺気がこもっている。

 ピリピリと伝わってくるこの感覚。

 なかなか心地よいものだと思う。


「やめんか、たわけ」


「あいたっ」


 頭に杖打を食らってしまった。

 毒気が抜かれてしまったので、この辺でやめておくことにする。


「四元素の大魔法使い、パトリシアよ。貴女の挑発が根本たる原因だとは気づかんのか? 昔からおもっとったが、傲慢が過ぎるぞ。まさかとは言わんが、弟子を持ってもその性格は直っとらんのか? 若さばかりに固執して、大事なものを忘れとるようじゃのうて」


「ぐっ、アンタには関係ないことだね!」


「嘆かわしいことじゃ。そしてローレント、お主は好き放題やりすぎじゃ。知っとるぞ? テージシティの一件とお主が今どんな立場なのかもな? ペナルティじゃ」


「へ?」


 強制インフォメーションメッセージが出る。

 な、なんだ!?




[師匠NPC“スティーブン”から強制執行。信用度が低下しました]

[称号が“とある魔法使いの内弟子”から“とある魔法使いの弟子”へとクラスダウンしました]

[スティーブンの家の使用権限が剥奪されました]

[師弟クエスト“地に落ちた信頼”がスタートしました]




 む!?

 ちょっと待てよ!




プレイヤーネーム:ローレント

レベル:53

信用度:40

職業欄▽

[中級魔術師(無)]

[漁師]

[契約魔法師]




 信用度が!!!

 うわああああああああああああ!!!

 信用度が100落ちてる!!!


「貸し部屋に預けとった荷物はこれが終わるまで返さん。弟子の面倒はできるだけ最後まで持つ、だから破門はせんがもうちっと弟子らしく行動を慎むべきであろう。ツクヨイも悲しんでおる、はよう精進せい」


 ちなみに、クエスト完了は失った信用度を取り戻すことらしい。

 減少した信用度は100。

 称号の効果も合わさって、上げるのは至難の技だろう。

 これを見越してスティーブンは!!!

 ちくしょう!!


「ちなみに信用度がある程度高くないとわしテレポート教えられん仕組みじゃから」


「ぐわああ!」


「へっ! ざまぁみろ! あたいの弟子をあんな風にするからだよ!」


「ぁぅ……ぇぅ……下、から……何かくるぅ」


 …………。

 ……。

 よし、とりあえず信用度とか後でどうにかするとして。


「約束の言う事をなんでも聞く件についてだが、このアラドの豪邸もらうから」


「へ?」


「スティーブン、それとこれとは話は別で可能? 一応勝ったから約束の履行はしてもらう」


「まあええんじゃない? うん、わしとしてもこいつらには痛い目を見てもらう予定じゃったし」


 それは、俺をダシにしたって事だよな!

 そしてペナルティを食らう。ガッデム!


 さて、この豪邸はどうしようか。

 ちなみにもう使い道というか、この豪邸の転がし方は考えているんだな!









ローレントざまぁ回でした。

蹂躙しつつも、師匠に悪称号は聞かないみたいでした。

そりゃ悪運強くても、師匠には全て見透かされる。

そういった師弟関係なのでした。


地味に信用度40ってやばい数値です。

どのプレイヤーも軒並み信用度が上がってきている状況で、これです。

さて、三下さんとのドキドキキャンプも予想されるなか。


いったいどのようにしてローレントは、活躍するんでしょうか。

ちなみに確定申告とか諸々で最強に忙しいので。

大感謝祭は三月十四日にくり伸ばしです。

すいません!!

でも、新作投稿予定もないので。




つまるところ……そういうことですよ?


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