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※次から文量ガッツリ増えて行きます。
「なんじゃまた来たのか、真性の方向音痴かお主。もうサービスはせん、立ち去れ」
「すいません、それはできません」
老人は溜息をついた。
そして俺の装備を見て「おや?」と疑問を浮かべた。
「お主は、何用で魔法使いギルドを目指す。剣を持つなら剣士の館に行かれよ」
「いえ、魔法使い見習いなんですが、色々あって剣を使います」
そう言うと、爺さんは「いよいよ頭のおかしいのが……」と何やら未来の行く末を嘆いている様だった。
じゃ、土下座敢行。
イエスというまで頭はあげないぞ。
「さっきの魔法が知りたいです。おしえてください」
「見習いは、エナジーボールを先に取られよ。そっちの方が遥かにマシじゃ」
頭、絶対上げないから。
「さっきのテレポートですよね。お願いします」
「無理じゃ、テレポートは三次職からしか使えん。それより見習いはエナジーボールで攻撃魔法を取った方が良い」
絶対引き下がらない。
「三次職まで魔法使いを上げたら教えてくれるんですか?」
「いや、その前にアポートという初期スキルをそだてなければならない」
確か、割り振れるポイントは1レベル上がる毎に2ポイント。満遍なく全てのスキルを揃えて行くのはかなりレベルを上げなきゃいけない。
初期の5ポイントは全部【スラッシュ】の威力アップに振ってた。
仕方ないじゃん、狩れないんだもん。
こういう傾向から、種類を振って行くよりも一つのスキルの一点特化か、一つのスキルの威力だけ上げて他は別のスキルの別のポイントに使う。
バランスよく上げるのが大事みたいだった。
「アポートは教えてもらえないんですか?」
頭を上げた状態で聞いてみる。
「……攻撃スキルじゃなくて、遠くのものを引き寄せるスキルじゃ、育つまで使いどころも難しいし、テレポートまで育てるにはかなりの時間がかかるぞ」
それでも、この機会を逃すと無理な気がして来た。
「お願いします」
なんどかこのやり取りを繰り返すと、爺さんはやっと折れてくれた様だった。
「普通は大人しく引き返すんじゃがの……、強情な奴じゃ。好きにせい」
顔を上げると【アポート】のスキルブックをくれた。
そのまま、手を引かれるように立ち上がるとスキルブックを……、
「すいません。どうするんですかこれ」
「初心者が、なぜにこんなものを……。ほれ、手を当てて、手のひらで読むように念じてみるんじゃ」
ハードカバーに手を当てる。そして手のひらで本を読もうと意識してみると、スキルブックが光りだした。そして、自分のものになる。
自分のスキル画面に【アポート】が追加されていた。
さっそく全振りする。
成長項目は?
ステータスとスキルツリーを確認する。
プレイヤーネーム:ローレント
職業:魔法使い見習いLv2
信用度:10
残存スキルポイント:0
◇スキルツリー
【スラッシュ】
・威力Lv6/10
・消費Lv1/10
・熟練Lv1/10
・速度Lv1/10
【アポート】
・精度Lv2/10
・距離Lv2/10
・重量Lv1/10
・詠唱Lv1/1
さっそく精度と距離に振ってみた。
この調子じゃ、スキルが完成するのはかなり後になりそうだ。
「ちなみに消費MPは固定じゃ、スキル名を言うだけで発動するが、無詠唱にしたかったら魔法使いギルドでスキルブックを買う事じゃの」
そう言って爺さんは指を鳴らそうとする。
「待ってください、ある程度使えるようになったらまたうかがってもいいですか」
爺さんは少し悩むと、
「次の町に行く前にまた来い」
そう言って指を鳴らした。
すると、またあの路地の入り口に戻って来てしまっていた。