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「ぶはははは! 罠だったんだよ!」
「どっちの入り口からでも同じ人数見晴らせる。さすがです!」
「アンダーボスは頭がキレるからなぁ!」
「カポレジーム、どうします?」
「当たり前のように殺せ、蹂躙しろ」
それぞれ武器を抱えたソルジャーとカポレジームがいる。
アサシン系は姿を見せず、ほとんどがソルジャーという構成員とカポレジームと呼ばれるクルー達をまとめる存在。
アンダーボス?
つまるところ、まだボスでは無い?
ワクワクと返しやがれ。
と、言いたいところだが……。
飛んで火にいる夏の虫というか。
これを機に大きくレベルを上げる必要があるのだ。
っていうか俺めっちゃ頑張ってると思うけどねえ?
「甘いですわ……」
「ああ?」
囲まれる中、アンジェリックが扇子で口を覆いながらしゃべり出す。
彼女の常套手段というか、精霊の詠唱時間を稼ぐ手法なんだよな。
縦ロールにドレスに扇子にお嬢様口調のよくわからんバージョンというスタイル。
なんか話したらついつい聞いてまうやろ。
「コーサーファミリーのコンシエリエーレにとって、罠なんか目の前の障害にすら当たりませんの」
ってことで俺も目で周囲を確認しておく。
敵さんの鑑定識別だ。
【構成員】Lv60
・カポレジーム
【構成員】Lv54
・ソルジャーエリート
あまりにも数が多いので諸々省くか。
ソルジャーエリートと呼ばれる構成員が出没。
レベル50を超えるとエリートになるのか?
なるほどな。
全体的にかなりレベル高めなんだが、どうやって戦う?
集団戦相手に。
アンジェリック、コーサー、ローヴォを守りながらは不可能だ。
各自自衛してほしい。
アンジェリックとコーサーを組ませればとりあえず上手く回るだろう。
スキルの差別化がはっきりしているからな。
そしてローヴォは?
どっちと戦いたい?
「エスメラルダちゃん」
「シャーーー!!」
体力全快になった大蛇が姿を現した。
「ローレント様、狼ちゃんは貴方様と戦いたいようですのこと。コーサーは私に任せてどうぞお好きなように」
「上等」
「おら、てめぇらさっきから何舐めたこと言ってくれてんの?」
「おうおうおうおう、こちとら何十人いるとおもってんだぉおおっ!?」
「雑踏風情がうるさいですわ」
パチンと扇子を閉じる音が響いて。
「妾たちを止めるならば全てのマフィアをここに集めるべきでしたわね。精霊よ!」
「うわああああ!?」
「あっちいいいい!?」
魔力を貯められた火の精霊が大きく姿を現した。
そして炎は俺たちを取り囲むように円陣を作る。
「コーサー死ぬなよ」
「は、はい!」
「ローヴォ!」
「グォン!!!」
大きくなったローヴォの背にまたがって跳躍する。
久しぶりにこうして一緒に先頭する訳だ。
気分上々、あげあげってやつ。
さて得物は?
悪鬼ノ刀と魔樫の六尺棒を同時に扱おう。
久々に本気出して撹乱してやる。
「狼と乗った男をどうにかしろ!!!」
「うおおお!!」
「うわぁっ!? なんだ!? あみ!?」
「けっぴっ!?」
ストレージから投網をアポートさせそして投げつけていく。
集団戦は得意中の得意なのよ。
蹂躙してやる。
そしてローヴォから跳躍すると、そのまま下に石柱をアポート。
石柱と共に降り注ぐ俺。
唖然とするマフィアたちを尻目に。
容赦なく首を狩っていく。
「か、囲めええええええ!! おしつぶせ! おしつぶせえええええ!!!」
「敵は一人の人間だぞ!!!!???」
ガシガシガシガシと組みついてくるマフィアたち。
とにかく動きを止めることを優先にしていて、アタックチャンスを逃している。
組んだら投げるか極めろ、もしくは刺せよ。
ここは、スペルインパクトを全身で。
「なんでえええええ!?!??」
「おかしいだろ! こんなに人数いるんだぞ!」
囲っていた奴らが弾き飛ばされる。
魔闘のスキルというか魔纏の時から全身から魔法スキルを出せるようにはなっていたんだよなあ。
でもそれすると大抵一発で終わっちゃうから温存していた訳だ。
「マジッククロウ!」
「な!? 剣を交わしたはずだろ!?」
マジッククロウによる遅れた斬撃。
さて、別に剣が必要ないとなるとどうなる?
「ほっ、マジッククロウ!」
「今更蹴りなんかくらうかよ! ぎゃあっ!? なんで腕が切れてんの!?」
と、いうふうになる。
おいおいおいおいマジッククロウめっちゃ使えるスキルじゃん。
いつのまにか魔樫の六尺棒はしまっていて、左手に剣。
右手にマフィア状態で戦っていた。
「ひ、ひいいいいいい!?!?」
「クルーを助けろ!!! おいてめぇら怖気付くな!!!」
「でも目と鼻に指突っ込まれて生きてんですかね?」
「知らないけど助けろよもーーー!!!!」
パンパンパンッと銃声が響いて。
カポレジームが俺に向けて発砲したようだ。
普通にマフィアでガードする。
ビクビクビクッと痙攣してマフィアはドロップに変わった。
「クルーーーー!!!」
おいおい……。
猟師じゃないからそのまま死体持てないのよ。
でも、猟師でマフィアの死体って捌けるの?
想像するだけで怖いな。
司法解剖なんつって。
よし、冗談はさておいて。
右から斬りかかってくるマフィアに俺はスッと半歩踏み込んで。
完全に力が乗る前に顔面の急所を捉えた。
口に手を突っ込むと噛まれる危険があるから眼孔鼻孔が手っ取り早いのだ。
同時にアポートでガンガン石柱を落としていく。
出し惜しみは?
まあどうせこのエリアが俺のものになるのならしなくていいだろう。
ここはトンスキオーネファミリーの本拠地みたいだし。
ローヴォもていの良い足場に利用してるみたいだし。
「もっと来いよ」
「お、おい、来いって言ってるぞ誰か行け!!!」
お前が来いよ、カポレジーム!
雑踏達がわらわら群がってくるので、ここで悪運、幻惑、そして邪気発動。
「うわああああああああ!!!!」
将棋倒しの事故現場みたいになった。
強制ウェーブっていうのかな。
そんなにビビられると俺傷ついちゃうよ。
「踏むなあああああ!!!」
「無理な体勢で倒れて!!」
「くそ! 慌てて別所から救援を読んだのがあだになったか!」
嘆くカポレジーム。
俺には朗報だった。
敵が増えている気がしたのは救援か。
つまるところ、トンスキオーネファミリーの全てがここに集まっていると言えた。
言えるのだ!!!
邪気で倒した奴らを踏み潰していく。
アスポートでアポートで引き寄せた石柱達の雨を再び降らせる。
「……アンジェリック様」
「言わなくてもわかっておりますわコーサー」
「コンシリエーレに一生ついていきます」
「賢明な判断ですわね。ならば妾の事は奥様とお呼びなさい?」
「こらこらこら!! 良いから狩れ!!」
武門を尊ぶ俺には嫁さんなんか鼻から期待してないのさ。
まあ向こうでも邪道として迫害を受けたけど。
それもそれで次々刺客が襲ってくるから楽しかった。
おっといかんな、余計なことを考えてしまった。
ダメだダメだ。
全然ビンビン来ない。
ブーストはかけるのをやめよう。
エクステンションとイクイップメントもやめよう。
少し制限つけてカポレジームの相手をする。
銃声はもう聞こえない。
と、いうか相手のMPがなくなったのか?
「かっぺっ!?」
死にたくないという目を感じるが、潰してしまえばそんな目はもうできない。
残念だったな、トンスキオーネファミリー壊滅までカウントダウンか?
さてさて、トドメはコーサーにやらせておく。
「え、えぐい。えぐいですコンシリエーレ」
「この感覚をよく覚えておけ」
「……はい」
なんだ?
不服かコーサー。
ローレント自重しない回。
感想にもありましたが、悪運になっても前の強運の効果は損なわれていないです。
記載はされてませんが。(そういうことする運営なので、本当に大事な事は何一つ伝えない運営です)
ついに次回トンスキオーネファミリー編集結です。
意外と長くなりました。
みんなのコーサー、鬼レベリング。
精神がガリガリ削れていくけどアンジェリックがコントロールしてよく分からない結果になっています。
あとがき小話
ローレントが牛肉に執着するのは、私が牛肉に執着するからです。
ステーキ、焼肉、ホルモン、最強だと思うものです。ごはんはいりません。
魚、野菜、肉、満遍なく好きな私ですが、最近のマイブームは一番美味しいであろうホルモン屋を見つける事。
そしてこの間見つけたホルモン屋がまたうまいことうまいこと。
作中で焼肉屋を出したい。
だから早く物語進めてプレイヤー拠点を格段しなければならないのです。
あ、今日焼肉いこう。
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