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 屋根の上を走る。

 そしてとりあえず叩き落として行く。

 得物は?

 魔樫の六尺棒だ。


「アセシナート! アソシエーテ! あいつを止めろ!」


「と、止まらないうわああああああ!!」


「チッ、散開して討つぞアサシン隊」


「投げナイフ当たんないんだけど!」


 そりゃ動いてる的に動きながら当てるなんぞ、至難の業だ。

 緩急をつけた移動。

 そして時折四足歩行を取り入れ、屋根を駆け回る。

 重力に身を任せて屋根をゴロゴロ下ったり。

 そのまま猫の如くシャッと体勢を切り替えてアセシナート達を落として行く。


 女版アサシンは出て来ないのね。

 っていうか、最初に何体か隊列を組んでいたんだけど。

 俺の動きがヤバイだのなんだの言って、下に逃げて行った。


「コンシリエーレ!!! コンシリエーレ!!! コンシリエーレエエエエエエエ!!!!」


「なんだよ」


「こ、これ以上下に敵を落とさないでください!」


「ローレント様! アセシナートはギリギリ生きてるからこっちの負担が多いんですのよ!」


「ローヴォとエスメラルダが居るだろ!」


 うちのローヴォは生半可な鍛え方をしていない筈。

 それでも下から文句が上がるので、幻惑を使用して屋上の戦いを一時止める。


「うおお!? 敵は向こうだ!!」


 敵のソルジャーさんにはもっと頑張ってもらおう。

 そう言えば、ソルジャーさんからの情報によると、トンスキオーネファミリーの縄張りマップは、一直線に並んでいる屋根と道と下水を渡って行けば、一番大きな館にたどり着くらしい。


 そこが、ボスマップ。

 もしくはカポレジームが居るんだとか。


 今の狙いはもちろんカポレジーム。

 早く戦わせろ!


「コーサーしっかりしろ」


「無理です!!!!!!」


 雨樋、ベランダを使って地上に降りる。

 コーサーとアンジェリック、ローヴォとエスメラルダが的に囲まれていた。

 相手のHPは赤表示、俺が削ってたアセシナートだな。

 本当に、ギリギリ生きて攻撃に参加してるみたいだ。


 上から石柱のアポート。

 まず、一番弱いコーサーの背後を分断する。

 そしてその石柱に着地して、アスポートにてアレを飛ばす。


 アレとは何ぞや。

 溶解腺の入った小瓶に溜まった溶解液(毒入り)だ。


「ぎゃあああああああああ!!!!」


「な、なんですとのことですわ!?」


「コンシリエーレ! コンシリエーレ!」


 コーサーはコンシリエーレしか言えないのかな?

 口をぱくぱくとさせながらコーサーは青い顔をしていた。

 おっと、飛沫がコーサーの顔にかかりそうになったので、眼前スレスレを六尺棒ではらう。


「ぱう!?」


「すまん、毒がかかりそうになってた」


「ど、どく!?」


「厳密に言えば溶解液に毒素が混じったもの」


「もっとえげつないですね! コンシリエーレ!」


 だが、見てみろコーサー。

 毒でギリギリHPだったマフィア達が倒れて行くぞ。

 アセシナートもアセシノも、白目を剥いて意識を失っているみたいだ。

 俺は躊躇無く突き刺して行く。


 と、まあ、こんな具合に。

 俺にかかれば囲まれてても五秒でクリアできる。


「コーサー知ってるか?」


「知りませんよ」


 まだ、何も言ってない。

 酷い奴だ。


「まあ戦いは虚をつくんだよ」


「なるほど! 視界外からの質量攻撃、そして意表をつかれて思考停止に陥った敵を毒で一掃する。流石ローレント様ですわ!」


 うむ、アンジェリックの言う通りだな。

 一度構えた敵の防御は、中々崩せない。

 城塞だって、三倍以上の兵力が無ければ攻め落とせない。

 だが、一つ綻びを作ってしまえばどうだ?


 穴の間堤防のように容易に決壊してしまう。

 別に針の穴を通せとは言わん。

 まあ、そういう攻撃法もあるがね。

 虚をつくとは、そういうことなのだ。


「コーサーわかったか?」


「わかりません」


「一回死ねばわかる」


「すいませんすいません冗談ですコンシリエーレ!!!」


 置いたが過ぎるな。

 丁寧に教えてやるか。


「相手の眼前に手をかざすとどうなる?」


「うおっ、仰け反ってしまいますね」


「今の、身体が反射した?」


「えっと、どうでしょう……?」


 こいつセンスねぇ!!!

 何だこいつ!!!

 誰がボスにしたんだよ!!!


「あ、わかりましたですわ。今のはコーサーが反射的に仰け反ったのではなく、手の動きに恐怖して仰け反ったんではありませんのこと?」


「そういうことだ」


「特別サービスで教えてやる」


 適当に彷徨いていたクリミナルで実践する事にした。


「お、おい! なんだよ! やめろよ! はなせよ! おら!」


 壁際の無法市民クリミナルが顔を真っ青にしている。

 さて、コーサーは自分が攻撃されるんじゃないかという恐怖から、回避行動、または防御行動に入った。

 と、いうことは……。

 これから攻撃するぞ、という意識を相手に伝える事で、強制的に虚を作り出す事が出来る。


 間合いを読む。

 そして間合いを作る。

 これが出来て、一人前なのだ。


「おら!」


「ひっ!」


「こういう風に攻撃しなくても音だけで相手を行動不能に追い込める」


「大声出されたら誰でもそうなりませんか? コンシリエーレ」


 コーサーめ、まだわからないのか。

 よし、次は正真正銘、俺の神髄を見せるぞ。

 本当なら俺よりもレベルが高い相手に勝つ為に使う技なんだが、コーサーには見せておこう。


「ひぃいいいいい! も、もうやめて……とめて……こわぃぃ」


「え、な、何がおこったんですか?」


「妾もわからないですわ……なぜいきなりこのクリミナルは恐怖したのでしょう」


「まあそれは自分らで探せ」


 全てを教えてしまうのは無粋だ。

 コーサーも不思議そうにしつつ、見よう見まねで構えを取っている。

 うむうむ、いいことだ。


 答え合わせをするなら。

 目、身体の細微の動き、そして呼吸で今から殺す意思表示をした。

 人間、いざとなれば本当に殺しにかかってくる相手ってわかる訳だ。

 第六感というやつ?


 さて、勉強道具になってくれたクリミナルの首を跳ねてお勉強会は終了した。

 しっかり勉強出来たかな、コーサー?





後書き小話です。


幸運発動時のローレントの目は緑に光ります。(ぶるああああ目)

そして幻惑使用時は光が消えます。(レイプ目)

今の私の目は果たしてどっちだあ!?



感想でもご指摘頂きましたよう-188-から-187-に直しました。

あと感想読んでで思ったんですけどどMを調教するのはどSだが。

その逆もしかりなんだぁって、思いました(まる)


どMとどSの型はツギクルボタンぽちっとお願いします。

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