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 続いて、甲高い雄叫びの後に、激しいドラミングの音が巻き起こった。

 飛び跳ね、己を鼓舞する様に胸筋を叩き鳴らし、地団駄にて地面を揺らす。


「うおおおおおお!!!」


「なんだ!? どうした!?」


「嘘だろ……今までトロかったのによ!?」


 周りからそんな声が上がっていた。

 ついに最終モードか?

 見た感じ激昂状態って気もするが、指三本くらい覚悟しとけよな。

 お互い生きるか死ぬかなんだからさ。


 もっとも、そんな事はモンスターに通じるわけがない。

 心配する様にローヴォが駆け寄ってくる。


「あん、なんだこのイヌッころって……てめェのテイムモンスターか」


「いいぞ、冒険は楽しい」


「ああん? いらねーよ、別に」


 さて、エンゴウの攻撃パターンもかなり明確化しただろう。

 一段階目は支援攻撃のみでさほど攻撃して来ず、二段階目から炎化して攻撃に参加する。

 そして三段階目で、先ほどまでの動きと比べてかなり早くなっている。


 火炎放射や巨大火球をポンポン放って来る様になるし。

 アクアベールの効果が続いているのに、再びHPが減り出した。


「ブラウ! 巻き添えになる前に撤退して最後の防壁へ向かって欲しい!」


「え、ローレントさんはどうするんですか?」


「殿は、みんなが逃げる時間を稼ぐ物だよ」


「わかりました!」


 決断早過ぎ。

 もっとこう、熱い展開を予想していたのだが、そんな事は無いか。

 ブラウは元々、確実に攻略する為の理想的な展開を知っている訳だし。

 ローヴォを連れて戻ってもらう。


「三下さんも下がった方がいい」


「ナマ言ってんじゃねェよ。俺はこのレイドボスをここでぶっ殺すって決めてんだよ」


 いいねいいね、やはり熱い魂を持っている。

 一対一は無くなってしまったが、二対一でも相手側に分がありそうだ。

 そう言う展開こそ、燃えてくるって物だ。

 HPが無くなるまで戦い尽くすのだ。

 いくぞ、エンゴウ。


「二手で」


「チッ、流石にあのスピードのぶん回しは守りきれねぇし避けきれねェか」


 一言で納得してくれる三下さんのアイキューは高そうだ。

 阿吽の呼吸だ。

 いくぞ!


「バカかよ!! 同じ方向に逃げてくんじゃねェ!」


 阿吽、ならず。

 後方確認すると、モンスターの相手をしながら徐々に後方に退いていた。

 ふむ、自然と俺らが囲まれてしまう訳だが……。


 そんなの関係無いね。


 フハハハ、エンゴウの余波でモンスターが死んで行く。

 上手く避けないと燃えるんだよな、これが。


「うおおお! トモガラの奴よくこれにしがみついてたなァ!」


 三下さんは避けれない攻撃を弾きながら上手く躱している。

 トモガラの噛み付いてた件を上げているが、ありゃあいつくらいだろう。

 大方、回復のフェアリークリスタルを起動しながら戦士系特有の高い耐久力で粘ってたに過ぎない。

 もっとも、段階的に言えば一段階と二段階の間くらいで、ちょっと怒らせた程度だろう。


 対する俺は魔法職。

 HPは紙だ。

 正直、すでにフェアリークリスタルを使用しているんだなあ。


 切断した指が炎で復活している。

 激昂状態になると、炎が形を織り成すようだ。


「ボサッとしてんなオラッ!」


 活路を探っていると、火炎放射が面前に広がっていた。

 三下さんが身体を割り込ませ、弾く。

 完全に弾けなかったのか、身体のあちこちから煙を上げていた。


「チッ、カウンターできねェ」


 弾かれた炎は消えるか全く別の方向へ飛んで行く。

 その後ろから援護する様にアポートした銛を投げつける。

 当然、すぐに振り払われるのだが、これで一動作後手に回らせる事ができた。


「左腕頼む」


「ああん? しゃーねェなァ」


 振り抜いた腕でそのまま叩き潰そうとするエンゴウ。

 弾機銛を足に撃ち込み、引っ張って勢いをつけて逃れた。

 もう片方の手が襲来する。

 されども、三下さんのカウンターの前では強制弾き状態になっていた。


 そのままストレージから石柱を足の指先に落としてやった。

 これは痛いだろう?


「えっぐゥ……、おいおいちゃんと狙えよ?」


「動きが速過ぎる」


 エンゴウは大きく飛び上がって前転宙返り。

 そのまま振り下ろした足で踏みつけようとしてくる。

 俺はギリギリで飛び避けたが、三下さんが逃げ後れて踏みつぶされた。

 下半身すべて持って行かれてるやん……。

 上半身の首だけうごかして俺を見た。

 その三白眼で。


「……弾いたけど無理だった」


「三下さん!」


 三下さんの身体が燃える。

 そしてHPがグングン減って行く。

 踏みつぶした様子に笑い出すエンゴウを尻目に、三下さんは呟いた。


「もういいだろ、テメェも逃げろや……グラッジ・リバース!」


 受けた技を相手に返す技だっけ?

 とにかくエンゴウが一瞬宙に浮いた。

 そして俺に降って来た。


「あ、ごめ」


「……まあ、お互い様ってやつ?」


 そんな事を話していると、馬の走る蹄の音が聞こえてくる。

 なんかすっごい部位欠損ペナルティ受けてるっぽくて首が動かせないの。

 一体なんなんだろう。


「ウォン!!!」


「この二人を早く乗せなさい! この巨大猿からの攻撃がくる前に、急ぐのです!」


 アンジェリック?

 声でわかる、アンジェリックが俺の身体を引っ張っていた。

 そしてこの騎馬隊は彼女の私兵団。


 並走してきたノーチェの背中に乗せられ、戦線を離脱する。

 三下さんも、私兵団の方々に馬に乗せられ無事帰還した。


「おお? 移動が便利だなァ馬って」


 暢気だな、三下さんは。


「ローレント様方のお陰で十分に戦闘準備を取る事ができましたのことよ? きりの良い所でいつまでたっても戻って来ないんですから、妾が連れ戻しに組織しなければ一体どうなっていた事かでしてよ!?」


「すいません」


 プリプリ怒るアンジェリックに、今はひたすら謝っておこう。

 俺はゾンビにならずに済んだんだし、第三の防壁も、傷を癒したら即行参加するぞ。

 おー。







何とかその日の内に後書き書ける時間できました!

感想でもご指摘頂いてます誤字脱字。

もう何度謝ったでしょうか、本当に申し訳ないです!

更新スピードの為に、やむなく。

読み辛いと思いますが申し訳ないです。


レイドボス回大分ぐだって来たんですが、そろそろ終わりですよー。

一年で300話くらい上げたいんですが、体力が持ちそうも無いです。

以前、二ヶ月のお休み期間は痛かった!

痛烈!

更新開始が五月二十日なので。

それまでに何とか、365話書きたい。

そして展開をもっとサクサクさせたい。

食感が大事。

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