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明日の更新は朝頃ですね。


 ヤバいヤバい。

 火球をモロに喰らった戦場が蒸発して行った。

 敵味方関係無い。


「退くぞ! あれは不味い!」


「存じておりましてよ! 皆様! 退却です!」


 順調そうに見えた戦場が、一気に覆った。

 火球の直撃を免れたプレイヤーもそこそこダメージを受けているみたいだった。

 そりゃそうだろうな。

 割と離れていた俺達にも、その熱気は伝わって来ていたんだし。


 騎馬隊をこんな所で消耗する訳にも行かないし。

 アンジェリックに告げてさっさと退却してもらう事にした。


「ミツバシ!」


「わかってるよ!」


 防壁の中にある天幕へ向かうと、既に何人か主要プレイヤー達が集まっていた。

 今回の防衛戦にて、将軍を務める奴らだと思っておこう。


「トモガラの情報も当てにならない! まったくよめねぇよありゃ!」


 ミツバシは声を荒げたまま机を叩く。

 もしもの時の為に、王役である町長級のレイラは後方に下げてあるらしい。

 メッセージのやり取りで、戦況を報告しているのだが……。


「新しい攻撃だよな」


 前線を取りまとめていたブラウが苦しい顔でそう告げた。

 わからないのだ。

 レイドボス、エンゴウの攻撃パターンが。


 咆哮や時折繰り出される炎のビームには、まだ対応できている。

 魔物の肉壁を作るか、数人の盾プレイヤーが同時にスキルを使ったり、要所に掘られた塹壕に潜れば何とか防げる物だった。

 だが、唐突に押し寄せた火球は慌てて防御スキルを張った盾職すら燃やしたらしい。


「……即死、攻撃?」


「それも、とんでもない余波付きのな、俺も近場で戦ってたから死ぬかと思ったぜ」


 ややHPを減らしたイシマルが、額を拭った。


「あれ、そう言えばガストンは? まさか盾隊と一緒にやられちゃった?」


 エアリルがそんなことを言う。


「いや、レイラと一緒に後方に下がっている。装備が脆くなったプレイヤー達にある程度質のいい装備を鍛治師達と一緒に作っている」


「ミツバシ、じゃあ誰が盾隊率いるのよ? さっきの炎でやられるところ見てたわよ?」


「うーん今すぐ戦線復帰してもらいたい所だが、盾隊の人結構装備に拘ってたからなあ……燃えちまってるの見たから中々難しいかも」


 ガストンが後方に下がった後は、盾部隊の仕切り役に彼と一緒に装備職人をやっていたと言うウィンストンが就いていた。

 俺は見た事も聞いた事も無いのだが、ノークタウンの町工場でせっせと手伝ったり、地味にケンドリック勢の仲間入りをしたく無いプレイヤーの助けを行っていたらしい。


 話を聞く限りだとすごく良い人そうだった。

 キャラメイクが頭部に斬り傷をいっぱい付けた屈強親父じゃなければ、女性人気も高そうだったのに。

 うん?

 俺は、いかつい戦場帰り系のキャラメイクはすごく良いと思うよ。


「ミツバシに鎧つけて囮にしてみては?」


「おい、ローレント。お前がそう言う事を言うと、賛同する奴が出てくるだろ」


「ちぇ、ナイスアイデアだと思ったのに」


「エアリルてめー!!」


「……遊んでる、場合じゃ、ない」


 アルジャーノの言葉で現実に退き戻る。

 とりあえず、二発目の火球は来ていない。

 それでも、士気が少し低下しているのが問題だった。


 今までヒャッハーとか本当に良いながら勢い勇んで戦っている奴が。

 目の色変えて慎重に戦い出したんだから、本当にもう。


 撹乱の為の騎馬隊は、流石に使えない。

 アンジェリックの私兵レベルの練度があれば、別の所で使った方が何倍も良いからだ。

 戦況をひっくり返せる力を持っているしな。


「だからミツバシ。お前が一人犠牲になれ」


「いや脈絡ねーよ、いやだよ」


 ぷう。


「不満そうな顔してんじゃねーよ!」


「すまんすまん」


 だが、現状ではそうやって敵の攻撃パターンを明らかにして行って攻略する物じゃないのか。

 自ずと撤退戦を行いつつ、次の戦場に託す係が必要になる。

 ミツバシ一人の犠牲で済むのならすごく良いじゃないかと思った。


「おうおう辛気くせぇじゃねぇのぉ? 首脳陣の方々ぁ?」


「お前は!」


 皆の視線が入り口に注目する。

 欠伸をしながらだらける三下さんがそこに居た。


 ……そう言えばこいつ盾職人だったよな。

 かなりの反応速度とプレイヤースキルを持っている。

 戦いで唯一楽しかった相手だ。


「適任が来たみたいだな」


「俺は蒸発してった雑魚とは違うぞぉ」


 三下さんはかなり自信ありげに不敵な笑みを浮かべていた。

 なんだかその風貌には痩せ形の体格ながら歴戦の猛将の雰囲気を感じさせる。

 やばい、死合いたい。


 なんかやってきたのか?

 特訓とかか?

 とにかく、人目で以前の三下さんでは無い事を見抜いてしまった。


「えっと、本当に任せていいの?」


 付いて行けないと、目が点になった状態でミツバシが確認を取る。


「まかせとけェ!」


 凶悪な表情で三下さんは豪語した。

 そして周りの空気をかっさらって出て行った。

 ……ちょっと心配になって来たな。






個人的に好きなキャラクター三下さんです。

なんというか、主人公はこうしたほうがいいな、ああしたほうがいいなってとんでもない事になって行くんですが、サブキャラポジションの人達は割とまともっていうか。

変態も多いですが、とんでも要素は少なめにしようと一応気をつけています。

ラブコメ要素が全くないですが、練習がてら入れて行きたいですねーとか考えながらも。

主人公の性格的に無理だろうな。と思っていたり。



予告です。

明日は




幕間・三下さんの徹底抵抗イジデモカウンターその一





お贈りします。

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