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最近気合いが抜けてますね。


「死兵は捨てて、遊撃チームを組んでる人達は纏まって! あと魔法使いで攻撃に参加できそうな人達は盾隊の後ろで待機するわよ!」


「前線組はこっち! 盾の支給も特別にあるよ! 盾剣隊は向こうに集まって! 先陣の槍隊と盾隊は二人一組で壁を作ろう!」


「……支援職は魔法隊の後ろで随時補給と共に治療に当たる」


 エアリル、ブラウ、アルジャーノの取り仕切る声が聞こえる。

 第一層目の戦いと違って、それなりの纏まりが出来ている様だった。

 まだ死んでない戦い抜いたプレイヤー達は、ゾンビ兵達を生け贄に撤退し編成しなおす。

 戦況に投入されたプレイヤーの数でモンスターの数が増えるとなれば自然と気の持ち様を引き締められる結果になった。


「掲示板で状況確認を行っています」


「おうニシトモ、補給経路の確保お疲れさん」


 ニシトモが諸々の報告を行いながら、レイラと戦況のやり取りを行うミツバシに近づいて行く。


「どうなってんのよ?」


「まあ、ゾンビ兵団と化したプレイヤーに対して掲示板から圧力がかかってますよ」


 いわゆる晒し上げと言う奴かな。

 初のレイドイベント、それはゲリライベントだとしても調子に乗り過ぎた。

 その結果が、このモンスターの大軍勢だと言うこと。


「一目見ただけでも違和感がすごいだろうに」


「ええまあ」


 後方の櫓の上から配置を確認するニシトモ。


「必要な物資は後方に預けています。マジックポーションは生産数と購入数に限りがありますので、出来るだけ後方支援の方に回して頂けると幸いです」


「もしここを撤退することになったとして、余力はあんの?」


「抜かりありませんよ。読み切れない要素が多かったので、本当に連携が取れるプレイヤー達は第三層目に戻ってもらっています」


「それもマシになって来てるから、心配いらねえって姐御に伝えておこう」


「そうですね。万が一があればここの指揮官組は全員そろって無事に戻って来てください。脱出の用意だけはこっそり進めておきますね」


 それだけ行ってニシトモは後方に下がって行った。

 商人には商人の戦い方でもあると言うのだろうか。

 短時間で槍と盾などの武器、装備を充実させた彼等商人には感服する思いである。


「ローレントはどうするんだ? 前線に混ざる?」


「いや、遊撃部隊に混ざるよ」


「じゃあ私もご一緒します」


「いや待って十六夜。お前は防壁の上から弓兵組の指揮をとってほしい」


「えー……」


 渋々頷きながら、十六夜は弓兵達の元へと向かって行った。

 さて、布陣は大分固められつつあるな。

 余計な物が濾された結果だと思っておこう。


「いや待てよ」


「ん?」


 遊撃に回るつもりで居たが、魔物達はその種族自体の膂力を活かした真っ向勝負を仕掛けるつもりだ。

 後ろに居るレイドボスの炎剛は、未だに大きな動きを見せることは無い。

 ご丁寧にこっちも城壁を使って真っ向から防衛戦をしても埒があかないだろう。


「真っ向から蹴散らされる可能性もあるから、俺は後ろに回ろうかな?」


「いやダメだろ、撤退戦も考えてるからそれだと逃げ場が無くなるんじゃないか?」


「挟撃っていう体制はあながち間違いじゃないと思うけどなあ」


 遊撃に回ったとしても、どっちにしろマップの端を渡って攻め入る気ではいたのだから。

 横、後ろからちょっかいを出してやるだけでも大きく違うと思う。


「最悪後ろじゃなくて横からちょっかい出す」


「うーん、一人で? マジで?」


「最悪だとそうなる。騎乗戦闘できるプレイヤーっていなく無い?」


「ホーッホッホ! あら妾ったらはしたないですわ。ローレント様? 何かお困りの様子ですこと?」


「いや困ってないよ」


 うるさいのが来たのでバッサリ切っておく。

 ミツバシがひでっと口を漏らしていたがシカトだ。

 アンジェリックは縦ロールを豪快に揺らしながらこちらまで歩いてくる。

 後ろには相変わらずローブを身につけたよくわからない奴らを引き連れて。


「妾の私兵三十人。もちろん、騎乗戦闘も準備できていてよ?」


「おいローレント、丁度良いじゃんか」


「うーむ、こないだ馬を買ってもらったからな。これ以上求めるのはちょっと」


 後が恐い。

 そう言うことだ。

 渋る俺に、彼女はこう言った。


「今回は例外でしてよ。テンバーが崩壊して、資源の流入が過疎れば、ノークタウンでも同じ様に物資の流通が減ってしまうことが懸念されるではありませんの? もっとも、来るべくレイドイベントの為に戦闘経験を蓄積させておくことが重要だと妾は考えております故に」


「なあ、ケンドリックってこのお嬢ちゃんに全部良い所を持って行かれたんじゃない?」


 ミツバシの言葉はごもっともだった。

 だが、カリスマが無くては町興しなんか出来るわけない。

 ちゃらんぽらんに見えるケンドリックにも、油断は禁物である。


「だったら良いよ」


「転身早っ」


 さも仕方ない。

 これは仕方ないことで、特にこれが終わって裏取引がどうとかそう言うのは無いだろう。

 テンバーからノークタウンの町に拠点をおけとかそんな話になるなら断っていたがな!


「私のペットはこのエスメラルダちゃんのみ。ですから、ローレント様? 後ろに乗せてくださらない?」


「……ことわ「ならサヨナラバイバイですわ」らぬ」


「ローレント、お前って奴は……、なんか面白い展開だから動画撮らしてもらったぞ」


 こうして騎兵と言う恐るべき鉾を手に入れてしまった。

 後ろに縦ロールを乗せるのは、遊びじゃねぇんだぞと言ってやりたいが、さも仕方ない。

 こうなるなら、コーサー辺りを連れて来て、組織に加えれるのか確かめたい所だが、今から連れて来るのも無理があるので、またの機会にしよう。


「変な乗り方するなよ?」


「それは承知の上ですわ。妾だって時と場合は弁えておりましてよ?」


 それなら良い。




やや纏まりつつあるレイドボスイベント。

ゲリライベントでぐだりつつも、損害は半端無さそうです。

これで失敗したら信用度がなくなりますなあ。






ちょっとぐだって来たので頑張りたい所です。

なのですがね、仕事の方がですね、またですね……。


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