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本日更新四回目です。
「では、私はサービスの付属品を準備させて頂きますね」
「安くしてもらっていいんですか?」
「この子が認める人なら構いません。ニシトモ様の懇意の方ですし」
そう言って、ブリーダーの人は商会へ戻って行った。
レタツカと呼ばれる商人も購買処理の為に既に戻っており。
残されたのは俺と馬とアンジェリックだけだった。
とりあえず、名前をつけよう。
黒王号とかそんな安直な名前はやめておく。
確かに似てるけどね。
何となく想像してみる。
ローヴォっぽい雰囲気で行くとカバヨ?
なんかダサいな。
漆黒の夜に紛れる馬だから。
……ノーチェ。
ノーチェにしよう。
「今日からお前はノーチェだ」
どうやら反応を見る限り、気に入ってくれたようだ。
ノーチェは興奮した様に鼻息を荒げ、舐め回してくる。
「夜……、お似合いの素敵な名前ですわね」
「ありがとう」
「あ、いえ……、お気になさらず。闘技大会優勝者への、妾からのちょっとしたプレゼントですわ」
そう言って扇子で顔を隠してパタパタと仰ぐアンジェリックに。
もう一度心を込めてありがとうと言っておいた。
「あら、馬の心得はありましたの?」
「昔ちょっとね」
商会へ戻り、付属品の説明をするブリーダーに。
アンジェリックは色々と口を挟み、あれよあれよと言う間に二人乗りカスタマイズのノーチェが完成した。
乗ってみる。
鞍と鐙があるだけで、何もつけずに乗るよりかなり安定する。
そして言われた通り。
彼女を後ろに乗せて、ケンドリック陣営の町まで送って行った。
流石名馬。
ノーチェは二人乗せても力強く歩を進める。
それとなんだろう?
バランスがどうとか言いながらすごく抱きついて来て匂いを嗅がれた。
バランスが取れないのはちゃんと鐙を使わないからだ。
二人乗り用の鞍をつけながら、何故お姫様座りをして馬に乗るのだ。
……全くわからん。
「素敵な思いをさせて頂きましたわ。またノークタウンに来たら乗せてくださいね?」
「じゃ、また」
それだけ言って馬を転進させる。
今は乗り心地を確かめないと!
乗りながらだが、契約魔法を行使しよう。
[汝は契約を結ぶと申すか? ……ならば示せ]
[テイムモンスター:ノーチェ]
[契約条件:黒馬に強さを認められる]
[良かろう……、ブラックホースは力を求める、その馬は少し特殊な漆黒の系譜。慣れ合うよりも戦いの中こそ至高の悦び、貴様が力を示さなければ言うことは聞かぬであろう……]
[テイムモンスター:ノーチェとの契約が完了しました]
【契約魔法】Lv2
・空き契約数0
・[ローヴォ:ラッキーウルフ]
・[ノーチェ:ブラックホース]
契約モンスター▽
【ノーチェ】ブラックホース:Lv1
特殊能力:無し
装備:無し
こうなりました。
ホースではなくブラックホーススタートです。
レベルは最小値からスタート。
特殊能力、装備共に無しと来た。
特殊能力無しとか、契約モンスターの意味が無さ過ぎ。
とりあえずレベルアップを急がねば?
ローヴォがノーチェの匂いを嗅いでいる。
ノーチェとの仲はどうだろう。
短い鳴き声で意思疎通をしている様だ。
契約魔法で繋がってるからお互いの意志は何となく疏通できてる筈。
その意志から拒絶や嫌悪のイメージは無い。
うむ、予々良好。
そうでなければお互い戸惑っているのかな?
まあそれはおいおい鳴らして行こうよ。
そしてナイトタイムが来た。
漆黒の闇に紛れて、俺とローヴォとノーチェはテンバータウンの外縁を狩り進めて行く。
ノーチェのレベルが低いので最初は肩ならしと来たが……。
【ナイトラクーン】Lv2
夜行性の狸型の魔物。クラス1。
鳴き声で仲間を呼び、瀕死に陥ると金縛りの魔法を使う。
光る瞳に注意。
懐かしのナイトラクーンを簡単に奢って行く。
俺の装備もローヴォの毛色も闇に紛れやすいので、面白い程奇襲が成功した。
踏みつけ一閃、狸は瞬コロ。
今はスピードが大事だ。
ドロップアイテムを拾うよりも真っ先に敵をどんどん狩って行こう。
三十分ほど狩りを行った所で、気付く。
思ったよりフラストレーションが溜まっている。
なんでだ?
騎乗戦闘だと、俺の攻撃が間に合わない。
鬼魔の長剣だとまず届かない。
えてして六尺棒を馬上から振り回すのだがね。
狸が弱くて小さくて、攻撃する前にローヴォとノーチェのどっちかが仕留めている状況でした。
森を行くか?
ダメだ、流石にまだ早いだろう。
道を行くにも、ナイトタイムでもテンバーからノークへ道を移動するプレイヤーは多数居る。
狩れる敵が居ない。
自然と平原や草原での戦闘を心掛けなければならないのだ。
草むらは走りにくいし、テンバー外周の平地。
もしくは西の草原地帯になるのである。
よし、西へ向かおう。
農場を抜けて、牛を狩りに行くのだ。
夜に馬を走らせていいのかって?
馬は夜行性じゃないが、夜目が聞くぞ?
【バイソンスケイル】Lv14
死んで骨だけになったウェストバイソン。
クラス2。
【スカベラコンドル】Lv6
屍肉漁り。骨になるまで食べ尽くす。
クラス3。
牛が姿を消した。
いや少しだけ残っているが、どうやら病気な何かで動けなくなったウェストバイソンだ。
もう死んでいるのか?
そこにスカベラコンドルが群がって、屍肉を啄んで行く。
あっという間に骨だけにされたウェストバイソン。
なんと、立ち上がって活動を始めました。
マジかよ。
夜のモンスターチェンジってこういう風に出来てんの?
崖の上から覗く景色である。
前のドッグプレーリーとステップカイトが居るマップ。
そこも地味にこのスカベラコンドルが飛び回っていた。
怖くてドッグプレーリー巣に帰ってるじゃん?
さて、ここで一つ問題が生まれた。
崖、どうやって降りようか?
後書き小ネタが無くなりつつあります。
懐かしきナイトラクーンが再出現しました。
相変わらず弱い。
そして錬金素材だという瞳だっけ?
なんかそう言うのありましたよね?
あれ、確か麻痺の薬になるんですって。
錬金素材じゃなくて薬師の素材?
薬師の元薬に練金するんですよ。
後書き小ネタですが。
久々に闇を抱えたあいつが出ます。
巷で流行る病み可愛いって言葉。
最初は闇可愛いだと思ってました。
ニュアンス的には一緒だと思うんです。




