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本日更新二回目ですあと十更新残しています。
ログインして、スティーブンがいないので勝手にローヴォと飯を食べた。
そして、久々にステファンの元へ行くと。
「ハモンに会ったのか? すまんが俺から教える事はもう無い。まあ、稽古の相手はしてやるがな」
と言われしまったので、仕方なく新帯は諦め組手を行った。
素手による組手。
闘気と魔闘のぶつかり合いである。
「お前、いきなり強くなったな……」
軽く流したと言うのに、ステファンは冷や汗をかいている。
まあお互い能力を絞って、限定した状態では負けんよ。
いつだかは闘気でかなり極限までHPを削られてしまったが、今は対等なスキルを持ってるしね。
稽古メニューから有効スキルと禁止スキルのルール指定を出来る様になった。
だから強運の瞳による闘気抜けの効果は無かったよ。
公平といえる。
【魔闘】Lv6→10
そうだ、道場スキルの最適化が消えてしまったと思いきや。
稽古メニューに新しくスキル仕様欄が出来たので、道場スキルのレベル上げが容易になっていた。
「闘技大会のお陰で、うちへ通う者が多くなった。お陰で繁盛よ繁盛」
そういうステファン。
そう言えば、ロッカールームが新調されていた。
そして板間オンリーだったのに畳まで追加されてやがる。
稽古場は増築され、武器組と素手組に完全に別れて稽古が出来る様になっていた。
地味に飾られている調度品も増えている。
床の間には「気合い一発」と書かれた掛け軸と、よくわからん模様の壷が置かれていた。
「それは俺の趣味だ」
「着服?」
「断じて違う。寄付だ、寄付だぞ? 主にプレイヤー達のな」
「…………」
「そんな目で見るな。ちなみに稽古メニューの他にステファン式健康法と言う物があってだな?」
お金を払えば身体能力強化系スキルを覚える事が出来るらしい。
近接系のスキルは、完全に技スキルのみへと至ってしまったとか。
アップデートが来て……。
近接技スキル。
身体能力強化スキル。
魔法スキル。
基礎魔力強化スキル。
弓技スキル。
精神集中系スキル。
様々なスキルを取得できる場所に新しい線引きが出来た。
正直言って、どのスキルがどのカテゴリーに含まれるとか、わけわからん。
とりあえずブーストは速度値が足らんからどうしようもないのだ。
「お金を払ってハイブーストを取得できたり?」
「流石に無理だな」
ブーストの取得と最適化をやってくれた道場が、ハイブーストはくれない。
何とも世知辛い世の中になったものだ。
さて、ゲーム内はまだ昼時間。
狩へ赴こうと思ったが、先にやることがあった。
契約魔法の検証な。
この間、盗賊相手に契約魔法を使ってみようと思ってすっかり忘れてしまっていた。
思い出して、テージシティで馬相手に使用してみたのだが……。
結果はご覧の有様。
[契約可能なモンスターが存在しません]
こうなってしまうのである。
一体どうすれば良いのだ?
まあ、手当り次第に契約魔法を使って行くしか無いんだけど。
契約魔法、MPがそこそこ減る。
契約可能なモンスターが存在しなくてもな。
だから手当り次第に使って行くのは中々骨が折れ――。
[ホースと契約を結びますか?]
――ました、と。
色々試してみた結果、ある程度手なずけられたモンスターならば可能。
そう言う判断で良いのかな?
南の霊峰へスティーブン宅の転移門を使って。
コンバットエイプ。
バトルゴリラ。
ファイトモンキー。
それぞれに使用してみたが効果は無し。
再びテンバータウンに舞い戻ると。
生け簀に居る魚相手にやってみた。
まあ無理でした。
そのまま水運の交易クエストで新徳丸の船に乗せてもらい。
ノークタウンへ。
今話題のテイムモンスター。
その話を伺いにやって来たのだがね。
ノークタウンお抱えの調教師が留守だった。
近くのNPCに尋ねると、調教スキルを教えてほしいプレイヤーが多過ぎて。
そのクエスト窓口を朝と夕方にしてしまったんだとか。
「ならんでるから、順番守ってよ」
「この看板立てた奴誰だ? ルール違反だろう、撤去しようぜ」
おいおい並び過ぎだろとか、そんなレベルで。
プレイヤーが沢山居た。
そりゃ家に引き蘢りたくなるわな。
NPCはブラック企業でしたってか?
今更並ぶのは時間が勿体無い。
看板設置して順番待ちするほど、民度が低い奴らが現れているみたいだ。
だからとりあえず商会当たりを回ってみて、馬とか買えないか見に来てみた訳だ。
そうか、調教師クエストはテイムモンスターに必要な調教スキルをゲットできる場所。
俺とか十六夜、ツクヨイみたいに確立でテイムモンスターを得たプレイヤーには既に要らないと見た。
もしくは新しくテイムモンスターをゲットしたいなら調教スキルが必要とかね?
契約魔法は調教スキルの上位版。
ぐはは、既に持っていたのだよ。
「ニシトモ様の紹介なら、好きなだけ見てってください!」
ノークタウンの飼育動物を扱う紹介を尋ねて。
訝しい視線を浴びながらも名前を告げると、ニシトモのホワイトリストに載っている人物だと言う事で、快く中に通してもらえた。
飼育施設の外からたまたま見つけた契約できるモンスター。
それがこのホースという、馬型のモンスター。
まんまだな、洒落にもならん。
「うちの馬は皆いい子です。成長すればもっと重たい荷馬車も引ける様になりますよ」
ブリーダーの人から簡単な説明を受けた。
馬型のモンスターはホースという基本種から始まり、その育成方針によってクラスチェンジ先が変わるんだって。
ライト、ミドル、ヘビー。
それぞれに特色があると。
ライトホースは、軽快なスピードが持ち味。
ミドルホースは、スピードもそこそこにある程度の耐久力も持つ。
ヘビーホースは、力が強く、かなりの耐久力を持つが速度は出ない。
ちなみにニシトモが乗っていた馬はミドルホースだった。
いいねいいね、ちなみにいくらなんだろう。
「そうですね、ニシトモ様の紹介ならば付属サービスを全て込み込みにして、一頭百万グロウからいかがでしょうか? 血統書も確りつけますので、かなりお買い得となっております」
高い、高いよ。
推進機何個買わされたと思ってんの俺。
アジトの稼ぎや、その他諸々の収益を加味しても、足りないよなこの価格。
行商プレイヤーってクエスト受けるだけで馬がもらえるって言ってたけど。
マジか?
マジなのか?
これは行商プレイヤーにならなきゃいかんフラグと言う奴か。
初めの頃、ニシトモ何してたっけ?
……道具屋のおっちゃんと二人行商か。
却下だな、なんか息が詰まりそうだ。
「今日は持ち合わせていません」
とりあえず、そう言うしか無い。
精算自体を結構後回しにしてるから、それでブツブツ交換プラスアルファって感じでニシトモが役に立ってるから、俺自身がグロウを持ち歩く意味がないのよ。
歩く銀行と化しているニシトモ。
ニシトモ価格でも百万は流石に出せないっておい……。
仕方ない、諦めるか?
「あらローレント様じゃありませんこと? こんな所で一体何をしているのかしら?」
「縦ロール……!」
感想で頂く誤字報告、地味に修正を行いだしてます。
ノークタウンは市場が栄えるが、まだまだ田舎町といった様子。
テンバータウンは本当に腐れ田舎って感じの街並。
この次の話は縦ロールのよくわからんけど腹の底からぞわぞわくる言葉遣いをお楽しみください。
ぞわぞわ。ぞわぞわ。
ZOWAZOWA。