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今日も三回更新しますので。
【盗賊頭】Lv40
盗賊団の頭領。
腕っ節で伸し上がって来た強者。
【盗賊参謀】Lv40
盗賊団のブレイン。
悪巧みを考える。
【ドン・ラバード】Lv45
名前持ちの盗賊団の首領。
小規模盗賊の手下を纏める頭取の上。
「あの、まずいんじゃないです? 後ろの大きい人、私にはレベルが見えないんですけど」
「45だな」
俺にはレベルが見えるようだ。
ツクヨイはそれを耳にして「ぴっ!? そんなに!?」と驚いていた。
「手下共が完膚なきまでにやられてますねぇ」
「てめえら、よくもこいつらを!!」
参謀がニヤニヤしながら大部屋に広がった惨状を見て言う。
頭取はどうやら熱血タイプの様だった。
それよりも気になるのは後ろに居るドン・ラバードという名前持ち。
「参謀、てめぇならどうする?」
「うーん、お互いに切り合ってる所がありますねぇ、差し詰めそこの魔女っこの魔法でしょうか?」
「あいつか……!!」
「はわわ! こっち見ないでください!!」
思わず俺の後ろに隠れるツクヨイ。
そしてニシトモには特に何もなく、首領の奴と目が合った。
「ほう」
ニヤリと笑う奥に、強い意志と炎を感じた。
首領も思う所があったのだろうか?
大剣を背負いなおすと一歩前に出た。
「そこのデカいのは俺がやる」
「首領! 俺だってやれるぜ!?」
「無理だ、お前と参謀はそこの小娘と剣士をやれ」
「私、若い生娘が好きなんですよぉ〜!!」
「ぴいいい!! な、何なんですかこいつ!?」
「ちっ、俺の相手は雑魚か、まあすぐ終えて観戦でもしてるか」
「聞き捨てなりませんね。まぁこのメンツでは仕方のない評価ですけども」
首領が求めて来たのは俺との一騎打ちだろうか?
そして配下には適当にやらせておく。
そんな具合か?
良いだろう。
戦闘がスタートした。
「ツクヨイ! ニシトモ! 上手く連携を取れ! ローヴォを回す!」
お互い高レベル相手だ。
そして参謀は見るからに魔法を使う気がした。
上手く対抗するには連携を取るしか無いが、それでも厳しそうだった。
だから幸運の狼であるローヴォをつけておく。
そして俺は、首領と一騎打ちだあ!
ワクワクして来た。
「ハイブースト!」「ストリング!」「首領の威!」
「マジックアンプ・ナート」「マジックウェポン・ナート」「ブースト」
スピードは?
奴の方が早い。
溢れんばかりの膂力で大剣を掲げ、そしてふるって来た。
ゴパァッ!
とそんな地面が弾ける音がして小石が俺の身体を打ち付ける。
「そんなもんか?」
「アスポート」
「ちっ」
剣の腹で飛び散った瓦礫をこっちに打ち込んでくる。
目つぶしと共に一刀両断するつもりだな?
相手の動きを止めるために、眼前に握りしめた瓦礫を転移する。
利用させてもらおう。
後方に飛びながら弾機銛を射出する。
こういう手合いは確り急所をガードしてくるからな、狙い目は避け辛い胴体。
もしくは、足下だ。
「おっと」
足の甲を縫い付けるために狙ったが、簡単に躱された。
それで一手こっちに余裕ができる。
「俺の威圧も効かねえみたいだし、同じ道を踏み外した雰囲気があったが、なんだ? 思い過ごしか?」
たぶん、外道と蹂躙者による物だろう。
俺からすれば十分お前もスポーツマンだけどな。
「エナジーボール!」
「首領の威!」
気合いで下級魔法が消し飛ばされた。
なるほど、そう言うスキルね?
「はわわ! ダークボールだけ消えちゃいました!!」
「ツクヨイさん落ち着いて! クールタイムまでカーテンです!」
ツクヨイの魔法が消されている。
厄介だな。
ダークボールだけってなると派生魔法は消せない感じかな?
「ここまで俺とやり合える魔術師ってのもおもしろいな! 突進!」
大剣での一撃の後、首領の体勢がクラウチングの様な溜めに入り。
そして大剣を盾にして一気に突っ込んで来た。
素手で受けきれるか?
難しいな、ストレージから大剣を呼び出し盾にする。
五点半身受け。
「やはり特殊な魔法持ってるみたいだな、そら!」
おっと、拳が飛んでくる。
首領よ、お前の本懐は溢れんばかりの身体能力とその大剣裁きじゃないのか?
それを捨てちゃおしまいだよ。
まあ、魔術師相手なら接近して素手で蹴散らすのが一番だというセオリーは間違ってないが。
「化勁、鶴手打ち」
コロの原理で拳を受け流す。
そのまま首領の腕をレールにして一直線に顔面を狙う。
狙いは鼻かしら、手の甲ではなく、手首を曲げた時に浮き出る骨で打つ。
関節でうったら壊れるから注意ね。
手の形がさながら折り鶴に見える事から名付けられたのだ。
「ぐっ、野郎。接近したらこっちの物だ!!」
接近したらこっちの物?
笑いが止まらん。
「ああ、ローレントさんがダークな笑いしてる!」
「向こうはそろそろ終わりそうですね」
うるさいな外野。
戦いに集中してろよ。
捕まえようと躍起になる首領。
膝を蹴り飛び上がる。
手には?
既に鬼魔の長剣を持っている。
「く、ハードスキン——ッ!?」
居合い抜きで一閃。
太い首を断ち切るのに骨が折れたが、長剣の峰打を蹴って無理矢理断ち切った。
首領の首が落ちる。
そして血を噴き出したまま倒れた。
「うそだろ」
「あ、ああ、首領ぉぉ」
頭取と参謀が唖然として戦いを見ていた。
そこで思い出す。
いかん、契約魔法を使うのを忘れていた。
同じ匂いを感じ取ったって下りで、何となく使っておけば良かった。
盗賊テイムを期待した方申し訳ないです。
今回はまだ契約魔法の活躍はありません。
盗賊と契約を結ぶのに、いきなりアジトに行って結べるもんですか!(白目)
——そういうクエストがありますので、お待ちください。