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 このハモンとかいう男の特徴は?

 魔術師だという説明だが、大きく発達した筋肉。

 鑑定の中には、魔闘家という文字があったな。

 称号にも師範と書かれている。

 それほど腕が立つNPCだと言うことだ。


 何より、時折聞こえてくる怪物の唸り声。

 この深淵の森はヤバイ。

 その森に居た、こいつもヤバい。

 でもワクワクする。


 三下さんと遊んで大分脳内に固まった痼りの様なものが取れたが。

 それでもまだまだ、随分と残っている。

 うーんこいつを蹴散らしたら、どこへ行こうか。

 そろそろコンバットエイプを相手しても良いかもしれんね。


「俺は風の魔術師であり、武道の心得もある魔闘家だ。お前も魔術師でありながら、接近戦を望むと聞く、その心は?」


「魔法を使ってみたかったからだ」


 ファンタジーの世界に興味が無いと言えば嘘になる。

 こんなゲームやってる時点で、この世界の様式が肌にマッチしている。

 そんな所だろう。

 どうにも、最新機器は馴染みが悪い節がある。

 所持する精密機器が壊れやすい人と壊れにくい人が居ると思うが……、俺のVRギアは良く持ってる方だ。


「なるほど、道理だな」


 ハモンはそれだけ言って跳躍した。

 戦いは接近戦ではなく未だ距離と均衡を保ったままだった。

 風の魔法を使うと言っていた通り、獣の様な早い動きでヒット&アウェイ。

 撹乱する様な動きで横っ面から魔法をブチ当ててくる。

 うざい事この上なかった。


「どうした!? ステファンもこんな奴に何を期待してるんだかな!」


 言ってくれる。

 責め立てる様な魔法の応酬には魔纏で受け流して何とか我慢していた。

 魔術師、魔法耐久だけは高いからさ?


 結論、回復のフェアリークリスタルが俺のHPを回復させてる限り。

 時間の無駄であると言う事は相手も理解しちゃ居るだろう。


 そんな状況で、仕留めに掛かるとしたら?

 フィニッシュブローは魔法か?

 俺なら近付いてぶん殴るな、魔法使い相手にはそれで十分だからだ。


「滾った俺が馬鹿だったぜ! ……ッ!?」


 俺の死角である後ろに、風の魔法アシストで木々を飛び移り現れるハモン。

 風の動きを読んで、俺は既に振り返って構えていた。

 構え方は?

 右手を下げ、左手を上段受けの型にする。

 無双の構えですね、はい。


「隙だらけだぞ!」


 そう思ってくれて何よりだ。

 再びハモンの右手に魔力が溜まっている。

 溜まった魔力は揺らぎを産むのだろうか。

 渦巻いてそして風魔法となるのか?


 そんな事はどうでも良い。

 ジャストタイミングでさげた右手をハモンの手首にぶつける。

 手から暴風が吹き荒れた、それでも一歩前に進め。

 顔面に無双の一撃を叩き込んでやる。


「……恐ろしい奴」


 首を捻って躱されそうになったが、織り込み済み。

 貫手に変え、避けても片鎌槍の用に親指を立て右目を抉り飛ばすつもりで居た。

 八卦片鎌貫と呼ぶ。

 目つぶしも抜かれたら、俺がトモガラにやった様に耳を潰そうね。

 上手く行けば三半規管ヤれるよ。


「右目はとっくに義眼だぜ、チェックメイトだ」


 HPは?

 ほぼ無い。

 少しだけある、じゃなくて、ほぼ無い。


 フェアリーは?

 いつのまにか消えていた、三十分はまだ経ってない筈だが。


 これは負けたか、……それでも。

 死合いならば、ここからでも相打ちを狙いに行ける。

 いや行くべきだろ、普通。


 狙いは?

 虎口にて、喉仏、圧し折ってやる。


「たわけ、せっかく来たのに死に戻りしてどうする」


「ローレントさん! 大丈夫ですか! 中級回復ポーションです!」


 スティーブンの杖が、ハモンと俺の間を割って、そして強制転移。

 ローヴォが心配そうな顔をして、ツクヨイは慌ててアイテムボックスからポーションを取り出そうとしている。


「よい、これがある」


 スティーブンは空中に現れた怪しげな試験管のコルクを外すと、俺に振りかけた。

 HPが回復して、傷が癒えて行く、それもとんでもないスピードで。


「霊薬と呼ばれる、類いじゃのう」


「れ、霊薬!?」


 レイラを慕い、薬師にも通じているツクヨイが言葉を失っていた。

 それだけすごい物なのだろうか?


「お師匠様、とんでもないNPCなんですね」


「ほっほ、それほどでもないわ」


「おい、邪魔すんなよスティーブン!」


「ぴい!」


 大きく跳躍して傍へ降り立つハモン。

 いきなりの接近にツクヨイが心臓が止まりそうな顔をしてる。

 ハモンは義眼の位置を気にしてこめかみをコンコンと叩きながら、戦いの腰を折ったスティーブンに噛み付いていた。


「弟子を死に戻りさせる訳にはいかんからのう……、それともわしとやるか?」


 ……一瞬だが、ぞくっとした。

 いつもの様なしけたジジイの感覚ではなく。

 そこには一切の容赦がない、そんな雰囲気を纏っていた。


「やめとくぜ、それなりに楽しめたしな」


 HPもそこそこ回復したので立ち上がると、ハモンが目の前に来た。


「お前、俺の弟子になれよ」


「は?」


「そして助言してやる、今からでも遅く無い。属性魔法を取れ、そして再び俺の所に来い」


「一体どういう事ですか?」


 スティーブンに聞いてみる。


「キャラメイクしなおせと言っとるんかのう?」


「え、このゲームNPCがキャラデリ推奨して来るんですか!? お、恐ろしいゲームですう!」


 おののくツクヨイ。

 そして答えは?


「もちろんノー」


「は?」


「一期一会って言葉だよ」


 この世界でローレントを始めてから、色んな仲間が出来た。

 そして再び師匠にも巡り会え、もはや家族に近いローヴォにも出会えた。

 無粋だな、流石にそれは。


「言っとくが、魔闘に無属性はお勧めしないけどな?」


「なんで?」


「身体能力への恩恵が期待出来ない。火を纏えば攻撃力が上がり、風なら速度が上がり、土なら身体が丈夫になり、水なら攻撃を受け流す、……無属性は魔法耐久には優れるがなあ?」


 そう言いながら俺と同じ魔纏というスキルに属性魔法を幾つか流して行くハモン。

 なるほど、そういう発展の形式がある訳ね。

 そして、それを魔闘と呼ぶらしい。


「仕込みは上等じゃぞ?」


「スティーブン、てめぇ俺を出汁に使ったな? なるほどそうか、だったらいいんじゃねえの」


 それだけ言ってハモンは俺を向いた。


「いいだろう、称号五段を授ける。同時に魔闘家の称号もやろう」




[特殊イベント”深淵の森の魔闘家ハモン”をクリアしました]

[称号”道場五段”を獲得しました]

[称号”魔闘家”を獲得しました]

[黒帯が五段に変わります]

[称号”魔闘家”によって五段スキルの闘気が魔闘へと置き換わります]

[魔纏が魔闘に昇格します]




【魔闘】←【魔纏】

・効果Lv20/20

・消費Lv4/20

・熟練Lv20/20

※称号”道場五段”スキル

※魔纏から昇格。


【魔闘】

魔力を纏う魔纏とそこまで相違はないが、新しく自分の持つ属性魔法の影響を受ける様になる。

火を纏い、水を纏い、風を纏い、土を纏い、近接魔術師に更なる力を約束する。




 おい、無属性の説明無いんだけど!

 無いんだけどどど!





NPCが、キャラデリしろって言って来るゲーム。

オワコンだ。


や、やばい。

最近めっちゃ誤字脱字が多い。

でも、書く速度遅らしたら三日かかる。(やる気の問題)

……それでもいいなら(一ヶ月コース)

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