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 戦法をどうするか、はて、距離を取って殴る。

 それに尽きる。

 スポーツマンシップ?

 戦いは相手の弱点をつくのが一番だ。


「くっ!」


 三下さん、器用に弾き返してくる。

 軽い衝撃がたまに重くなる、その時、俺のHPが減っている。

 カウンタースキルがすごく便利だ。

 そして徐々に前に詰めてくる。


「踏み込み突き!」


 防御して、構えて、突く。

 それだけの動きだが、弾かれた際に強制的に弾かれモーションになるのが痛い。

 片手剣の横腹を篭手で殴りつけて受け流す。

 意外とHPの減りが少ないな?

 俺の防御力もそこそこ上がって来たと言う事か。


 未だ謎に包まれた裏ステータス。

 今度のアップデートで公開されるとかされないとか?

 まあそんな事は良い。

 三節棍を引き戻すついでに、その勢いで殴りつけておく。

 接近した三下さんに蹴りを加えて飛び退く。


 後方宙返りで体勢を立て直して、前を見据える。

 彼のカウンターはタイミングに合わせて小盾を利用している事がわかった。

 投げつけてみた三節棍も、バントみたいに衝撃を押し殺してブロッキングしている。

 上手くマッチングと言うかクリティカル判定の様な硬質な音がなって、同じ軌道で弾き返ってくる。

 職人芸、天晴だ。


「すごいな」


「そっちこそ、マジで魔法職かよ……?」


 本領はここから発揮と行こう。

 ガチンコの一撃に対して、返す刀を持つ三下さんは強いだろう。

 だが、打って殴って、子供のお遊びではない。


「ふっ!」


 鬼魔の長剣を抜いて投げつける。

 三節棍も投げる、それを器用に弾き返すのが今まで。


 これからは先制と同時に一気に踏み込で、接近戦を持ちかける。

 弾かれた武器はアポートで手元に引き寄せる。


「でた! アポートだ!」


「にしても、振り下ろしと同時に手元に武器をアポートするって出来んの?」


「……俺には無理かもな」


「化物かよ、あの動き」


 武器を持たない拳槌かと思いきや、いつの間には武器を振っている。

 そして弾き返すのが既定路線だとするなら、武器は手元に無い。


 硬質な音がなって武器が宙に舞う。

 歯を食いしばった三下さんの渾身のブロッキングがクリティカル判定で決まった。

 反動は?

 ない、武器は既に手放している。


「しっ!」


 片手剣の軌道が俺の胴を捕らえていた。

 ここまで近づけば、振り辛いと言うのに三下さんは半歩後ろに下がりながら無理矢理振り抜いてくる。

 会わせる様に半歩踏み抜いて、半歩崩拳。

 って言うのは冗談で。


「スペル・バイブレイド!」


「ぐはっ!」


 三下さんの顔面に、思いっきり食らわせました。

 胸に少し斬り傷が出来てしまったが、この装備もどうせそろそろ新調するしいいか。

 ゴロゴロと転がって行く彼に追撃しよう。

 手元に寄せた三節棍を叩き付ける。


「くっ! ……そっ!!」


「しぶとい!」


 直線的な打撃過ぎたか、立ち上がりと同時に弾かれた。

 いや、本当に上手い。

 楽しくなって来た。


「やっぱり厄介だなくそったれェ!!」


 どうやら熱くなっているようで。

 俺も同じか?

 三下さんは見た所武術的な動きを学んでいないと見える。

 これで、防御の型を幾つかやったとしたら?

 俺の攻撃全てに対応出来るようなったとしたら?


 カウンターでHPが削られる仕様上、勝ち目は無くなる訳だ。

 末恐ろしい!

 そう考えるとゾクゾクしてきた。


「その軌道は覚えたぜ!」


「ブラフだったら?」


 動きを変えて行く。

 今までの三節棍の戦い方、それは端を掴んで打ち付けるだけだった。

 カンフー動画でも見たらわかると思うが、本質は別にある。


 振り回して、千差万別の戦い方を可能にする。

 双手棍よりもトリッキーだ。


 風を切る音と共に、身体を這わす様にして三節棍を繰る。


「しっ!」


「くっ! ぐあ!」


 振り抜く様に見せて手の内で返し、擬似的な双手棍状態にして打ち込む。

 失った間合いは踏み込んでおく。

 完全にタイミングをずらされたのか、三下さんの腕はまともに打ち付けられて痛そうだった。


「痛覚百パー?」


「あたりまえだ」


「なる」


 なんだか、彼とは良い死合い仲間になれそうだ。

 この猛襲はどうだ?

 分銅鎖を回す様に扱い、切り返して逆手で打ち込む。

 狙いは、片手剣。


「俺も手の内公開だ、感謝しろよぉ?」


「む?」


「オフェンス・ブロッキング!」


 三節棍めがけて無造作に振った片手剣。

 威力は勝っている筈だが、硬質な音と共に弾かれた。

 不味い、反動が来る。

 幸運な事に三下さんの剣が折れた、今のウチに距離を。


「その目だ、予選から見てたぜぇ? 幸運系も持ってんのか? やっぱり厄介だぜ、俺の剣も折れたしな」


「な、に?」


 為す術無しなのは、お互い様じゃないか。

 俺は強制的に反動を食らっている、三下さんは武器を持たない。

 念のために盾殴りに備えて右手を構えておく。


「グラッジ・リバース!」


 篭手と小盾がぶつかって、俺が思いっきり吹っ飛ばされた。

 そして三下さんの篭手が壊れる。


[何と言う展開!! ローレント場外かあああああああ!!!]


[これは十回戦、素晴らしい物が見れましたね]


 温度差実況ゲームマスターの言葉で、自分が場外目前まで吹き飛ばされている事に気付いた。

 いかんな、また癖で相手を舐めていたみたいだ。

 戒めなければ、手負いの獣は手強い。

 それだと、三下さんに失礼か。


 あぶない場外に落ちずに済んだ。

 何とか体勢を立て直すが、三下さんはすぐそこまで迫って来ていた。


[だめ押しの一手か! 武器も小盾も無い三下選手が蹴りかかる! あああああああああ!!!!???]


[うるさいですね隣で]


 三下さんのカウンターから賑わっていた歓声が止んだ。

 結果はどうなった?


「危なかった」


「ぐ、ありかよそれ……」


 思った通り、スキルに頼らないと脆いもんだな。

 蹴りの軌道なんか簡単によめる。

 起き上がって掌で蹴りを受け流し、膝を肘で打ち壊した。

 どうやら、無手でカウンタースキルは使えないようだ。


 勢いで身体が前に進む三下さんの眼前に指先を構えておく。

 鼻先を滑らせて目を潰し、そのまま眼孔に指を掛けると首を大きく捻る。


[勝者、ローレント!!!!!!]


[えげつなー]


 オフェンス・ブロッキング。

 グラッジ・リバーズ。


 このカウンタースキルと、彼のガードの腕には驚かされた。

 気軽に接近戦を挑んで手や指を圧し折られたら不味いと思って武器での戦いを挑んでいたが、危ない所だった。

 結果的に武器は全て壊れてこっちの土俵に来てくれたから勝てたけど。


 カウンタースキルマジで怖いな!!!

 ある意味俺よりキワモノだろ彼のスキル構成!






三下さんついにでました。

攻めるカウンターさんです。

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