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エンカウントしたのは、コンバットエイプ。
岩壁へやって来ましたよ、マップ名って出るんだね!
南の霊峰、その名に相応しき地形だ。
小槍がデカい。
アルペン踊りだって踊れるだろう。
丁度一体だけ出現していたので、小手先確認と言う訳で、ローヴォに陽動をお願いして銛を射出。
右脇腹にヒットして、使い捨ての投銛をストレージからアポート。
投げて行く。
右手に持ったスティングで接近し、左手のヌンチャクでこめかみを狙いに行く。
うお、回し受け。
コンバットの名に恥じぬ受け技を披露してくれる。
脇腹に刺さった弾機銛を抜いたコンバットエイプはそのまま俺を押しつぶしに掛かる。
「ゴアア!!」
これだけやってHPの減りは無い。
コンバットエイプのレベルテーブルは、プレイヤーレベルでいうと25〜50だったような。
このコンバットエイプのレベルは8。
ってことは、プレイヤーレベルで言うと33レベルって感じか。
ワイルドオブザウィルよりは強い。
だが、少し足りない物がある。
それでも、なかなか満足いく戦闘をさせてくれそうだった。
マウントを取られる前に素早く行動を起こす。
後ろからローヴォが後ろ首に飛びかかり食らい付いた。
やや体勢を倒したコンバットエイプを巴投げ。
玉は?
もちろん潰しておけ、HPの減りを確認するのだ。
おかしい、確かな感触はあったのに。
余り減ってない。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
破壊力はまあまあ?
とりあえず、外道の称号に磨きがかかりそうな所業なので、とりあえず謝りながら止めを刺しておく。
少し調子が狂ったのだが、このコンバットエイプは特殊個体だったのか。
以前見た時はバトルゴリラを侍らせていた様な……。
「ゴアアアアアア!!!」
「ギュガアアアア!!」
ドロップを確認して、声のする方へ。
……沢山居た。
【サイクロックス】Lv10
一つ目の岩石巨人。
粗野で凶暴な性格で悪食。
【コンバットエイプ】Lv7
戦闘に長けた猿種。
武器を扱い、集団戦にも強い。
やや大きめのサイクロックスがいじめられている。
右足は砕けていた。
あ、左肩が外された。
文字通りバコって音がして取れるのだ。
流石にここでソロプレイをするのはやめておいた方が良さそうだ。
そうだ、コンバットエイプは仲間を従えて行動する。
それが大いに厄介なのだ。
昔はファイトモンキーが呼んだバトルゴリラでさえ厄介だったんだ。
毒を用いるか?
……経験値に出来るけど、あんまりあの称号を上げたく無いと言う。
ドロップが経るからな。
経験値には出来るが、諸刃の剣と言うか、何と言うか。
いずれにせよ最終手段に保持しておく程度。
核の様な物だ。
コンバットエイプ達のコロシアムから大きく距離をとり、出来るだけ森の近くでの狩りとなる。
東の境目を行けば、コボルト達に出くわすのだ。
◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ
【ラッキーウルフ】幸運狼:Lv8
グレイウルフと同じ性質を持つ。
その瞳は幸運の翡翠が宿り、淡く輝いている。
[グレイウルフの基本スキル]
[幸運の瞳]
テイムモンスター装備
【合わせ翅と翡翠の首輪】
※躾けるには【調教】スキルが必要。
いい調子。
金貨を集めつつ、山大嘴の狩猟だ。
時たま見かける喧騒鶏も踏みつけて倒して行く。
上も鳥で下も鳥で、チキンパーリナイが待ち遠しい。
大嘴から肉は出ないけどな。
【コボルトレスト・ガード】Lv3
生き残って知性を得たコボルト。
大盾を持つ。
デカいコボルトが居た。
等身大の盾を構えて、前進している。
その後ろには?
【コボルトレスト・ソルジャー】Lv2
生き残って知性を得たコボルト。
剣や斧を持つ。
【コボルトレスト・ソーサラー】Lv3
生き残って知性を得たコボルト。
魔力を持つ。
【コボルトレスト・キャプテン】Lv5
生き残って知性を得たコボルト。
全体を指揮する選ばれし者。
一応、戦えない事もないのか?
いや無理だ、撤退しよう。
弓持ちがいないって事は、ここで演習でもしてたのか?
はた迷惑な話だ。
キャプテンの雄叫びと共に、ガードが前進する。
ガードの盾に隠れる様にソルジャーも前身。
声が聞こえる。
詠唱をするソーサラーだった。
まず初手。
詠唱の終わりと共に、良いタイミングでガードが腰を落として守りの体勢を取る。
その頭上で火の玉が放物線を描く。
まるで練習をしていた様な動き。
ストレージから石杭をアポート。
石が削れる爆音がする、コボルト達は困惑した様子だった。
あれ、これ、行けそうじゃない?
「ローヴォ、ウラアアアアアア!!!!」
「グルアアアアアアアアア!!!」
雄叫びを上げて突進、困惑した思考へ攻撃だ。
魔法を使わなくても精神汚染は可能だということを証明する。
ガードが盾を持ち直す。
だが、接近させたら君たちは仕舞いだ。
石杭をアポート、そして拉げるガード。
近くに居たソルジャーの首にローヴォが食らい付いている。
「ぐわっ! ぐわあ!」
指揮を取り戻そうとするキャプテンだが、残念ながらそれは叶わない。
アスポートだと、重量制限に引っ掛かるが、アポートは無制限だからだ。
手をかざした先に、石杭が降ってくる。
さらばガード、血飛沫を上げたソルジャーが叫び声を上げた。
魔法が跳んで来て、何発か貰いながらも、急所に当たりそうになった物はエナジーショックで爆散させた。
行けローヴォ、ソーサラー達を喰らい尽くすのだ。
その間にソルジャーの剣をヌンチャクで弾きながらガードを潰して行く。
コボルトのドロップはなんだ?
装備類だ!
しまった、盾が台無しになっている。
これは惜しい事をした。
この怒りはキャプテンにぶつけるのだ。
詠唱中のソーサラーに一発弾機銛をお見舞いしてキャンセル。
ヌンチャクを投げて一体を昏倒させると、レイピアを引き抜いてキャプテンに接近する。
「——!」
剣で受けられた。
だが突き突き突き。
さながら海賊の戦闘シーンだな。
ただし、相手の剣はレイピアでもフルーレでもない。
黒鉄故に凌げるが、ガチでかち合うとこっちが曲がる可能性がある。
ヌンチャクをアポート。
長剣を搦め捕って叩き折るのだ。
失敗した、中々上手く行かんね。
でも十分な隙は作れたので、心臓へと突き込んで行く。
後はローヴォに加勢だ。
……またもやしまった。
キャプテンの止めはローヴォが担当すれば良かったんだ。
ドロップ回収時に残されたいくつかの金貨を見て思った。
いいね、コボルトレストは盾ぐしゃぐしゃになったガードからも、たまに金貨が取れるじゃないか。
しばらくここへ来よう。
金の亡者へと至るべし、そして富豪へと。
ぐふふふふふふふ
さらっと更新。
また夕方更新します。