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少し更新遅れました。
戦ってみた感想だけど、過剰火力とでも言えば良いのか。
思ったよりあっさりと倒せそうだった。
まず、クラリアスの突進攻撃。
「おおお!!」
「だっしゃあああ!!!」
馬鹿力を持つ二人がガチンコで相手取る。
ホームランだな。
イシマルの大槌はそこまで効果はないみたいだが、トモガラの斧による裂傷はかなり深い。
少し距離をあけて待機するミツバシが、ガストンの大盾で動きを止めたクラリアスの傷口を抉る。
なんだかんだ、上手いこと連携が続いている。
遊撃に回る十八豪は、逆に苦戦。
粘質で質量を持った水球は、中々ダメージを許さないみたいだった。
相性の問題だな。
俺は?
エラに飛びついてる。
というか、ノーモーションで飲み込みが来たときは驚いた。
十八豪のアクアベールが間に合って、何とか水流に混じってエラから排出される所だった。
血が通って真っ赤でビラビラ。
何と言う言葉の響きだろう。
内情、俺の装備はずたずたになりそうなんだけども。
身体中を小さな斬り傷が蝕む。
エラ構造は髭剃りの様なカッター構造だった。
何枚場だ。
何とか一つを捕まえて、しがみついて体勢を整える。
むしれむしれ。
急所だ急所、皮膚呼吸をある程度可能だった気がするが、酸素濃度が落ちれば動きも鈍るだろう。
「ローレント!! 生きてるのかい!?」
「大丈夫だ!」
出来れば付け根の当たりをナイフで切っておきたい。
反対側のエラまで渡れるかな?
それは無理そうだった。
全てのエラを回収し終えたところへ、激痛に違和感を覚えたクラリアスが水を大きく口に入れた。
そしてエラから放出する。
支えを失って放り出されながらも、十八豪がキャッチしてくれる。
「しっかりしな!」
「大丈夫だって、これ」
「うわぐろ!」
切り落されたエラの集合体を見たミツバシが顔をしかめる。
そこでクラリアスの様子がおかしくなった。
太い二本の髭が震え始める。
「何かが来るぞ!!!」
トモガラの声。
ガストンが前に出て盾を構える。
魔力の解放と共に、ドでかい衝撃が水中を伝わって行く。
ダイナマイト漁だな。
ガストンが膝をついた。
「大丈夫!? すごい波が!」
「山田あーーー!! ロープ解いて他の船を外せー!!」
「ははは、はいっす!!! マルタさん!!」
「うわあ! ロープ千切れてる!」
「ふ、船が!」
「きゃあーーーー!!!!」
水面では大惨事みたいだった。
っていうか俺の船。
せめて推進機だけでも、推進機だけでも回収してほしい。
それどころじゃ無さそうっぽいけど。
「お、おでが抑えるだ!」
「ブリアン流石に一人じゃ無理よ!」
どうやらこれは、早いところ決着をつけなきゃ不味いみたいだな。
クラリアスの目が光る、手負いの鯰だ。
今までのは前哨戦だったと言うのだろうか。
「飲み込みが来る!」
「とりあえずまた行く!」
「あ、ちょ! まちなって! ちぃっ……、アクアベール!」
エラへ飛び込んだ。
先ほどよりやや暴れ方が大きい。
口の中は?
すごく生臭そうだ。
いかんぞ、楽しんでる俺が居る。
これは戦いなんだ。
集中しろ。
再び外へ弾き出され、クラリアスはもがきながら突進を重ねるだけになった。
あれ、衝撃派は?
「めんどくせえのは部位破壊だ!」
「おお」
トモガラが髭をぶった切っていた。
いいね!
イシマルはガストンを起こし下がらせる。
ミツバシはフィールド全方位を襲う衝撃で少しダメージを負って気絶ペナルティを食らっていたみたいだ。
前衛向きじゃないからしょうがないな。
「あたしが支援だなんてね! アクアベール!」
「助かる十八豪」
「な、あ、い、いいんだよ! 別に!」
「おいラブコメしてんじゃねーよ、早く倒すぞ」
鬼子の長剣に持ち替える。
自前で水中活動と呼吸が出来る十八豪が、エラでダメージを負った俺に回復のフェアリークリスタルを使ってくれた。
トモガラは前進し、動きが鈍くなったクラリアスとかち合う。
俺は身体に刺さった矢を掴んで、クラリアスにしがみつき、恐らく急所である目を狙いに行く。
触った感じ、分厚い脂肪に襲われてそうだから、脳髄まで突くのは不可能そうだ。
ならどうする?
両目を潰して、待てば良い筈。
大事な大事なエラはもうないからな。
「っしゃ! HP見ろ、後少しだぜ!」
「目、潰した!」
「アンタ達! 水守の時間を確認しな!」
トモガラはもう一押しだと考えていたようだが、タイムリミットだ。
急いで水面に上らなければならないのだが、問題が発生した。
ガストンが、重過ぎて浮上出来ない。
「クラリアスは!?」
「向こうで暴れてるよ」
「それよりHP減りだしてる!」
水中ペナルティだな。
慌てるミツバシとイシマル。
船の下でわたわたしてると錨が降って来た。
「わへっ!」
「あぶねーー!!」
ミツバシとイシマル、危うく潰される所だった。
「つかまって! こうなる事も予測出来てたわよ待ったく!」
「「姐御!」」
準備完了の合図と共に、ブリアンの掛け声が響いて、皆一斉に急浮上。
そして、同時にHPが無くなったクラリアスも浮いて来た。
[エリアクエスト-東の川の異変-がクリアされました]
[討伐者の名前が石盤に記載されました]
[プレイヤーズヴィレッジを拠点に、ノークタウンとの水運交易が回復します]
[一部クエストの追加、エリアマップの解放が行われました]
[レイドクエスト-向こう側の湿地帯、底無し沼に侵される村-が解放されました]
[プレイヤーのレベルが上昇しました]
[テイムモンスター:ローヴォのレベルが上昇しました]
「なんだか、すごい事になってるわね」
「レベルも上がってるよ」
「ええ」
大体みんな上がっているみたいで、なにより船が無事だったのが良かった。
二十万する推進機十個だぞ。
お釈迦になってたら、泣いてた所だ。
プレイヤーの第一拠点がまた騒がしくなりそうな予感がする。
まあ、それはそれとして、村長殿に任せれば良い話だ。
ノークタウンとの交易が可能になったと言う事は、船を使ってあっさり移動が出来る。
そして公式インフォメーションを聞いたニシトモのほくそ笑む姿が、容易に想像出来る。
しばらく漁師プレイして、お金かせごうかな。
エリアボス戦はあっさり。