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「待ってくださいよぅ!クロガネさん!いっつも置いてくんですからぁ」
「駄々こねるならきびきび動け、休んでる暇なんてねぇぞ」
あの薄気味悪い塔を調べ初めてから随分とたったが中に入る事は警備が厳重でおろか近づくことすらできやしねぇ、今はその塔を守る連中に雇われて働く振りをしながら情報をかき集めているが大したものは得られていない。
「それにしても胸糞わりぃな、街落としの手伝いなんぞ」
「それはそうですけどぉ、私達があの塔に入るためには、戦果を挙げてうまく取り入るしかないんですから、仕方が無いですよ」
「分かっちゃいるんだが、どうにも気が乗らない」
「クロガネさんが我が儘言うなんて珍しいですね」
「我が儘じゃねぇよ、人としてどうよって話だ、まぁ俺も何人も斬ってきたから今更だけどな」
未だにるるえると話すのは気が滅入る、大体マイペース過ぎるんだよこいつは、こいつの話をまともに聞いてられるのはレイナールぐらいだったしな。
かつての画面の中の親友を思い出して感傷的になるがるるえるに感ずかれると面倒なので顔に出さないように気を付ける。
「それにるるえる、気乗りしないってのはスプリガンの街を落とすのが嫌ってだけじゃないぜ?さっきの死体も気になる。」
「あぁ〜あの二人組ですか、彼等も雇われ組でしたね、無理矢理奴隷にした人を喜々として連れていったので余り良い印象はありませんでしたが」
「それは俺もだよ、んで、その二人組も一応ら俺らと同じ元プレイヤー、そして二人ともそこそこのレベルだったはずだ」
「確か細剣の方は当時二次職レベルカンストしてたみたいですね、休憩時間中に自慢げに言ってましたね」
「まぁこの世界で俺達のレベルがどこまで上がるのかは分かんねぇけどな、確認しようもねぇし」
「私もレベルはカンストしてましたけど、最近ますます筋力が上がりましたし、花も恥じらう乙女としては悩みの種ですね」
「見た目は変わんねぇんだから良いだろ、それより俺が言いたいのはあいつらの殺られ方だよ」
「私的には連れていった人達の行方も気になりますけどね。槍の男は武器を取り出す間もなく喉を一突き、細剣の男は一応剣は抜いていたみたいですが、外傷が殆どありませんでした、首に一閃、即死ですね」
「回復薬があれば助かっただろうけどな、今じゃ持ってる奴なんて数少ない、連れていからた奴らは逃げたんだろ」
「たった二回の攻撃で元プレイヤーを殺せる程の何かですか‥‥」
「十中八九この世界産の人間じゃあ無いだろうよ、油断してると俺らもバッサリ殺られちまうかもな」
「もぅ、怖いこと言わないでくださいよぅ!クロガネさんっ」
「急にその気持ち悪い喋り方になるのやめろ‥‥お前普通に喋れるだろ‥‥」
無限えだ〇め、飽きました




