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6. 新しい仲間2

その2。

 

 「 あの人見た感じ結構若いからなー 」


ずっと騙されてたんだろうなセレーヌさん、とハバートは呟く。

もちろん当の本人はただ訂正するつもりがなかっただけだろうが。

時間はとうに昼を過ぎている。四人はあのあとセレーヌと別れ、揃って食堂に向かった。

ここにライナはおらず、任務の時になったらついて来るらしい。今はファイナと共にセレーヌの影に戻っている。


「 先生そんなに歳食ってたんだな。 意外だ 」


「 あの顔で38ですか。20代と言われても違和感はないと思っていましたが 」


そのくらいディートは同年代の人の中でも一番若い顔立ちをしているのだ。何故訂正しなかったのかは本人の知るところでしかなく、四人は疑問に思ったが敢えて追及はしないでおくことにした。周りとの差を気にしたのかもしれない。


 話がひと段落したところで、彼らは一階層の食堂前に来ていた。


「 あのぉ~…… 」


突然聞こえた声に振り返ると、白衣を着た中太りの青年がいた。歳はリゼラ達より幾つか年上くらいだろうか。


「 ……? 私たちに何かご用でしょうか? 」


雰囲気はどこかほわんとしているというか、やや天然気味に見える。

リゼラが受け答えると彼は会釈をした。


「 どうも! はじめまして。 ボクは次の任務で皆さんとご一緒する医療術士のフォックと言います~。 どうぞよろしく 」


医療術師、その言葉にアニエスがぽんと手を叩く。


「 ……あぁ! もしかして先生が言っていたサポーターか? 」


「 はい~! 本来ならば皆さんにボクの医療術は必要ないのですが、ボク自身地理に通じているということもあって、微力ながら多方面で力になれればと思っています~ 」


次の任務地は幾つかあるがほぼ初めていく場所だ。地理に詳しいサポーターがいれば何かと助かるだろう。四人は改めて自己紹介した。


「 へぇ、なるほどな。 よろしく頼むぜ。 俺はハバートだ。 あ、敬語はやめとけ、俺らチームだし。 それにこの面子じゃあ男は貴重なんだ。 ま、アニエスはいるけどな。 仲良くやろうぜ 」


「 どういう意味だよ全く……。 アニエスだ、よろしく。 右に同じく敬語はいらないよ 」


「 シャンテと申します 」


「 リゼラです。 よろしく、フォック 」


「 はい! 皆さん宜しくお願いします~ 」


 フォックは医療術を学ぶためにいろんな町や、協会支部を回ったという。現在では、その医療術の知識を生かして医者をしているらしい。

 医療術というのは身体における異常を魔術によって取り除くというものであり、病状・怪我等の具合によって施せる処方も異なるために種類が多く、複雑な学問でもある。さらに魔術自体、扱いが難しいために術を施す者の技量が試されるのである。

その点リゼラ達は医療術を含めた魔術を総合的に学んだ者なので位付き戒士となっている。

しかし、得意不得意もあり、その上専門的に極めたわけではないのであくまで任務に必要な分だけの広さと浅さ、と言ったところだが。


なんにせよ、医療術の専門家が付くというのは心強いもので、力の消費が抑えることが出来るのでありがたい事なのである。


「 あ、そうだ、悪いんだけどボクちょっと用事があるからこれで失礼するね~。 もし何かあったらこの先の医療室にいるから。 それと、たまに教会の方の医療室にもいるからよろしくね~ 」


「 フォックさんは教会でもお医者様をしてらっしゃるのですか? 」


「 そうですよ~。 病気を治してほしいという方々もいらっしゃってね~。 ……ただ、中にはどうしても力になれない方もいるんだ~……。 とても、心苦しいけどね~…… 」


それは当然のことで、医療術も万能ではなく所詮は人の身が行うことであるため、限界もある。それを超えてしまうと禁術になってしまうため、それは仕方のない事なのだ。


「 あぁ、ごめん。 しんみりしちゃたね。 とりあえずボクは教会にいる事もあるからいつでも来てね~ 」


「 分かった。 よろしくね、フォック 」


「 うん、それじゃあまたねー 」


フォックは手を振り、その場を去っていった。あのふっくらとした顔はなかなかに愛嬌がある。彼自身に癒しを感じるあたり、医者に向いているのかもしれないと思った。


これで恐らく全てのパーティーメンバーが揃っただろう。

出立は約二週間後に控えている。

準備期間として与えられるこの間に、必要な物と必要な覚悟を決めて任務に備える。

新たな仲間も増えて、リゼラは心強いパーティーメンバーが揃っていることに喜びを感じる一方で、その中に己が師であるディートが加わっていない事を少し残念に思った。


 

さて、新しい仲間が増えてきました。

旅立つのはまだ先ですが、彼らの日常を書きたいです。

ちなみに次回は幕間の予定です。

今のところ名前しか出てないお方が……

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