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15. ヒストスクの民宿にて

あのあと惨事になったのは言うまでもない←

     

  

   

「 はっくしゅ…………なぜこうなった 」


濡れた髪と、その雫が防水を兼ねたコートに滑り落ちるさまを見ながら憂鬱そうに呟くリゼラ。

本日二度目の台詞である。


「 み、右に同じく~……ところでファイナさんはどうしたの? 」


ずぶ濡れのフォックも同意しながら尋ねる。


「 エクと一緒に私の影に入ったよ。 全くこうならないように気を付けていたというのに…… 」


「 リゼラが地雷踏んだからかなー 」


一方でどこ吹く風で答えるハバート。だが彼だって他人事ではないはずだ。

彼も盛大に濡れ鼠となっている。


「 いやそもそもはあんたのせいだからな? まず私とフォックに謝れ 」


元はと言えば地雷を踏んだのはリゼラかもしれないとして、原因を作ったのはハバートである。

殺伐としているあまりすっかり口調がかわってまくし立てるリゼラを、ハバートはすっと手を挙げて制した。

訝しんで彼を見ると「 今から宿に入るから 」と人差し指を口元にあてている。

日も暮れてきたので、一行は移動を控え下界に降りて道中にある村に立ち寄り、そこにある民宿で休むことにしたのだ。


が、一方でリゼラは一瞬表情を消したかと思うとすぐ笑顔になり、すっと無言でハバートの肩に手を置いた。いや、鷲掴みにした。


「 ………………あんまり調子に乗らないでよね? ハバートさん 」


濡れている神父服がギリギリと音を立てている。彼女の手によって。

ちなみにハバートはコートを着ていないので防水ではない。替えはあるだろうが。


「 痛ッ! い、痛いですリゼラさ……っ!! わ、悪いマジ悪かったって!! 二人とも悪かった!! だから変なツボ押すなよ!! 」


「 エクも、被害者だから……ね? 」


「 ほ、ほんとに悪かった……! 」


助けを求めるような目でリゼラの影に向かって言ったが反応はない。

これはもう嫌われただろう。

解放されたハバートは観念したように肩口を抑えてうずくまった。

鍛えられたリゼラの握力はそれなりに強いのである。

そんなやりとりを横目にため息をこぼし、なぜかまったく無事なアニエスとシャンテは、先に宿の扉を開けて中に入った。


「 あのーすみません。 この村の民宿ってこちらでしょうか? 」


「 あ、はい。 お泊りですね? 何名様でしょう……ってお、お客様方大丈夫ですか!? なんでそんなずぶ濡れに…… 」


今日は天気も良かったはず……と茫然と呟かれた視線の先には、アニエスとシャンテの後に続いたまるで「 バケツから水をかぶった 」ような3人の姿があった。

アニエスが言いづらそうに口を濁す。


「 あ――……こいつらはちょっと通り雨にあったというか……とりあえず部屋を2つお願いします。 あと、手拭いかなにかを、出来るだけたくさん…… 」


「 は、はい。 かしこまりました。 こちらに座ってお待ちください 」


テーブルと椅子に案内した後、受付をした女性は奥の部屋に引っ込んだ。

幸い寒い季節ではない。風邪をひくことはないだろう。


「 フォック。 ここってなんて村? 」


とりあえず、リゼラは道に詳しいフォックに質問する。


「 ここはね~ヒストスクという村だよ~。 ワーゼンブルグからハイハーネまで2つ目の村かな~ 」


「 2つ目か。 いくつあるんだっけ? 4つ? 」


「 いや、5つだね~。 このペースで行くと明日は朝から4つ目の村まで飛んでそこで泊まって、次の日にハイハーネまで飛ぶって感じだね~。 まぁ何もなければ三日でつく行程かな~ 」


「 まぁそれ以上急ぐこともないな。 あまり長く飛ぶと飛竜が疲弊する 」


飛竜は今『 竜小屋 』という村の飛竜が集まる飼育所に預けている。一晩そこで休んでもらう。食事もついているし安全だ。

大きい街や富裕層なら家に置けるかもしれないが、飛竜を持つのは場所とお金がかかる。

だから村などでは村全体で飛竜を共有しているのだ。


「 まぁ、野宿でもいけないことはないしね。 嫌だけど……くしゅん 」


「 状況によって……でしょうね。 大丈夫ですか? リゼラ 」


「 う、うんありがとうシャンテ 」


寒い時期ではないと言ったがやはり濡れれば冷えてしまう。


「 あたしが炎で乾かしてやってもいいが……あまり人前ではな 」


「 いや、そもそもそれ下手すれば燃えるからな……? 」


「 あたしはそんなヘマしない。 自分の気ぐらい操れる。 戒士だぞ? 」


「 あぁ……さいで 」


気術で乾かすというアニエスの発言に危機を感じたハバートだったが、どうやら彼女は見くびられたと思ったらしい。むくれている。

そこへちょうど先ほどの女性が戻ってきた。幾枚ものバスタオルを抱えて。


「 お待たせしました。 どうぞお使いください 」


「 あはは、ありがとうございます 」


とりあえず3人ともバスタオルを受け取った。

アニエスとシャンテにも配られる。


「 お風呂は部屋に繋がる扉とはんたいのこちらの扉になります。 それと、ここは食堂も兼ねておりますので夕食を召し上がる場合はここにいる者にお申し付けください。 こちらがお部屋の鍵です 」


「 ありがとうございます一晩お世話になります 」


そう言って男女に分かれて案内された部屋に向かった。


「 じゃあオレらこっちの部屋だから 」


「 また後でね~ 」


そういって彼らは割り振られた部屋に入っていった。


「 はぁ……私ももう少しで一息つける…… 」


「 よかったな 」


「 エクさんとファイナさんはどうするのですか? 」


「 う――ん…………どうしたい? 」


リゼラが自分の影に向かって話す。

おそらく会話は聞こえているであろう2体に意思を尋ねた。


『 アタシはあんまり目立ちたくないから今は部屋の中だけ出るわ。 もふもふ、アンタもそうしたら? こういう場所で目立つと厄介よ? 』


『 ……き、きゅ 』


なにやら実感のこもった言葉にエクが頷く声がした。


「 というか影の中からでも話せるんだな 」


『 まぁね。ちょっと窮屈ではあるけど喋れないこともないわ 』


「 ふふっ、では早く広い部屋に行きましょうか 」

       

こうして夜は更けていった。


      

  

入浴シーンとかはありませんよ?

でもエクなら一緒に入れるかもしれません笑


ファイナはセレーヌと一緒にいた時経験したらしい。(経験者は語る……)

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