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9. 少年の受難

お待たせしました。

    

   

    

 リゼラは協会内の図書館に来ていた。調べ物をしようと来たのだがそこで机に向かって勉強している後輩を見つける。


「 やぁ、ジーン君。 今日も勉強熱心だね 」


「 あ、リゼラさん! こんにちは! 」


顔をあげた少年はリゼラを見るなり元気に答える。

彼は現在戒士になるべく勉強している戒士見習いだ。彼は13歳の若手だが、正式に戒士として認定されるのは満14歳からのため彼は見習いとして勉強をしているのだ。この通り戒士ではないので仮所属という形で協会にいる。


「 そういえばもう来年だよね 」


「 はい! まだまだ学ぶ事が多いのでもっと頑張ります! 」


「 あはは、アニエスが目標だもんねぇ。 あ、でも根は詰め過ぎないように 」


 カルキリエ教会にはたくさんの戒士が所属している。その戒士達は協会の会員であるわけだが、協会に所属するには条件がある。


一つは光人であること。それはカルキリエ教会が光人を創ったとされる“光の神”を崇拝していることに理由がある。まれにディートのような例外はあるが、基本的には光人の組織なのである。

闇人の場合は闇人の神を崇拝している教会がこの町にもあるので、大方はそちらに行く人も多い。が、基本的に教会に来る人や協会に依頼する人は光闇関係なく対応している。

特に光人と闇人は仲が悪いわけではないのだ。


二つ目の条件は戒士になれる素質を持つ者であること。教会には素質がなくても所属できるが協会は目的を果たす手段として“気力”という力を扱えなければならない。それを見極めるために協会は入会希望者に対し“聖石”による診断を行う。


「 何か不安なことあったりする? 」


「 あ、僕聖石の認定は頂いたんですが、気術とか魔術とかじ、実戦とか……そっちの方も心配で…… 」


「 あー、それか。 一応戒士になったら新人の訓練はあるけど認定もらわないとカルキリエの任務には出してもらえないもんね 」


「 そうなんです。 体作りとかはしているんですが……。 その、気術と魔術……特に気術がうまく出来るかどうか…… 」


 気術というのは“気力”を使って行う戒士特有の術であり、これを習得して初めて戒士と名乗れるのだ。

“気力”というのは生まれた時から既に誰もが持っている力だ。

属性も存在するが気力の大元には“根源の気”なるものが存在し、光人は光の気、闇人は闇の気をそれぞれもっていて、属性はそこから派生する。

属性は、気が周りの影響を受けながら変化し一番多く影響した“元素の気”が属性として自分に残る。そうして気力の使い方にも影響するのだ。


 例えば光人で火の属性を持っているとする。その人は光の気を根源に持っているが、ほとんどの人は直接根源の気を扱うことは出来ないため、代わりに自分の属性であるが故に扱いやすい火の気に変換して外に力として出す。

これが気力である。

なお、ほかの属性に変換することも可能だが、それは難易度が高いためごく少数の者にしか為せないものである。闇人も同様で、違う点と言えば根源の気が闇の気であるという点である。


 魔術については学ぶことによって誰でも習得することが出来、気術が苦手な者はほぼこちらを使って対処している。魔術は先述の通りきちんと学べば誰でも扱えるので属性というものはなく、使い道として物の移動や探索、結界の形成などに使われる。

ただ、気術と魔術を組み合わせる事ができれば可能性が広がるため、両方の習得が協会より推奨されている。


「 君は火の気、だったよね? 」


「 はい! アニエスさんと同じなんです。 でも、力の加減が難しくてうまく操れなくて…… 」


「 そうかー。 まぁ、馴れとかもあるんだろうけど……あ、何ならアニエスに直接聞くのもいいんじゃない? 会わせてあげるよ 」


「 えぇっ! そんなの無理ですよっ! ……というか、は、恥ずかしいです…… 」


するとリゼラは意地悪げにニヤリと笑った。


「 えー? 遠慮することないのにぃ、憧れのアニエスさんだよー? 」


「 か、からかわないで下さいっ! 」


ジーンがガタッと反射で椅子から立ち上がる。素直な反応だ。だがしかし……ここが図書館であることを忘れてはいけない。


「 あははは。 でもさ、本当に会いたいときは言いなよ? 私たち一週間後には任務に出るからさ、しばらく君ともこうして会えなくなるしね 」


するとジーンは軽く目を瞠って瞬いた。


「 え、長期なんですか? 」


「 うん。もしかしたら師匠と同じくらいになるかも 」


そうなんですか、とジーンは茫然として俯いた。そして意を決したように顔をあげる。


「 あの、リゼラさん 」


「 ん? 」


「 アニエスさんに会いたいので、お願いできますか? 」


「 もちろん。 あとで連絡するよ 」


「 ありがとうございます。 あと…… 」


「 あと? 」


13歳の少年は顔を赤らめて言った。


「 アニエスさんにも憧れてますが……ぼ、僕の一番の憧れはリゼラさんですからっ!! 」


その瞬間周囲の視線が二人に集中する。ジーンはしまったったという顔をした。そして目を瞠る速さで荷物をまとめ「 す、すみませんでしたああああ! 」と、どこかへ走り去ってしまう。「 こら走るな!! 」という司書の注意する声を背にして。


「 少年……ここ図書館…… 」


そう言いつつも、あんなに大声で宣言されればさすがに照れるリゼラである。頬が赤い。苦笑すると「 まいったね 」と満更でもなく呟き自分の調べ物をしにその場を離れた。

      

      

          

     

「勉強の邪魔はしてはいけませんよ、リゼラ」by師より


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