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三話 (ご飯目当ての)新部員

 ふぅ。やっとポスター書き終わった。

 時計を見てみるとポスターを書き始めてから30分ほど経っている。

 「ボクは終わったけど二人とも書き終わった?」

 ちょうどいいタイミングで沙耶が声をかけてくる。

 「俺は終わったぞ」

 「おれっちも終わったぜ」

 泰司も終わったようで皆ポスターが完成した。

 「じゃあ順番に出そうか。まずは秀二から出して」

 沙耶に促されて俺は少し自信があるポスターを二人に見せる。

 ポスターに書いてある内容は【人間社会は会話から始まり、会話に終わる。会話を制するものは人間社会を制するといってもいい。今こそ、会話を鍛えるべきである。会話が苦手な人も会話が好きな人も大歓迎。コミュニケーション部、部員募集】

 それと、棒人間が会話をしている簡単な絵を書いてある。

 「秀二の奴なんかつまらないよ」

 「正直がっかりだぜ」

 何か二人からの評価が低い。結構自信があったんだがな。

 「じゃあ、次は泰司の見せてくれ」

 「いいぜ。二人とも、おれっちのがすごすぎておれっちに恋をするなよ」

 「「しないしない」」

 俺と沙耶は顔の前で手を横に振ってそれはないと伝える。

 「そういってられるのも今のうちだぜ。ジャジャーン。これがおれっちの史上最強の最高傑作だぜ」

 そういって泰司が俺と沙耶にポスターを見せる。

 泰司のポスターの内容は【おれっちの彼女募集。老若男女問わないぜ。おれっちのプロフィールは×○△□だぜ】

 「なんでプロフィール!?後、男抜かないと色々危ないから!」

 「おれっちのプロフィールだけじゃねーぜ。右下を良く見てみな」

 泰司に言われて右下の方を見てみると確かに小さく何かが書いてある。

 それを良くみてみると【他の部員も紹介するぜ。秀二→つっこみ担当。沙耶→小学生担当】

 「つっこみじゃねーよ!というかなんの部活だよ!」

 「ボクは小学生じゃなくて高校生だもん!」

 沙耶が小学生担当は少し納得してる自分がいたりする。

 「おれっちの結構いいと思ったんだけどな。非難されて少し哀しいぜ……」

 泰司は相当自信があったらしくかなり落ち込んでいる。

 「最後はボクだね」

 沙耶がポスターを見せる。

 内容は【友達を作りたい人大募集。今入るとミカンをプレゼント。見本→(腐敗したミカンが張ってある)】

 「そのミカン腐敗しすぎてミカンの面影がほとんど無いぞ!?」

 「物で釣るのは流石に引くぜ……」

 「物で釣るのはいい考えだと思ったんだけど……」

 腐敗した食べ物で釣れる人はいないと思う。

 「とりあえず、俺のが一番ましだから、俺のでいいか?」

 「秀二のならまだおれっちのがましだぜ」

 「……そんなに酷いのかな……」

 沙耶はまだ落ち込んでいる。

 「秀二の奴は堅苦しいぜ」

 「泰司に至っては部活の名前すら無いけどな」

 俺と泰司の言い合いを落ち込みながら聞いていた沙耶が提案を出す。

 「このままだと決まらないからじゃんけんで決めるってのはどう?」

 少し子供らしい発想でだけど

 「おれっちはそれでいいと思うぜ」

 「俺もこのままだと決まらないからそれでいいぞ」

 といわけでじゃんけんで決めることになった。

 「おれっちはパーを出すぜ」

 どうやら泰司は心理戦で攻めてくるらしい。

 「じゃあ俺はチョキを出す」

 「じゃあボクはグーを出すよ」

 「何で沙耶も加わってるの!?」

 「二人だけはせこいもん。ボクもじゃんけんに勝って自分のポスター貼りたいもん」

 というわけで三人でじゃんけんをする事になった。

 まあ、勝てばいいだけだ。

 何を出すべきだろう。俺の勘だと泰司はそのままパーを出すだろう。

 そうすると問題は沙耶だ。本当にグーを出すのか出さないのか。

 また、グーを出さないならチョキを出すのかパーを出すのか。

 ただ、沙耶は子供っぽい所がある。

 子供だったらここは別のを出す可能性が高い。

 ということはパーとチョキのどちらか。

 俺がチョキを出すといって、泰司がパーを出すと言っているのだからパーを出したら俺に負けることになる。

 ということは沙耶の出す手はチョキだ。

 俺はこのままチョキを出すことにした。

 「じゃあ、始めるぜ。最初はグー。じゃんけん、ポン」

 泰司のポンと言う合図と同時に三人が手を出す。

 俺はもちろんチョキ。

 泰司→チョキ

 沙耶→グー

 負けた……。

 よりにもよって一番やばいのが勝ってしまった……。

 「ふふふ。ボクに勝つなんて一億年早いよ」

 沙耶は笑みを浮かべながら続ける。

 「じゃあ、ボクはこれを張ってくるよ」

 その言葉を残して沙耶は廊下に出て行った。


 ~5分後~


 「張ってきたよ」

 沙耶が帰ってきた。

 「この後どうする?とりあえず今日はする事ないから解散にするか?」

 俺が帰ってきたばかりの沙耶と、壁を使って逆立ちの練習をしている泰司にそういうと

 「そうだね。今日は解散にしようか」

 「賛成だぜ」

 というわけで、二回目の部活はポスターを作って解散になった。


 ~次の日の放課後~

 俺と泰司と沙耶の三人で雑談をしているとドアの開く音が聞こえた。

 そこに立っていたのは細身で腰まで伸びる吸い込まれる様な黒髪を持つ女性だった。

 少し虚ろな目をしている。

 「食べ物……食べ物をください……」

 黒髪の女性はそう言って倒れた。


 「いやー、助かっちゃいました。お腹が空きすぎてお花畑が見えちゃったりしてました」

 黒髪の女性はそういいながら食べ物を食べる手を止めない。

 食べ物は沙耶が今日の朝持ってきて冷蔵庫に保管していたものを与えている。

 「敬語は別に使わなくていいよ。君は名前なんていうの?」

 沙耶が聞く。

 「敬語は癖なんでやめることが出来なかったりします。私は1年B組の五条麗華(ごじょうれいか)です。以後お見知りおきをお願いしちゃったりします」

 「私の名前は霧島沙耶だよ」

 「俺の名前は加藤秀二」

 「おれっちは工藤泰司だぜ。君とバージンロード歩いてみたいぜ」

 今、自然に泰司が告白をしていた気がする。

 「泰司さんとバージンロード歩くくらいなら自分の足を切ってしまった方が幾分かましだったりします」

 今、自然に泰司が振られている気がする。

 落ち込んでる泰司の事は気にせずに沙耶は麗華に質問をする。

 「あの……麗華はポスター見てきたんだよね?」

 「はい。ポスターに張ってあった食べ物に目がくらんで来ちゃってたりします」

 「やっぱりボクの書いたポスターが一番優秀だったみたいだね」

 沙耶は腰に手を当てて無い胸を張って威張っている。

 あんなポスターを見て来る麗華は変な人なのかもしれない。(特に腐った食べ物に目がくらんだのはヤバイ)

 「じゃあ、麗華は部活に入ってくれるの?」

 沙耶はそわそわしながら麗華に聞く。

 「食べ物目目当てですがこの部活に入りたかったりします」

 「これで四人そろったぞ!」

 俺はうれしくて少し大きな声で言ってしまった。

 麗華の頭の上には?マークが出ている。

 「この部活金曜日――明後日までに4人そろわないと創部できなかったんだよ。でも、麗華が入ってくれたおかげで創部できるようになったんだ」

 入学したのが先週の金曜日。俺が(強制)入部したのが月曜日。泰司が入部したのが火曜日。そして麗華が入部した今日が水曜日。

 まさかこんなに早く創部できるなんて思っても見なかった。

 そういえば、創部したんだからポスター回収しちゃわないとな。

 「それじゃあ、ポスター回収しとこうか。あのミカンは回収しないとやばいしな」

 「張ってあったミカンは私が食べちゃったりしてます」

 「吐けー!!」

 俺はそれを聞いて大きな声を上げる。

 あの腐ったミカンを食べたのはやばいぞ。下手したら命に係わることだ。

 「私、胃がものすごく丈夫なので多少の腐りなら全然大丈夫だったりします。この前は賞味期限5年前のしょうゆを飲みましたけど今もぴんぴんしちゃってます」

 「しょうゆを飲むのはやばいぞ!?死ぬぞ!」

 しょうゆは塩分が高いので大量に飲むと命を失う可能性がある。

 「秀二さんは私の胃の強さを知らないから仕方ないのかもしれませんが、私の胃の強さは鉄を超えてダイヤモンドだったりします」

 「その胃を取り出して宝石店に売りたいぜ」

 「私はその胃を使って結婚指輪にしたいなー」

 「ダイヤモンドはそれほど頑丈って意味であって、本当にダイヤモンドで出来てるわけではなかったりします」

 「騙されたぜ」

 「し……知ってたもん!えっと……ぎゃ、ギャグで言っただけだもん――あ、そうだ」

 沙耶の嘘が無理やりすぎるが気にしないで続きを聞こう。

 「ねえ、今日コミュニケーション部初の部活動しようよ!何するか考えてきたんだ」

 「おれっちも部活動してみたかったところだぜ」

 「私もコミュニケーション部が何をする部活なのか気になってたりしてました」

 「沙耶。何やるんだ」

 「それはね……コホン」

 沙耶は咳払いをして続ける。

 「お題しりとりをしようと思うんだ!」

 「「「えっ?」」」

 と言うわけで、初の部活動――お題しりとりが始まった。

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