悪の芽
このような作品を書くのは初めてですが
温かい目で見守ってほしいと思います。
あれから幾年たっただろうか…。
はるか遠い昔のような気もするが、昨日のような気もする。
1人の青年が歩いていた。
彼の名前は木田正文。
彼は端正な顔立ちをしており、スマートな体系といえるだろう。本来は街でナンパをされてもおかしくないのだが、彼に話しかける人は皆無だ。目を見ればわかる。だれにも屈しないような意志のこもった目と彼の雰囲気から出るオーラが皆を遠ざけている。
彼は人を探しているようだ。あたりは真っ暗なため人を探すには一苦労だが、反対にいろいろな人が行き勝っても気づかれることはあまりない。場所はもちろん、東京の銀座。多くの人が行きかう中、1人の男が彼に近づいてきた。その風貌はほとんどの人が盗人とか詐欺師というようなインチキくさい男である。しかし、その男もまたカッコ良かった。
彼らは全く話をせずにすれ違いざまに手紙を渡しただけだ。普通の人から見れば単純にすれ違っただけにしか見えず、彼らが普通でないことを表していた。
木田はその手紙をその場で開いた。
書いてあった言葉はこうだ。
『いつものところで…。ついに探り当てた。犯人の名前が分かった。』
木田の顔に自然と広がった。しかし、その顔は笑っているという顔ではなく、肉食動物が獲物を見つけたような顔をしていた。彼の周りの人たちは寒気がしたのか、彼を避けて通っていた。その彼を見つめている人がいた。
彼は街中を歩いていた。しかし、その後ろには先ほどの見つめていた人が彼をつけていた。彼はそれに気付いたのかわざと人が多いところを歩いている。つけられるということに慣れているようだった。もちろん、つけているその人も慣れているようであったが…。気づけれたと悟ったその人は携帯で連絡をして尾行をあきらめたようだ。深追いはしない。これが尾行の鉄則ではあるが、それを実践する人は少ない。なぜかというともっと知りたいと思うからだ。それによって証拠も上げられるし、何より何をしているかが分かり、他につながりを見つけられるかもしれないからだ。たいていは大物が犯罪をしている場合は下っ端が動くものだ。それを調べるのが普通だが、木田にそれほどの実力があるかどうかは分からないが…。
彼がついたところは離れにあるバーや居酒屋などではなく普通の家だった。しかし、もう夜9時なのに明かりが全くついていない。明らかに気味の悪い家とまでは行かないが、普通はこんな家には入らないと思う。だが、彼はそんなことは気にすることなく入っていった。もちろん鍵は持っていたようだ。
入ってすぐに木田は電気をつけてマネキンを動かした。そして、テレビをつけてマネキンを椅子に座らせた。彼は地面を這いつくばり、匍匐前進を開始した。トイレに近づいてそこの横にある壁を触り始めた。暗証番号を入れるスイッチが壁の中に隠されていた。そこに番号を入れると廊下が開き、地下への階段があらわれた。かばんの中から懐中電灯を取り出し、彼はその階段をおり始めた。
降りるとドアがありそこにも暗証番号を入れなくてはならなかった。
そこにはすれ違いざまに手紙を渡したその男がいた。
「よう、正文。つけられてないか?」
「いや、少しつけられたが引いたようだ。」
「ふむ、それはあまり良いことではない。今までとはちょっと違うようだ。気をつけよう。」
「そこまで気にすることはないんじゃないか?帰っただろう?」
「お前は甘いよ。常に最善を目指す。それが作戦だ。そのためには最悪の想定をしてことを進める。そう教えただろう。今度から常に気を張っておけ。余力があれば写メを取れ。」
「そうだな。分かった。そっちは何か分かったか?」
「…。10年の前の犯人の可能性があるのはこいつだ。上村正義。役職は…。」
「どうした?」
「警察庁長官。」
「!!!!!!」
「ここまでとは思わなかった。俺も何度も調べた。しかし、この情報は確かだ。信用できるし、つじつまもあっている。正文、少し作戦を変更しよう。あまりに大きすぎる。同士も少ない。警察の危険因子とも接触できるまでことは進んでいる。遅らせても何の支障もない。」
「……それはできない。ここまでずいぶんと待ったんだ。ようやく、ようやく相手を追いつめるとこまで来て、いまさら引けるか。」
「………。」
2人はしばし、見つめあった。この様子からみても彼らはずいぶんと長く知り合いだということができるだろう。しかし、2人の思いの違いがある。それは話の内容から見ても分かるだろう。正文は自分で行動する癖があるようだ。他人を信じないわけではないが、自分でやりたいようだ。対して、木村隆正はある組織にいるようだ。かなりの地位にいて、部下がいる。この2人がどのようにであったかは分からないが、過去に何かあったのだろう。それぐらいは予想ができる。
「…何かあったのか?」
「病気なった。癌だ。あと半年らしい。」
「本当なのか?」
「ああ。仕方ない。」
「……。嘘ではないようだな。分かった。3か月でことを起こすことにしよう。先方にも伝えておく。」
「すまない。じゃあ、また3日後に会おう。」
「どこに行く?」
「やることがあるんだ。」
彼は少し外れた道を歩いていた。今までとは違う裏の人が歩くような通りのようだ。電柱には新宿と書いてある。少し歩くと「眼」と書かれた店があった。店内は明るいというわけではなく薄暗い。頭に大きな傷を作っている人がいた。見たらそっち系の人だとすぐにわかる。
「久しぶりだな。親父、元気にしていたか?」
「おう、久しぶりじゃのう、正文。最近いろいろ物騒になってきとるのう。お前は何か知らんか?ここにも警察が来たんじゃが?」
「おそらく俺を調べているのだろう。隆正は元気か?」
「元気だよ。俺もそろそろ行くことになりそうだからな。あいつには無理をかける。」
「…お前も別の生き方があったろうに…。親子そろって早く逝くこともなかろう。今ならまだ間に合う。考え直さんか?お前の親父さんもそりゃ、仇は討ちたいだろうがお前をそんな風には…。」
「もういい。物を用意してくれ。」
「頑固なところは似ておるのう。難儀な…。ちょっとまっとれ。」
そこから取り出したのは紛れもなく銃であった。
「これは親父さんが持っていた物。警察の奴をやった時にとったものじゃ。」
「分かった。今まで世話になった。」
「本当に行くのか?」
「ああ、これが俺の選んだ道だからな。」
「じゃあ、これを持っていけ。」
彼がとりだしたのは刀だった。おそらくキレ味は悪いだろう。いかに裏取引でもそう簡単に刀などは手に入りはしない。飾るために作られた刀だ。
「これは荷物になる。」
「隆正に渡すんじゃ。奴なら使い方を間違えんはずじゃ。」
「……分かった。」
「それじゃあのう。」
「見失いました。ええ、正文です。彼が「眼」から出てきたのを見まして…。もしかしたら、銃を持っているかもしれません。はい?いや、確認はしていませんし、いきなり検問などできませんよ。一応、ここら辺を捜索してみます。何か分かるかもしれません。では。」
「カチッ」
冷や汗が止まらない。気配が全くなかった。尾行はもう何十回もやっている。こんな経験はかつてない。自分の第6感が一番危険だと伝えていた。しかし、頭は冷静であった。
「木田正文か?」
「そうだ。今日の尾行はお前のようだな。あそこまでつけられたのは初めてだ。なかなかやるようだ。しかし、そう時間もないから手っ取り早く聞くことにしよう。」
「一体何のことだ?」
「俺の父と妹のことだ。2人を殺したのは誰だ?」
「何を言っている?お前が父を殺したんだろうが!だから今こうしてお前を追っていた。普通に学校に行っていたことには驚いたが…。」
「そんなわけないだろ。もしそうだったら頭を討ちぬいた銃弾はどう説明する?俺はあの時7歳だった。警察官から銃を奪うのは少し難しいはずだ。奇襲ならともかく警戒している相手から奪うのは難しい。」
「言っていることはつじつまが合うが…始めが違う。」
「始め?」
「お前がピストルを奪ってから父を殺したということになっている。というかそれが真実だ。今のお前がいったことは間違いだ。俺は貴様の資料をすべて読んでいる。」
「俺を追っているのはお前だけか?」
「………。」
「いわないか。さすがに根っからの警察官だな。すまないが、携帯をもらう。銃もな。」
「よし。そのまま、警察のほうに帰りな。」
「いいのか。俺を殺さなくて。」
「ああ、殺すぐらいなら初めからやってたさ。じゃあな。」
山岸は警察に帰った。尾行もばれ殺されかけたし、銃も奪われたら帰るしかなかった。携帯もとられたので連絡もできない。だが、まずはかえって資料の確認をしたかった。彼から出た言葉は信用に足るものではないが、改変されたり偽造されたのであればすぐにわかる。確かに彼のことは調べてはいたが、10年前の事件よりも最近盗まれたとされている銃のほうに重点を置いていたのだ。
「さて、この量を読むのはしんどいが、頑張らないとな。」
午後11時。だいぶ読み進めたように思うが、肝心な所にはまだ届いていない。今のところ矛盾がないはずなんだが…どこかおかしい。まず、いきなり正文が出てくる。時系列に書く資料としてはありえないことだ。その前後がないということが…、う~ん…。
「おう、頑張っているな。山岸。」
「ええ、藤井先輩。こんな遅くにどうしたんですか?」
「首都高で追突事故があってな。その資料を書いていたんだ。」
「そうですか。お疲れ様です。」
「お前もこんな遅くまで一体何を調べている?」
「木田です。」
「そうか、そう遅くならないようにしろよ。」
「はい。」
何だこれは?もしこれが本当ならば犯人が違う。資料はおそらくあそこにあるはず…。
そう思った山岸は秘密資料室に急いだ。
「これだ。この記録が正しければ…。」
「犯人が変わるな。山岸、お前はここまで来るべきではなかった…。残念だ…。」
「えっ…。」
山岸の意識は闇の中へ消えていった。
どうでしたか?
初めてですので
時間がかかってしまいました。
長くはならないつもりですので
気軽に読んでいただきたいです。




